見出し画像

失恋の夜

寂しい。

寒い。

眠くならない。

鼓動がうるさい。

あいつは今頃、何してるんだろう。

ってもう寝てるか、3時だもんな。


俺布団に入ったの、12時半だよな、3時間も経ったのか───


1年前、惚れた。はっきり覚えてる。

2人で同じ日に、別々の恋に失恋して、

あいつもつらかったはずなのに、全力で優しくされて、一気に落ちた。

あの失恋は辛かったな、、親友がいてくれなかったら俺は潰れてた。

そして俺はその大事な親友に惚れちゃったんだ。

友人関係は、浅く広く、少数と深く。

昔からそうしてきた。心を許したその少数は、4人。

大切な4人のうちの1人に、俺は惚れた。

無意識だった。気づいたら好きになってた。


低確率の同日失恋は、神からの贈り物だと確信していた。

その四ヶ月後、告白した。

4ヶ月かかった。あいつは、失恋から立ち直り、未練と向き合った。

結果は、YES。

俺の人生の超重要パーツの1人だ、何がなんでも大切にしよう。

そう決めた、一生を賭けて愛そうと覚悟した。

なのに、そんな俺の覚悟も虚しく───

3日前、振られた。

友達としていた方が楽しかった。あの時に戻りたい。

もちろん別れたくない旨を伝えたさ。

10日後、直接話すことになった。


俺の覚悟は何だったんだ。

俺が賭けた一生ってなんだ、

友達の壁も越えられない程度の器なのか俺は──────


友達?戻れるわけあるかよ。俺はもう親友じゃない。元彼だよ。

お前の優しさに永遠に片想いしてる、情けない男だよ。


俺は、大切な、たった四人の親友の1人を失うんだ。

親友には戻れない。俺は告白するときに、腹を括っちまったんだ。

一緒にしたいこと、全然出来ずに終わったな。

来月のクリスマス、イルミネーション見に行こって言ってたあの笑顔は

何処へ旅に出たの?


あいつが居なくなって、俺は生きていけるかな。誰を幸せにしてあげられるのかな。

誰のことも幸せにできないで、

この世に生きた形を遺すことなく、


消えていくかな─────


寂しい。

寒い。

眠くならない。



鼓動がうるさい。



そんな儚い17歳の夜は、

太陽だけが輝く朝に、

静かに飲み込まれていく。





この記事が参加している募集

眠れない夜に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?