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サイレン

これは職場の方から聞いたお話です。

彼女は今風でとても怖い話や

不思議な体験を話すタイプでは無かった。

「私、幽霊とかそういうの信じないタイプなんですけど、妹の事があって、信じる様になったんですよね。」

彼女の妹さんからの旅先から掛かってきた電話。

妹さんは彼と一緒に東北に車で温泉旅行中だったのですが

連絡があった時ひどく2人共混乱している様子だったといいます。

・・・

妹「もしもし!おねえちゃん?」

彼女「どうしたのー?」

妹「今車で旅館の近くの道なんだけど、」

彼女「うんうん、」

妹「急に津波警報が出てサイレンが鳴ってるんだけど

道に迷って戻れないの!」

彼女「え!大丈夫?」

妹「ほら!!ハンズフリーにしたから、ね!聞こえるでしょ?津波がきているので避難して下さい、って放送とサイレンが山から聞こえてきてる!」

彼女「ほら!落ち着いて、大丈夫だよ!!」

妹を落ち着かそうと、必死に話しかけたそうです。


彼女「今携帯ないの?マップとかで現在地でるでしょ?」

妹「あ、うん、そうだね!ちょっとまって。。」

そう言って彼にマップを出してもらい

現在地の特定をしながら来た道を何とか辿って

無事戻ってこれたようでした。



後から、旅行から帰ってきた妹の話は

旅館の近くの山林を走っていたら前方150メートルにも車が走ってて

サイレンと放送が聞こえてきたのでその前の車を追いかけて進めば

避難できると思って走ってたのだそうです。


しかし

いつの間に前の車がカーブにさしかかると

山林のせいか、すぐ見えなくなった。


こだまするサイレンと

取り残された二人は怖くなり少し広めの道に止めて

姉である彼女に連絡したんだそうです。


少し進むと分岐があり

右へ行くと海に通じる道の標識、

真っ直ぐの道は暫く続くので

見えなくなる事は無い風景とのこと。

津波警報が流れているのに

海の方へいく車なんてないよね。。

白い車は一体何処へ行ったのかと、妹さんたちは恐怖に駆られたそうです。

しかし、取り乱してた妹の電話から、

実は、津波警報やサイレンは一切聞こえ無かった。

妹が尋常じゃないくらい

パニックとなっていた為

落ち着かせる様に合わせてしまってたそうです。


サイレンは妹さんたちだけに聞こえてきた。


もしかしたら、あの白い車

海の方へ、

行ってしまった車なのではないだろうか。。

あの日、あの時に時空を超えて。


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