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PIF

PIF

近頃はまっているPIF。それ何?  PIFとはパブリックインフォメーションフィルム、つまり公共広告のことだ。

ユーチューブで、なんとPIFを1700本もコレクションした人がいて、毎日、50から100本ぐらいずつ世界の公共CMを夜中に見ている。国もまちまち、手法も、年代もまちまちのこれらをよく集めたなと思い、その人のプロフィールを引こうとしても何も出てこない。

いま、再生リストの250くらいまで見終わった。今のところみた内容は火災の注意喚起、スピード出し過ぎ注意、麻薬などの薬物に関するもの、ドメステイックバイオレンス、児童虐待(性的なもの、ペドフィリ含む)飲酒運転、スマホながら運転、動物愛護など。

印象に残すのがこういった広告の第一のの役目と思われるのでショッキングなものも多い。自動車事故のインフォメーションでは車と車がぶつかるほんの1秒前で停止して、当事者同士がぶつかる直前の車の前で何か話し合っていて(英語なので何を言っているかわからない)その直後人は消えて車がぶつかる、という演出のものがいくつか見られた。そのほかは経験者は語る的なものや、飲酒運転の犠牲者の生前のビデオや記念写真などが使われるものも多かった。

火災の注意喚起というのがあまり日本の公共フィルムでは見たことのない素材だった。日本でもよく火災は起きているのに不思議に思った。火の用心、とか、マッチ一本火事のもと、とか私あたりは刷り込まれているが、近頃は使わないので、若い世代はマッチで火遊びということはないだろうと思われる。

今までみた中では意外と銃に関するものが少ないのも印象的だ。1700本の後の方で立て続けに出てくるのだろうか。日本のものでは「AC」の、群からはぐれたシマウマが狙われるという連れ去り事件への注意喚起フィルムが英語で紹介されていた。イングリッシュバージョンなのか。

今までみた中で、印象に残ったのはこんなフィルムだ。男児と女児が手を繋いでドームのような建物に入っていく、そこには、何組もの男女がショウウィンドウの中にいて、楽しそうな男女、教養の有りそうな男女、いろいろな男女がいて、その中に言い争いをして、暴力を振るう男と女の組み合わせがいる。その男児と女児は結局その二人とともに田舎道を帰って行くというところに、子供は親を選べない、というメッセージが出てくるというもの。ベタではあるが、本当にどうにもならないことがあるという理不尽を感じ、自分が子供にとって、いい親だろうか、いや、そんなことはないと客観的に思えて、耳と胃が痛くなるようなフィルムだった。

だからといって直せるかといえば直せないところに病根と因業の深さがあり気が滅入ることこの上なし。そんな自虐的な、夜の密かな考察をあおるPIF、しばらく夜中、耽りたい。


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