洗い髪何処を切っても青い空

極暑にもマスクに群がるマスクかな

雨鱗ついては落ちて次の駅

春宵や頬杖伝ふ殺意哉

カーテンの隙間からふる雪をみてゐる

冬ざれの朝をまず殺したいんだ

寂しさから逃げてさむいさむい部屋

N局の年の瀬のあの空寒さ

寒夜にてとゞに語らふ室外機

息の溶ける寸前の冬に生き

冬晴れやくたばつている痩せ蜥蜴

僕は聞く、雨は話す新宿の冬