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古井散歩

古井由吉と富士日記を同時に読み終わった 古
井由吉の方はど文学という雰囲気で 筋立て
などは特にない  色々な感覚が修辞を凝らして
書き継がれている 文と文のつなぎ方の妙 言葉
づかい 妄想の表現などを楽しみつつ勉強しつつ
読んだ 何がどう書かれるか 文学の重要な
味わい 富士日記は続きものなのでふっつり
と日記が切れる あの地方の方言が懐かしい
ずら だっちゅうわけ やるら などなど もっと
深いものに ちょし というのがある しちょし
というと やるな という意味になる 非定型
考えちょし というと考えるなという意味 これ
はややこしかった

寝不足なのに寝付けない 寝不足で目覚めた
が 特に不調もなかったので昨日決めていた
法華寺へ行くのを決行する そういえば昨夜は
家族が寝静まった後 竿をやっていて第二継ぎ
の細竹を折ってしまった それで眠れなくなった
竹をガサガサすると家族を起こしてしまうと思っ
て しかし早く作り替えたくて さらに竿入れの
竹筒を塗る時に失敗してしまったから それらで
悶々として眠れなかったのだった なぜ法華寺
かと言えば 古井由吉に確か出てきた 競馬場
から法華寺へ歩いて行くような物を確か読んだ
記憶があって 古井先生は競馬好き 競馬場
というのは中山競馬場で 開催日の道の混み
ようは誇張なしに殺人的で 船橋 今結構住
みたい街として上位にランクしたりするが あの
街の休日の渋滞とそれでいて結構車なしに住
むのが不便な あの辺りの生活のありようを知
らずだ と街を境にしたあたり 道は細く町は
古く 何妙法蓮華経の総本山 一度 行って
見ようと思っていた

自宅からはほんの半時間程度 妻と娘を道連れ
に サイゼリヤで早めの昼食をはさみつつ 途中
東山魁夷美術館の横を通り 木下街道 それ
ちょっと遠まわりでは などと走り 駐車場は
あるかと奥に進むと一つ通り過ぎ 次に出た駐車場
で係員に一台開いていたところに誘導してもらう
今回の外出はほぼ写真が目的だからと カメラ
あれ カードが入ってない ソニー 内部メモリ
がついてないのだなこのシリーズは ああ この
段階でテンションはだだだだだ下がり 下車したら
ふぁ とため息が出て

早々に再度 カメラをきちんとして再訪だ と心
を決め 妻のスマホで一応光景を撮りためてい
く 鐘楼が見え 昼の鐘が身近でなって いま
鐘ついてる と小走りに近づくと機械式の自動
だった モーターと滑車で動いているか などと
思うと 結構にぎやかな境内で 全く知らなかっ
たのだけれど全国から参加した僧侶なのか 荒行
というのが明けるたまたま前日で 門前店の
お母さんに聞いたらそういわれ 妻の好きな
つぼ漬けと 息子の好きな瓦煎餅で 千円を
渡すとちょうどね と言われて九百円 というので
お母さん慌てて釣りをとりに店内に戻る 店先
に衣かつぎの小さいせいろがいくつも出ている
ひとつのせいろに五つ 少し心を動かされたが
まあいいか とやり過ごし 店内では少し聞し召
している方もいるようで 古井先生 こういうとこ
ろで煮込みなどをあてに酒でも とやっていたの
かもしれないと思いつつ 古井由吉が来ていたか
聞けばよかったとたった今思いついた

荒行では100日か200日か 髪も髭も伸ばし放題
で同情からふらふらになって出てくる と妻が
言っていて それ 高野山とかそういうのじゃな
いの と返すと いや 確かこの辺で テレビで
見たことがある という さらりと本殿や修行道場
大仏や五重塔 日蓮の銅像 大門などを覗き
くぐり 風が強い寺町の町並みをさらりと通り抜け
て帰路についたが 細く古くて好きなタイプの
民家の中を通り抜けてわずか もう中山競馬の
木下街道につながる道路まで出ている なるほど
古井先生は下総中山駅から法華寺へ上って 寺
を抜けて裏から競馬場に通ったか または 競馬
場から街道へ下りる途中を家並みの路地に折れて
寺町へと歩いたのか いずれにしろ距離としては
およそ二三キロ 一里に足りないくらいの行程
で 多分 レースの終わった最寄り駅の船橋
法典を避けて ちょうど宵の始まるころにすこし
ひっかけて総武線に揺られていったのではない
かと想像してみる 今度カードは忘れない また
ひと月位後にゆっくり散策してみよう そろそろ花
も始まるころだ

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