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三津田信三『子狐たちの災園』感想

久々に読了したので感想レビューします。
三津田信三『子狐たちの災園』
二日程度でサクッと読めました。

ファンアートもかきました。

私は三津田氏の死相学探偵シリーズ、刀城シリーズは一切読んでいないのでそういうところと絡めた話はできないんですけど、三津田先生の作品ってこんなんだっけ…?っていう感じがすごくて途中くじけそうになっちゃいました…。


三津田信三先生っていうとモキュメンタリー形式の物語で、家シリーズとかテープ起こしなどだと、①三津田先生のところに不思議な話が舞い込んでくる導入→②その話→③考察パート→④別の話→⑤考察パートってな感じの流れが割とスタンダードで一個に続いてる物語っていうのがまず新鮮。

主人公、根津奈津江ちゃんは6歳。

これは外見に一切言及されてないから好きに書いたイメージイラスト。


子育ての経験がないので6歳ってどんなもんだっけなと思って六歳女児でユーチューブで調べる暴挙に出たんですけど、結構幼い!めっちゃもう赤ちゃんもいいところの小学校1年生。(小学校に行く描写はないけど)
お父さんとお母さんがお蕎麦屋さんなのでそれのお手伝いをしたり近くにある森で遊んだりしていた女の子です。
お父さんが信心深いので森の中にあるお稲荷さんの社に毎日二回お参りをしており、そこで遊ぶうちに特殊な力を授かります。

この物語は子供がいっぱい出てきて子供中心に物語が進んでいくのですが、年齢一桁の子もざらなのに妙にみんな賢くて聡明、嫌味や含みもある話し方をするのでそこらへんがかなり気になる。
子供は子供らしくせんかい!!!って思ったんですけどよく考えたらドラクエ5の主人公も6歳、ビアンカちゃんが8歳だからな…って途中で気づいて納得しました。そうよね、5歳くらいから子供ってぺらぺら話すし、おませになっていくよね~(高校時代に行った保育園実習の思い出)っていう子供に対する解像度が上がりました。

そんな普通の子供だった奈津江ちゃんですが、両親の死により祭園という施設に引き取られます。
施設というかめちゃ金持ちの家庭なのですがそこでたくさんの子供たちと優しいお姉さんに………多い!!!キャラが多い!!!!

祭園の子供たち(これも外見に言及されてないので私が想像で書きました)

いーーーーーっぱいでてきていーーーーっぱい死にます。
それぞればらばらの物語を読んで最後収束していくっていう今までのスタイルを、

「みきや君との相談」
「みさきちゃんから聞かされた出生の秘密」
「がくとくんの考え方」
みたいな材料を各章で拾いながら、廻り家と呼ばれるヤバイ建物の謎と、今回の恐怖対象『灰色の女』、『灰色の怪異』、そして『廻り家』が何だったのかに迫っていく…っていう形に当てはめてるシナリオです。

珍しくすっきり完結するのもなんか意外でしたね。
いや、結構人が死ぬのですっきり解決!っていうのとは違うかもしれないんですけど、家族を失った主人公が最後本当に血のつながった家族と一緒に暮らすっていうのは結構いいんじゃない???って思うわけです。

三津田先生天才なので面白いし不気味な雰囲気もあり、ホラーの基本である、視点の人物が怖がってるっていうのも抑えてて、ホラー作品好きな人は「ほーんおもろいやんけ」ってなるんですけど、なんかやや児童向けホラー小説感があるというか…。

最近の角川の傾向なのかな、なんか全体に子供向け?な感じ。
ぴっこまの漫画か、予算がそこそこ出たけどB級ホラー映画って感じ。
清水監督の映画も最近そんな感じよね。(きかいじまめっちゃ楽しみ)

キャラクターが多いため会話文が多く、主人公が6歳のためやや受動的というか頭をあんまり使ってないから考察パートがなく、地の文で「奈津江は○○することにした、××が▽▽のため■■だからだ」みたいな感じになってて、それが児童書感をさらに上げていく…。
本当に今までの作風と違う感じがしたから途中でいやーーーってなりかけた。

ざんっちが本は5分の3すぎると面白くなってくるって記事に書いてたのがまんまそれで、廻り家に肝試しに行く下りから急速に面白くなるのでそこまで読もう!ね!読書家諸氏!!!そういうこと!!!

あとうーんってなったポイントのもう一つが「なんで狐っていうモチーフ使ったのかな~」っていうところ。
お稲荷様とか狐ってもう手垢がつきまくってるモチーフなのでどうしてもチープさが出てしまう。妖狐がじゃあ物語に深くかかわるかなって言われると、「う…うーん、まあ…」みたいなオチなので、うーん感が残って手放しでほめるわけにいかないというか…。
わかりますかね?これはもう私のあれなんですけど物語の中に「稲荷神社」とか「狐憑き」が出てくると中二病みたいな気持ちになってくる。
竜騎士07とか西尾維新の小説とかもういろんなコンプレックスを刺激されて素面だと読まないんですけどなんかちょっとそんな感じ。あった、臭みがあるって感じで実際面白いんですよ、これはマジで。

文庫も高くなってきて、この本も800円ですって。
ずいぶん前に買ったのでそんなにしたんだ~っていう感じなので全然後悔とかないんですけど三津田ファンはまあ目を通してもいいかも、三津田氏の本全然読んだことない~って人は一旦魔邸とかをバウンドしてから読むのがいいかも。

人の書評とか考察読むのは好きなんですけど自分で書くのは難しい。
読書熱に火がついて久々に積読を消化したり増やしたりしたのでたまに本の紹介とかもしていきたい次第です。
以上!!!(厚切りジェイソン)

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