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『ラストナイト・イン・ソーホー』

原題「LAST NIGHT IN SOHO」

◆あらすじ◆
ファッションデザイナーを夢見てデザイン学校に入学し、憧れのロンドンへと出てきたエロイーズ。寮での生活に馴染めず、ソーホー地区で下宿生活を始めることに。するとその晩、眠りについた彼女は、夢の中で60年代のソーホーに暮らしていた歌手志望の若い女性サンディとシンクロしてしまう。サンディの身体を通して華やかな60年代のロンドンを味わい、楽しい日々を送るようになるエロイーズだったが…。


交錯するロンドンの過去と現在
スウィングする60’sサウンド
闇に浮かび上がる都会の欲望と孤独
ネオンに映し出されるSOHOの煌きと官能
主人公2人の可憐さがより都会の恐怖を増幅させる

的な?

ホラーサスペンスって事だったけどホラー色30%位だったかな?怖さは無い。

お約束ホラーアイコンww

繰り返される妄想に途中やや食傷気味であの亡霊ジジイたちが出て来る度に「またかよ!」みたいな気持ちになったんですけどね。
それは多分私自身が"ギフト"なんてモノを持ち合わせて居ないエロイーズの置かれた状況に全く感情移入出来ないタイプの人間だからだと思うけど、でもラストには全ての演出に納得したよ。

そういう意味で、この作品をホラーだと思って観ると全然物足りないだろうし、かと言ってホラーじゃないとも言い切れない・・・ぺこぱかッ!ww

主人公2人のお嬢ちゃんが可憐で可愛いと思える人にはかなり楽しめるアイドル性を含んだ出来だ。

田舎の娘が大都会に出て馴染めない設定はイイとして、デザイナー志望と言う事で都会(風?)の子達に馬鹿にされるんだけど個人的には田舎娘が手作りした服の方が馬鹿にしてる奴等が着てる服より数段好みだった事は特筆したい。
まぁ、アタシがあの場に居たらルームメイトたちに一撃喰らわせないと気が済まないな。
でもそういうヤツが一人いたら彼女の倫敦生活のスタートも違ったろうと思うと都会派ぶってる奴ってクダラナイって思うわけだ。

自分が中心じゃないと気が済まない性悪女と
取り巻きーズ。



結局、女性が大都会で生きる事の難しさがラストの衝撃と共にクローズアップされる。

都合の良い男達のエゴと欲望に巻き込まれ翻弄されてしまう世界がそこには在るって事。
それは冒頭、エロイーズの母親のエピソードにも繋がる。

目に見えない物は信じて貰えないし全ては現実に生きてこそ成り立つって言うね。

そういう意味では現実と虚構の境で存在感が強烈だったテレンス・スタンプ起用はさすが!凄く効いてると思う。怪しさ炸裂ww。

背後に注意!↓↓ww

エドガー・ライト、やっぱり侮れんな。
彼の綿密さが光る!

今のSOHOは全く知らないが30年前の昼と夜の顔の違いが印象に残ってる。
今作を観て、懐かしさがグイグイっと浮上してきたな。  


映像は凄く好きだった。
色彩も明暗も衣装も街の映し方も好みのトーンだしカメラワークも監督の緻密さが目立ったと思う。かなり計算されてるよね。

鏡を使ったシーンは倒錯へのゲート的役割を効果的に表現してたなぁ。
其処に身を置いてるにも関わらず現実では無い歪み空間…夢と現実の境って自分が寝ていると自覚してるか否かだからな、全ては自分の意識次第なんだよな。
夢って何者だ?  


そうそう、前半のカット割無しのあの特徴的で不思議なダンスシーンはどんな撮り方をしてるんだと思ったら意外や意外かなりアナログらしいぞ。エロイーズとサンディ役の二人が交互に入れ替わりながらその周りをカメラマンが自分の足で回って撮ってるっんだって、でも凄くスムーズに巧く撮れてるから凄いって思った!


ヒグチユウコ氏のポスター、綺麗。


2021/12/14

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