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鼠色というには透明

窓際の水槽は水が澄んだり濁ったりを何度も
繰り返して 水槽を始めてから五年程度 よう
やく水を保てるようになってきた 水を浄化する
ポンプやフィルターを工夫してみたり 水を浄化
するバクテリアをとっかえひっかえしてみたり
水の出口にスポンジを置いてみたり その過程
で何匹もの魚を死なせてしまった 水を取り替
えるのは魚にとっては相当のストレスのようで
水がきれいになっても魚が死んでしまっては
仕方がない 今 水が整ったようで ひと月ほど
水換えをしていない

と言っても 生き物につきものの分泌 排泄など
の現象によってか 窓に光の差す角度によって
か ここの所飼育水がうっすらと色づいてきた
水槽を通して窓の外の景色が見えるがぼんやり
茶色がかって見える 夜になると飼っている
光る淡水魚たち 今はタナゴ クチボソ タモロコ
カマツカの四目 が少し金色がかって見える
小鮒には銀鮒と少し金色かかった鮒がいるが
銀の淡水魚はやはり銀が一番美しい 今まで
ならばそこで水を全部取り換えて ポンプや
小石などろ材を洗って 水槽をまっさらにした
ものだったが 水が整っていれば半分も取り換
えればそこに根付いたバクテリアが取り替えた
水をきれいにしてくれる 今日替えたばかりな
ので明日以降どうなるのかわからない

抜いた半分の水はからのペットボトルへ灯油
ポンプで吸い出した ペットボトルにたまった水
はうっすらと緑がかっていて 移す前と色が変
わっているのはペットボトルと水槽の水の厚さ
とか光の透過のかかわりだとかで説明がつくの
だろうが面白いと思った 緑はつまり苔だから
活性炭で吸着できるのではないかと考えて細
かい墨をペットボトルの口へ落としこぼしていく
と炭の大部分はおとなしく底に沈んでそのうち
のとりわけ空気を含んだ粒 それはきっと能力
が炭として高い 偶然に 自ら望んだ訳ではなく
含んだ空気によって勝手に次々浮かび上がって
は水面に到達するとまたゆっくり沈む

一部炭と炭がこすれてできた粉が水に散らばり
薄緑の水は中年男性のかけるサングラスのよ
うな薄い灰色となり 鼠色というには透明で
薄緑だったときよりも水に奇妙な清潔感があ
るように感じられた この灰色が落ち着いていく
とともに苔が吸着されたバクテリアに満ちた内部
で騒がしい水になっていくのだろうと思う 水槽
の水は減っていくので 減った分をそこから補充
していくこととなる


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