互いに学び、影響を与え合うドイツとシリコンバレー
「デジタルドイツ」特集でも紹介されていましたが、デザイン思考の総本山、スタンフォード大学dスクールをIDEOのデビッド・ケリーと創設したのが、SAP創業者のHasso Plattnerだったというエピソードは意外と知られてない気がします。
https://comemo.io/entries/1874
SAPのパロアルトオフィスはまさにそのデザイン思考のメソッドを体現した空間のようです。
http://www.worksight.jp/issues/1014.html
http://www.worksight.jp/issues/1014.html
デザイン好きからすると、ソニー製品や初期のアップル製品をデザインしたフロッグデザインを設立したのもドイツ人デザイナーだったし、アップルのジョナサン・アイブがディーター・ラムスによるブラウンのデザインの影響を受けていることは有名で、ドイツ工業デザインが西海岸のデジタル産業に大きな影響を与えていることがわかります。
ドイツデザインといえば、バウハウス、ウルム造形大で行われた教育が根幹にあり、アートではなく技法としてのデザイン、形態は機能から導かれるという哲学、"Less is more", "Less but better"の精神が、現代のデジタルプロダクツの基礎を作っています。そして今度はドイツ産業界がそこからイノベーションの技法を学ぶ、というドイツとベイエリアの往還の様子がとても興味深い。
米国中西部には、ドイツから逃れてきたモホリ・ナギらバウハウス直系の方々によるニュー・バウハウスの流れを組むイリノイ工科大学デザインスクールもありますね。こちらも米国のインダストリアルデザインに影響を与えている。
一方で、ドイツ文脈と別に、デビッド・ケリーさんが学ぶ以前の、50年代後半〜60年代前半のスタンフォードには、ジョン・アーノルドという人が、エンジニアリングと経営管理を融合した内容を教えていたみたいで、人間中心デザインの祖とか、イノベーションを仕組み化するデザイン思考の源流とか言われているようです。
スタンフォードに来る前にはMITにいて、鳥型宇宙人をユーザーと仮定したプロダクトデザインを学生に課題として与えるなど、60年前としては斬新すぎるUXの授業が災いし(笑)、西海岸に来たという事情があったらしく、こちらもかなり興味深いです。
https://blog.rwth-aachen.de/designthinking/2016/01/30/design-thinking-history-the-impact-of-stanford-prof-john-arnold/