戦争を振り返る季節に考える戦略と組織と経営

日本の組織論で最大のケーススタディといえば、日本陸軍の研究。現代に続く学びが多くあります。国家経営は「経営」の最たるものであり、いったん誤ればその後100年、200年の未来を狂わせてしまう。地政学的な緊張が高まるいまだからこそ、風化させずに学び続けたいです。

以下の記事は、辻参謀という強烈なキャラクターを例に、いわゆる当時の戦争指導者層、エリート軍人は無能だったわけでも、前近代的だったわけでもなく、むしろその逆で、ある面においては非常に優秀だったことを書いてます。

では何が欠けていたかというと、戦略ビジョンとリーダーシップだったというのは、何だか今の企業のガバナンスに関するニュースを読む感じもします。あるいは我々がいま感じている課題を、当時の組織に仮託して見出しているのかも。

http://bizgate.nikkei.co.jp/article/141871614.html

http://bizgate.nikkei.co.jp/article/141871614.html

戦略というぐらいなのでそもそも経営戦略論は軍事理論の上に成り立っている面もあり、「失敗の本質」とか有名な書籍も多いです。

ティム・ハーフォードの「アダプト思考」で取り上げられている米国陸軍がイラクで行った過激派地域の平定作戦は、まさにクイックなフィードバックとPDCAによる自律的な改善活動で、シリコンバレーのデジタル企業の経営モデルを見るようです。米国はベトナム戦争のベトコンとの戦いの教訓からこれを学んだとされます。

http://d.hatena.ne.jp/founder/20120531/1338452511

http://d.hatena.ne.jp/founder/20120531/1338452511

米国が、というか実際にベトナムの教訓に学んでこの戦略を導入したのはマクマスター将軍という人で、軍上層部はむしろ彼の行動を止めようとしたらしいのですが、命令に反しながら自分の判断で行動し続け、成功を収めたとのことです。この人がトランプ政権の国家安全保障担当補佐官に就任したことが内外から歓迎されたのもわかる気がします。

http://www.nikkei.com/article/DGXKASGM21H7C_R20C17A2EA2000/

http://www.nikkei.com/article/DGXKASGM21H7C_R20C17A2EA2000/

現場判断で臨機応変に判断した辻参謀の「独断専行」もいまならアダプト戦略とか呼ばれるのでしょうか。結局ここでもビジョンのあるなしが問題になりそうです。