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終わりだけ小説#2

crib (題名)

 
赤ちゃんが 泣くなんて。そんなのわかってる。わかってるよ。
わかってるわよ。赤ちゃんが泣くなんてわかってるわかってるから。
ほんとにわかってるから。
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抜釘(題名)

プレートを抜く手術を春にするから、そのあとでゆっくり会おうよ、と言ってくれた。
了解 とだけ返答したけど、その二文字にどれだけの気持ちを詰め込んだか。わからないので良かった。
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黒潮あそび(題名)

「漁港の方を回って帰ればイワシかなんか落ちてるからよ」
帰り際、おじさんが済まなそうに手を合わせながら言った。
パールさんが一升瓶のような大きい赤ワインを仕入れてきた。
みんながそれぞれ持ってきた写真をテーブルの上に並べる。

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八重歯の姉妹(題名)


更になった我が家の敷地は思ったよりも広く見えた。
あの土の中で私と姉の乳歯がずっと残り続けるのだと思った。
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リセッションベイビー(題名)


二十一年目のチョコは初めての時とと全く違う嬉しさだった。
用意していてくれたんだ。
子供たちと粒を分けて奥歯でチョコレートを噛みしめる。
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殺し屋の思い出(題名)

 
マッサージがとても上手でしばらくすると汗がたくさん出てきた。
あの汗は乾いても全くべたべたしなかった。不思議な汗。
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バブルは二度と (題名)

 
あの頃はみんな家を買うこと諦めて、ベンツやBMWを代わりに買っていた。
だぼっとした服着てうかれて、みんなが部屋を留守にしたのだ。
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 時間を止めて (題名)

 
ああ・・・・あなたの時間を止めたい・・・って・・刃物を持って言う事?・・・
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六花亭 (題名)


どんなに素晴らしい作品を作り上げたとしてもそれを特別視し他を見下した段階で作品の価値は90%下がる
そうしたいのならば200%の突出した作品で圧倒しなければならない

 
先生から春の日が差す3号館で受けた講義で覚えているのはそれだけでした。

ただし価値だけでは作品は測れない、と続いたことは覚えてなかった。
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終わりだけ小説    誰にでも書ける小説








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