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第14次5カ年計画 第17編(日本語版)

慶應卒の方と福沢諭吉の「学問のすゝめ」の話で盛り上がり、やはり教養は大切だと再確認した深セン在住の吉川です。生まれながらの程度の差こそあれ、人はスタートラインは平等であっても学問を修めることで平等ではなく公平に上に上がっていけるものですね。

今回のテーマは「法治国家」建設です。
中国で初めて法治国家となったのは秦の始皇帝の時代ですが、まさに腐敗が淘汰され、まともな人間だけが生きやすくなる社会の形成となっていきそうな予感です。

第17編 社会主義民主・法治建設の強化  党と国家の監督制度の健全化

中国共産党の指導、人民主体、法に基づく国家統治の有機的統一を堅持し、中国の特色ある社会主義政治制度の自己改善と発展を推し進める。

第58章 社会主義民主の発展

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党が全局を総括し、各方面を協調させる指導制度体系を堅持し、充実させ、党の指導を国の発展の各分野、各方面、各段階に徹底させる。
人民代表大会制度を堅持し、充実させ、人民代表大会の「一府一委員会両院(*1)」に対する監督を強化し、人民が法に基づき各種のルートと形式を通じて国家事務、経済・文化事業、社会事務を管理することを保障する。

一府一委員会両院(*1)
「一府」とは人民政府を指し、「一委」とは監察委員会を指し、「両院」とは人民法院、人民検察院を指す。
中国では、国家行政機関、監察機関、裁判機関、検察機関はいずれも国家権力機関である人民代表大会によって選出され、人民代表大会に対して責任を負い、人民代表大会の監督を受ける。
国家機構が民主集中制の原則に基づいて活動する。

中国共産党の指導する多党協力と政治協商制度を堅持し、充実させ、中国の特色ある社会主義参政党の建設レベルを高め、人民政治協商会議専門協商機構の建設を強化し、社会主義協商民主の独特な優位性を発揮させ、建言・資政と共通認識の凝集レベルを高める
党の民族政策を全面的に貫徹し、民族区域自治制度を堅持し充実させ、中華民族共同体意識をしっかりと築き、各民族が共に団結奮闘し、共に繁栄・発展するよう促す。
党の宗教活動の基本方針を全面的に貫徹し、わが国の宗教の中国化の方向を堅持し、宗教が社会主義社会に適応するよう積極的に導く。

末端の大衆自治制度を健全化し、大衆の自己管理、自己奉仕、自己教育、自己監督の実効性を高める。
労働組合、共産主義青年団、婦人連合会などの人民団体の役割を発揮させ、各自が結びついている大衆を党の周りにしっかりと結集させる。
統一戦線活動の枠組みを充実させ、政党関係、民族関係、宗教関係、階層関係、国内外同胞関係の調和を促し、大団結・大連合の局面を強固にし、発展させる。
党の華僑事務政策を全面的に貫徹し、華僑の心を結集し、大局に奉仕する。

第59章 法に基づく国家統治の全面的推進

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中国の特色ある社会主義法治の道を揺るぐことなく歩み、法に基づく国家統治、法に基づく執政、法に基づく行政の共同推進を堅持し、法治国家、法治政府、法治社会を一体的に建設し、法治中国建設計画を実施する。
憲法の全面的な実施を保障する体制・仕組みを健全化し、憲法の実施と監督を強化し、憲法解釈手続き・仕組みを実行に移し、合憲性審査を推進する。
立法体制・仕組みを整備し、重点分野、新興分野、渉外分野の立法を強化し、制定・改廃・釈・編纂を並行して進め、憲法を核心とする中国の特色ある社会主義法律体系を整備する。

法治政府建設実施綱要を実施し、重大な行政政策決定プロセス制度を堅持・整備し、行政法執行体制の改革を深化させ、公正で文明的な法執行を厳格に規範化し、法執行の自由裁量権を規範化し、行政不服審査体制の改革を推進する。
司法体制の総合的関連改革を深化させ、裁判制度、検察制度、刑罰執行制度、弁護士制度を充実させ、司法責任制を全面的に実行し、司法活動に対する監督を強化し、執行体制改革を深化させ、司法の公正を促進する。
法治社会建設実施綱要を実施し、社会主義法治文化の建設を強化し、法治の宣伝・教育を踏み込んで展開し、「第8次五カ年計画」法律普及計画を実施し、公共法律サービス体系、法律援助、国家司法救済制度を整備する。
人権司法保護を全面的に強化し、人権事業の全面的発展を促進する。
渉外法治体系の構築を強化し、渉外法律人材の育成を強化する。

第60章 党と国家の監督体系の整備

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党が統一的に指導し、全面的にカバーし、権威ある高効率な監督体系を健全化し、政策決定が科学的で、執行が断固としており、監督が有力な権力運営メカニズムを形成する。
全面的な厳しい党内統治の主体責任、監督責任を実行し、政治監督を強化し、政治巡視を深化させ、改善・改革の実行を強化する。
律監督・監察監督・駐在監督・巡視監督の統一的な連携を推進し、党内監督を主導とし、各種監督の貫通・協調を推進し、常態・長期的に効果のある監督の合力を形成し、監督体系を国家統治体系によりよく溶け込ませる。

紀律検査・監察体制の改革を深化させ、上級紀律検査・監察委員会の下級紀律検査・監察委員会に対する指導を強化し、紀律検査・監察業務の規範化・法治化を推進し、監督・保障・執行、改善・発展促進の役割を発揮させる。
権力の配置と運営の制約メカニズムを整備し、業務別の権利行使・職位別の権利設定・等級別の授権・定期的な交代制度を健全化し、党務・政務・司法と各分野の事務公開制度を整備し、問題の発見・偏りの是正・的確な問責の有効なメカニズムを健全化し、全面的にカバーする責任制度と監督制度を構築する。
聖域なし、全面カバー、ゼロ容認を堅持し、腐敗する勇気がない、腐敗してはならない、腐敗したくない(*1)を一体的に推進し、清廉潔白な良好な政治生態と発展環境を作り出す。
反腐敗の国際協力を深化させる。
中央の八項目規定の精神を粘り強く実行に移し、作風建設の長期的かつ効果的な仕組みを充実させ、形式主義、官僚主義を持続的に是正し、享楽主義、贅沢浪費の風潮が逆戻りするのを確実に防止し、大衆の身の回りの腐敗と不正の風潮を断固として取り締まる。

腐敗する勇気がない、腐敗してはならない、腐敗したくない(*1)
党の第18期中央委員会第4回全体会議は正式に「腐敗する勇気がなく、腐敗することができず、腐敗したくない効果的な仕組みを形成する」ことを提起し、『新情勢下における党内政治生活に関する若干の準則』は、「腐敗する勇気がなく、腐敗することができず、腐敗したくない体制・仕組みの構築に力を入れる」ことを再度強調した。
これは中国共産党の党風廉潔政治建設と反腐敗闘争の重要な目標・要求である。腐敗する勇気がない、腐敗することができない、腐敗したくない体制・仕組みを確立するには、腐敗の取り締まり、汚職の懲罰、制度建設、思想教育などの措置と手段を通じて、多面的に管理し、総合的に施策を実施しなければならない。

終わりに

日本は法治国家、中国は人治国家と対比されて久しいですが、中国の近年急激に進む法治国家化はかつての秦の始皇帝の時代を思い出します。
時の人法家の李斯や商鞅は厳格化した法治国家を形成し、結局国民の反発を招き自らの首を絞めてしまい最終的には処刑されています。
中国では諸子百家のような思想家たちの考え方も取り入れることで人治国家と法治国家の混合体が一番適していると言われていましたが、とうとう本格的な法治国家に変わっていきそうです。

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