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ノアの方舟に乗ってみたい

 コロナ禍が収束したら行ってみたい場所がある。アメリカ合衆国ケンタッキー州にある原寸大の〈ノアの方舟〉である。

 キャッチコピーは〈Bigger Than Imagination(思ったよりデケェ!)〉。進化論を認めないキリスト教原理主義の団体が総工費1億ドルをかけて建設した。内部ではノア一族の暮らしが人形で再現されており、動物とのふれあいやVRによる洪水体験、ギフトショップやレストランも併設されており、家族連れで一日中楽しめるアミューズメント施設となっている。10歳以下の子供は無料で入場可能だ。

 無宗教の人間でもなかなか面白そうと思える施設なのだから、アメリカのクリスチャンにとってはメチャクチャ面白いに決まっており、今やケンタッキー州の財政を支えるほどの一大観光スポットなのだそうだ。
 ただ、最近では「洪水を二度と起こさぬとの誓いに神が天に虹を架けた」という逸話から「LGBTQ+ ムーブメントから〈虹〉のアイコンを取り戻そう」ということで夜になると虹色にライトアップされるというから思想的にヤバい場所であるのは間違いない。興味本位でホイホイ行ったらボコボコにされそうな雰囲気はある。

 もっと気軽に行けそうな方舟はないものか……そう思い悩んでたところ、なんと最近になって同じ原寸大〈ノアの方舟〉が香港にオープンしたというから驚きだ。

 馬湾島に新たに作られたこの施設は方舟内部の再現はもちろんのこと、アスレチック遊具が満載のキッズスペースや宇宙や自然を楽しく学べる学習スペースも充実、さらにはレストランやホテルも内接され、全室Wi-Fi対応という豪華っぷりだ。アメリカの方舟にもWi-Fiくらい通ってるとは思うが、行きたさの点では香港に軍配があがる。
 ただ、香港という大都会の細々とした場所に建設されたせいか、外観がまるで橋の下に座礁しているようにしか見えないのはご愛嬌といったところか。


 ちなみに英語版Wikipediaによると、本所の設計を担当した不動産会社の代表らは香港政務司司長への贈賄罪で逮捕、投獄されたというからノアもびっくりである。聖書もブッ飛ぶ中国らしい施設と言えよう。

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