DMBOK第12章メタデータ管理
要約
メタデータ管理を始めていく際に一度立ち止まって、体制や制度、ルール作りに関してじっくり考えることが必要になります。いきなりツールの選定をすると本当の課題を潰すことができないので、まずはデータ利用者に対して業務のどのような課題があるのかをヒアリングすることが大切になります。
ヒアリング後、どのような課題があり、優先順位や影響度からどのツールなら解決することができそうかを検討します。
メタデータとは
メタデータは、データに関するデータです。
このメタデータはデータマネジメントだけではなく、データを利用する時にも不可欠になります。この書籍全体では、メタデータに言及している部分が非常に多くあります。それだけデータマネジメントに関して重要になります。
大きな企業、事業になればなるほどメタデータの重要性が上がります。データの意味や用途、出所、担当者等を一覧化し、データ所有者に尋ねなくとkも確認できるからです。
なぜ管理する必要があるのか
一定のデータ品質を保つためにあります。人間は統制が無くなると好き勝手にデータを使いたがるので、データを都合の良い解釈をしたり、複数種類のデータ値を見落としたりします。
また、データの一貫性、最新性、セキュリティを確保できるためです。
つまりデータ関連の業務用語に関して組織が持つ知識を記録し管理します。
メタデータソリューションの成功要因
本書では以下の指針に従う必要があると記載されています。
重要な点としては以下になります。
戦略:作成、維持、アクセス方法を考慮した戦略を策定するが、この戦略は要件を左右するのでメタデータ管理製品の評価、購入前に定義をする必要があります。失敗すると製品導入後に使用されません。
全社的視点:反復的かつ段階的に導入しながら価値を高める。例えばいくつかの部門に絞って段階的に開始し、成功すれば知見を共有し反復していくことが重要です。
ソーシャル化:必要性と目的を伝えることでメタデータの価値を企業内に浸透させる。
メタデータの種類
メタデータはビジネス、テクニカル、オペレーショナルの3つのタイプに分類されます。メンバーがどのように使うのかで分かれています。例えば、業務側のメンバーがビジネスメタデータを使用し、エンジニアがテクニカルメタデータを使用することが多いですが、エンジニアがビジネスメタデータを利用することもあります。
特にビジネスメタデータは業務に直結することが多く、重要とされるケースが多いです。ビジネスメタデータの開発には、スチュワードシップが求められ、このビジネスメタデータを提示するには、時間と文章能力やファシリテーションスキルのような能力が求められます。 データスチュワードとは、業務用語集を利用して用語と定義のライフサイクルを管理します。データ資産と用語集の用語を関連付け、企業の知見を高めていきます。
メタデータ戦略の策定
メタデータ製品を導入する前に必ず下記のことは実施するべきです。
特に2, 4 は時間をかけた方が良いと個人的に思います。
2は、メタデータを使用するユーザーや意思決定層になるはずなので、抱えている本当の課題を洗い出すことで成果や評価につながります。
4は、以前書いたように段階的に優先順位の高い部署、チームに導入することで知見を溜めつつ、質を上げることができます。
低品質なメタデータの影響
これまでメタデータのメリットや戦略について述べてきましたが、このメタデータが低品質になるとどのような影響が発生するでしょうか?
それは、データが持つ意味に関する誤った知識、不完全または無効な仮定や、知識の欠如による判断の誤りが発生する可能性があります。
また、機微なデータの暴露により、顧客や従業員を危険にさらしたり、ビジネスの信頼性に影響与えたり、法的費用が発生したりする危険性もあります。
メタデータの評価尺度
メタデータソリューションを導入した後の改善を示すために、リスク、アセスメントの一環として、データ利用者が情報を検索するのに費やす時間を計測する方法を決めておく必要があります。
メタデータ環境の成熟度、成熟度評価に対する能力、成熟のモデルアプローチに基づいて企業のメタデータ成熟度を判断するために開発された尺度のことです。本書では以下の項目で推奨されています。
※1… 能力成熟度モデルアプローチについては、下記のnoteを参考にすると良いと思います。
まとめ
この章では、メタデータとは何か、から始まりプロジェクトマネジメントや組織論の角度から成功するための要因についてをまとめてきました。具体的な方法については、以降の章のアセスメントで記載をする予定です。
メタデータ管理を始めていく際に一度立ち止まって、体制や制度、ルール作りに関してじっくり考えることが必要になります。いきなりツールの選定をすると本当の課題を潰すことができないので、まずはデータ利用者に対して業務のどのような課題があるのかをヒアリングすることが大切になります。
DMBOKはメタデータ管理について体系的に書いてあり、業務で躓いた時に辞書として読むのがオススメです。
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