出会うとふれる。
最近、新たに読む本のカテゴリーが変わった。
明らかに変わった。
以前は、本から知識やエッセンスなどを得ようと思って、本を選んでいた。
そう、何が書いてあるのか。
しかし、今は違う。
純粋に、言葉に、文章に、そして筆者を感じたいと思って、
本を選んでいる。
以前の本は、ビジネス書などが圧倒的に多かった。
知らないことが多いので、知識や思想的なエッセンスが、
とにかく欲しかった。
知識欲といってのかもしれない。
しかし最近は、全く違う。
少し前なら、志村ふくみさん、神谷美恵子さん、
若松英輔さん、岡潔さん、井筒俊彦さんなど。
今は、向田邦子さん、角田光代さんなど。
文章欲? 言葉欲? といっていいのかわからないが、
無性に言葉にふれたいだけ。
これも欲になるのだろうか。
最近読む人の中でも、研ぎ澄まされた文章を書く人から、
和かくなでる、いや、なぞるような文章を書く人に変わった。
少し前の人たちは前者で、今の人たちは後者。
研ぎ澄まされた文章は、言葉を書くというより、刻む感じ。
和らくなでるような文章は、文章を書くというより、音を奏でる感じ。
研ぎ澄まされた文章は、どこか四角い。
和かくなでるような文章は、角がとれた丸い。
ふと気づくと、昔と比べ人間的に丸くなった。
刺々しかったトゲがなくなった。
できれば、腰にあるトゲトゲもなくなってほしい。
いや、この数年腰痛が全くない。
心が身体とリンクしているのかもしれない。
いい文章、いい言葉にふれるということが、
人生にとってどれほど素晴らしいかを今楽しんでいる。
知識は古くなっていくから、新しいものをという欲が芽生える。
文章は決して色あせない。
色あせないどころか、何だろう、心ときめかせる。
新しいものをという欲は確かにある。
もっと、その人の文章に、言葉にふれたいという欲が。
しかし、それ以上に、何度も何度もふれていきたいと思う。
ふれる度に、新たな発見や今の自分の心がみえてくる。
正直、こんな風になるとは思っていなかった。
どちらかといえば、欲深い方だった。
出会いというのは、よくわからない。
よくわからないから、次の出会いが待ち遠しい。
さて、この先どのような出会いがあるのだろうか。
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