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“Your Pleasure”の「鏡」

協働し創造することで不確実性に親しむプロダクト”Your Pleasure”。

以前のブログで紹介した通り、”Your Pleasure”は鏡の空間の中に、自然物と鏡でできたブロックを2人で交互において造形物をつくっていく、というものです。

「鏡の空間の中に」、「鏡でできたブロックを」。上記のように、「鏡」を大きくフューチャーしています。その理由と、プロダクトの肝である、タイトル写真の鏡の空間をどう構築したのかについて、記載していきたいと思います。

鏡を利用している意味

そもそも鏡は、古来から神秘的なものとして捉えられてきました。鏡の面が、単に光線を反射する平面ではなく、世界の「こちら側」と「あちら側」を分けるレンズのようなものと捉えられ、鏡の向こうにもう一つの世界がある、という観念は通文化的に存在し、世界各地で見られています。つまり、歴史的にみても現実の世界の外にあるものを映し出すような、不確実性の高いものです。
さらに「鏡:mirror」の語源は、ラテン語の「mirari」(英語: miracle)だと言われ、それは「奇跡、不思議」という意味です。この言葉のつながりも不確実性との関係性を示します。

また、アートの文脈でも鏡は多数利用され、例えば、2013年にはオーストラリア・シドニーで行われるアートイベント「Art & About Sydney 」で、日常空間に鏡の柱が置かれ、非日常空間に転換する『FIELD』という作品が発表されました。

このように、”Your Pleasure”では「不確実性」が強い鏡を利用することで、「不確実性に親しむ」ことを、より達成することを目指しました。

鏡の空間の構築の仕方

さらに、鏡の空間の不確実性を最大限まで高めるため、80年を超える歴史と、様々な賞を受賞するなど高い技術力を持つ、株式会社西尾硝子鏡工業所とともに設計を進めていきました。

没入感と不確実性を高めるため、万華鏡のように、合わせ鏡で空間にある要素の映り込みを連鎖させつつ、プレイ中に自分が鏡には映らないように構築。

当初の設計図。自分が映り込まないように鏡の傾斜を105度に設定しています。


その設計した内容で、実際に鏡の作り込みを行っていきました。

実際に制作を行う西尾硝子鏡工業所の職人さんの作業風景


この鏡の空間により、中に置かれた要素が乱反射し、不確実性が高い像となってあらわれます。


以上、“Your Pleasure”の「鏡」についての解説を全力ポーンの三冨がお送りしました。

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