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戦略コンサル資料比較

コンサル資料を読むなら経産省
令和2年度2020 委託調査報告書 HP掲載一覧 によると599のレコードがあります。

コンサル好きの経産省が面白い?取り組みをしています。 


あまり近いと業務と取られかれないので、いまさらですが、数年前の内47件を占める以下の調査事業を例に見ていきます。

「令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる(係る・スペース在)国際経済調査事業」(以下、内外一体と略)

000163.pdf (meti.go.jp)

など経産省の重要施策で予算が潤沢な事業だったため通商政策局や貿易経済協力局、製造産業局の各課含め競って依頼しています。


ちなみに更に「内外一体」×サプライチェーンに限定すると今となっては懐かしい?

BCG「新型コロナウィルスの影響を踏まえた我が国産業のサプライチェーン強靭化に係る調査事業」のようなコロナの出始めのころの影響分析が載っています。

未知のウイルスをなんとかするための移動制限や工場停止、ホント今となっては懐かしい?と思える狂騒曲の時代の話ですね。

ここでは部品やモジュールごとの一国依存度をBCG保有の粗利益とグラフにするため統計データ他から類推しています。


さて面白いと言ってた本題

「内外一体」の中でも 通商政策局 アジア大洋州課南西アジア室 がマッキンゼーとBCGを比較するような資料を連番で作ってもらっています。

グローバル・サプライチェーンの環境対応等に関する分析 172 マッキンゼー・アンド・カンパニー

アジア大でのサプライチェーン強靱化に向けた調査 173 ボストンコンサルティンググループ

2大戦略コンサルに類似のお題を渡してどうなるか?依頼者は戦略コンサルヲタクだと思います。比較など詳細は後述。


ヲタク呼ばわりするのは、だってマッキンゼーのR2年はわずか2件。(残りは令和2年度戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(中小企業のAI活用促進に関する調査事業)最終報告書)のみ

例えば4大?BIG4の16件のPwC、8件のEY、6件のデロイト トーマツ、6件のアクセンチュア株式会社と受任数で大きく差を付けられていますから、普通にこのいずれかを選ぶような気もします。

 なお、確信犯的ですが、敢えて名寄せしています。



BCGの資料概要

R2年に10件受託・受任している株式会社ボストン・コンサルティング・グループは「内外一体」で先ほどの

・アジア大でのサプライチェーン強靱化に向けた調査

・新型コロナウィルスの影響を踏まえた我が国産業のサプライチェーン強靭化に係る調査事業

に加えて

・グローバリゼーションと労働市場

他の内容もみるに投資・エネルギー・労働市場/教育などが強そうです・


<2大戦コン 資料>

まずは公開されている資料の場所をお伝えします。

マッキンゼー資料

000172.pdf (meti.go.jp)


BCG資料 なお、下記2つの調査報告書では参考のところで双方向に引用

000173.pdf (meti.go.jp)

類似ネタとして株式会社ボストン・コンサルティング・グループは、グローバルという観点でも令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(グローバリゼーションと労働市場)調査報告書を通商政策局

企画調査室に提出しています。

000163.pdf (meti.go.jp)  強靭性向上モデルの部分を引用

000580.pdf (meti.go.jp)  こちらは後で述べますがマッキンゼー資料とガチ当たり調査です。


依頼した通商政策局 アジア大洋州課南西アジア室の担当者も全く同一の内容では依頼できないので

サプライチェーン分析を地域を分けて、グローバルをマッキンゼーに、ア大にBCGとまずは分けたのかと邪推。

サプライチェーンの深堀の方向性を室長他と話し合い方向性が変わったという話でしょうか。

発注先が資料の出来は評価できなくても、受注側がピカピカなので無問題です。


たぶん、聞き取りの中で各社の色が出て、マッキンゼーは環境・人権対応に特化(グローバル・サプライチェーンの環境対応等に関する分析)することになったようです。


対するBCGのタイトルは令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(アジア大でのサプライチェーン強靱化に向けた調査)事業報告書と中国を念頭に産業・業界分析をしています。


資料上でも

黒・青が印象的なマッキンゼーと

緑で攻めるBCG


いずれも国旗や企業エンブレム以外は極力色を排除してシックに決めています。


【マッキンゼー:環境対応等に関する分析】

カーボンニュートラルを切り口にサプライチェーン?を見ています。

マッキンゼー資料は日米欧の有名企業を一件一葉で横並びに分析して

脱炭素のCO2削減活動を先進的な取り組みとして提示しています。

コンサルならではの上層部への食い込みヒアリングとあわせ

いわゆるベストプラクティスの提示ですね。

文字数も多く、少し昔ながらの資料と感じてしまいます。

でもP90のF脱炭素の具体的ビジネスを市場規模と企業で落とし込んだ図は力技で流石だと思います。


さて対比のためにCO2排出に限って図面を探しました。

下記のP27ではどこで排出するかを直接・間接(購入品・活動に関連)で分けています。

対比先のBCGはこれを自社の上流・下流で切り分けていて私には分かりやすかったです。

下記の出典がマッキンゼー資料では無い孫請けなのでちょっと違いますか。



なおGHGは 温室効果ガス (おんしつこうかガス、英: greenhouse gas )の略です。


カーボンプライシングの図もわかりやすかったですが、対比のため

マッキンゼー作成資料として下記の関係図を示します。

レピュテーションリスクを中心に企業回りをきれいにまとめています。



【BCG: 強靱化に向けた調査】


著作権の関係もあり、主従関係を明示しつつ2枚だけご容赦頂けるかと

BCGの資料より抜粋。

ガチ当たりの資料も作成していました。


まとめを見て分かる通り中国の一帯一路とデカップリングという相反する動きと

アセアンと中国の密接な関係から分析を始めています。


地産地消 ⇔ グローバル分業

のグラデーションのなか結局どこを選ぶべきかについて

業界・産業ごとの実情を工場の場所・ヒアリングなどから解き明かします。



<まとめ>

高級芸者、高額派遣労働者など揶揄されるコンサルですが、

一枚から得られる〇〇万円という本来業務もやってますね。


同じ調査報告書でも依頼先によって大きく(かっこ内)違います。

条文の検討や、グローバルニッチ100など似たような名前でも特色は出ますね。



バズワードが生まれるホットな領域は限られているので、各社手垢がついている、今となっては擦り過ぎかもしてませんが

R2年時の最新トレンドで、コンサルは調査報告書を提出しています。

脱炭素はマッキンゼー以外でもBCGも作成し経産省に提出している一例を示します。

令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(サプライチェーンにおける脱炭素化に関する調査)最終報告書も産業技術環境局 環境政策課環境経済室で出ています。

さすがに次年度のR3年焼き直し、後出しじゃんけんなのでマッキンゼーの内容は参考にしているんじゃないでしょうか。


ここまで資料・冊数が多いと国の方向性にどれだけ影響があるのか疑問ですが

頼られるうちが華


企業の人も資料作成の時に勉強にさせてもらっています。

・一枚1コメントを抽出して最初の「まとめ」に列記

 →決済者にまとめを読んでいただき、あとは、ぱらぱら見てもらう前提の図表で補助

・MECEに分けたセグメントを示すアイコンで一件一葉の補助を作る

 →全体図からいま何処にいるのかを分かってもらう

実は細かいノウハウが見やすさのために満載なので、どこまで気づけるのか



今回の調査報告書、受任してから3年程度経つと内容については

知っている内容や当たり前の話もチラホラ出てきます。

やはり鮮度は大事だと気づけるのは当業者だからこそ・

仕事も頑張ります。。


だってマッキンゼーは2000人のリストラを発表していましたね。

分析が確かなら冬の時代を迎えそうです。

マッキンゼー、約2000人を削減へ-過去最大級の人員削減 (msn.com)


景気のいい話したいですね。

私の与太話よりは、リンクを貼った原文を読んでハイクラスになってくださいませ。

000580.pdf (meti.go.jp)

担当者の汗と涙の結晶ですから「まとめ」のページの後のAppendixが個人的には好きです。

「資料を作ってくれてありがとう。エッジが効いていない。とりあえずAppendixに入れておいて。」

てな話が繰り広げられるのですが、それでも曲がりなりにも日の目を見れた補助資料となります。





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