トリテとレンク(4)~連句と季題とフォロー
せめて遅くても1ヶ月の更新……とおもいつつ、前回から1ヶ月半経過してしまいました。
今回は「レンク(連句)」がメインとなります。
といいつつ「トリテ」も関わってきます。
「トリテ」のフォロー
「トリテ」は、いくつかの「トリック」と呼ばれるミニゲームを行い、そのミニゲームに勝つと「トリックを1つ取る」などの扱いになります。
そして、ゲームによって「トリック」のルールがいくつかあります。
1番スタンダードなものは「マストフォロー」。
1番最初にプレイする人が出した手札をリードカードと呼びます。
リードカードに描かれたスート(スペードやハートなどのマーク)をリードスートと呼びます。
次番以降のプレイヤーは、リードスートのカードが1枚以上あれば、それらから選んで出さなくてはいけない、というルールです。
手札に1枚もないときに、違うスートのカードを出せます。
(このルールを守らないプレイをリボーク(反則)と呼びます)
プレイヤーAは、スペードの9をリードします。
プレイヤーBとCは、手札にスペードがあるので、出さないといけません。
プレイヤーDは、手札にスペードがないので、どれか1枚を出します。
その他には「メイフォロー」。
マストフォローと異なるのは、次番以降のプレイヤーの手札にリードスートのカードがあっても、それを出さなくてもよい、というルールです。
プレイヤーAの出した、リードカードに縛られず、他のプレイヤーはどれか1枚選んで出せます。
ほぼ、これら2つに分かれます(といっても大部分は「マストフォロー」)。
稀なものとして「マストノットフォロー」もあります。
これは「マストフォロー」と逆に、リードスート以外のカードから選んで出さなくてはなりません。
手札がリードスートしかない状況のみ、リードスートのカードが出せます。
プレイヤーAは、スペードの9をリードします。
プレイヤーBとCは、手札にあるスペードが出せません(マストフォローと逆になります)。
プレイヤーDは、手札にスペードしかないので、どれか1枚を出します。
「レンク」は何フォロー?
では、「連句」をこの「トリテ」のフォローに当てはめると、どうなるのか?
と言いつつも、連句とトリテとを並べて見るために、ちょっとズルい細工を施します。
それぞれのミニゲームの区切り方です。
トリテは、前の見出しに書いたように、「トリック」をミニゲーム1つ分とします。
連句は、前の句を踏まえての句(5・7・5の上の句もしくは7・7の下の句)を決定するまでをミニゲーム1つ分とします。
まあ、変わらないように見えますが、大きな差異があります。
それが、リードの決め方です。
トリテは、ミニゲームの最初のプレイヤーがリードカードを出すことで決まります。
連句は、前の句の内容によってリードが決まります。
トリテにも、前のトリックの結果でリードが決まるルールのものもあります(実例は調べてませんが、最悪つくることはできます)。
ただし、特殊な実例として捉え、一般論としてはあえて外しますので、よしなに。
連句には、トリテのようにスートにあたるものがあります。
そのうちの1つが、
季題
です。
季題は何フォロー?
俳句には「季語」があります。
「季題」は季語のもととなることばですが、「季語」とは異なります。
「季語」の件については別のnoteで書きますので、今回はフェイドアウト。
「季題」は大きく4つあります。
春・夏・秋・冬です。
当たり前、といえば当たり前ですが、もう少し込み入ったことを言えば、それぞれ(例えば、春であれば)初春・旺春・晩春と「はじめ・さかり・おわり」と3つに分けることができます。
ただ、今回の話ではここまで細かくしなくてもいいので、スルーします。
そして、それぞれの季題となる言葉の数に多少があります。
秋が1番多く、それに次いで春、大分はなれて夏、そして冬です。
不等号であらわすと、
秋>春>>夏>冬
という感じです。
なので、連句をつくるときに、これらの言葉の状況を加味して、
春・秋を読む句は連続して、通常3句(5句まで許容)
夏・冬を読む句は連続して、通常2句(1〜3句まで許容)
としています。
つまり、同じ季題をよむ「マストフォロー」が発生しつつも、場合によっては「メイフォロー」、もういい加減変えようぜで「マストノットフォロー」に切り替わっていきます。
そこら辺を取り仕切るのが、連句のゲームマスターたる宗匠の役割となります。
一方、季題を入れない句を読むこともできます。
これは「雑(ぞう)」と呼んでいます。
トリテで言えば「ノースート(スートを決めない)」というところです。
これは、連続でも2句くらいです。
「季題」の中のスーパートランプ
「季題」のなかで特別格のものが2つあります。
春の季題である、桜をあらわす「花」。
秋の季題である「月」(ただし、「春の月」のように季節をつけると各季題に当てることができます)。
この2つの季題は、みんながみんなつくりたがるので、ほぼどこらへんで出すのかが、決まっています。
例として、36句をひとまとまりとした歌仙形式の場合を出しますが、連句を読むときの記録用紙である半紙の使い方も、あわせて説明します。
・2枚の半紙を用意します。
・それぞれ、4回重ね折りをして折り目(罫線代わり)をつけます。
これで、16行書くことができます。
・最初の1枚の右半分(8行)は、連句を作った日時・場所などの情報を書きます。
・左半分から連句を1句1句書きますが、
最初の6句を書き記します。
これを、「表」と呼びます。
さらにいえば、通常は、表の5句目で「月」の季題をよみます(なので、表5句目を「月の定座(じょうざ)」と呼びます)。
・半紙を裏返しにして、(続きとなる)12句を書き記します。
これを、「裏」と呼びます。
ここでも、通常は裏の7句目で「月」、裏の11句目で「花」の季題を読みます。
・そして、もう1枚の半紙を使います。
この半紙を「名残(なごり)」と呼びます。
1枚めと同様に折り目をつけます。
表には(続きとなる)12句を書き記します。
・半紙を裏返しにして、右半分に(続きとなる)最後の6句を書き記します。
名残の裏の5句目で「花」の季題を読みます。
ちなみに、最後に書く名残の裏の6句目は「挙句(あげく)」と呼びます。
ということで、連句にはこのラウンドでしか出せない超切り札(スーパートランプ)なるものがあります。
細かく言えば、「月」については前倒しで出しても構わないようです。
「花」が特に厳しく、できるだけ定位置でおさめます。
「季題」でもないサブスート
連句にはもう1つ、季題ではないがフォローにかかわる題目があります。
それが、
恋。
1句だけからめて、すぐに話題が変わるのは野暮のやること、のようです。
2句から5句まで続けます。
ちなみに、ご存知松尾芭蕉さんは、恋句でも相当の達人だったようです。
まだまだ式目(ルール)はあるが…
更にいうと季題には「季戻りは避ける」お約束もあります。
簡単に言うと、秋をよんで次に夏をよんだら、そのつぎは春か冬にしてね(秋だと戻っちゃうでしょ)、ということです。
このへんは、以前noteにも書きました
以前の歌と同じことをよんではいけない(よむことを避ける)を踏まえてのことです。
「連句」は式目(ルール)がたくさんあって難しくみえますが、これらの式目は、36句よんだ全体の流れ(シナリオ)をよく見せるための土台作りです。
そこをおさえれば、あとは自由だヒャッホー(極端にいえば)、なのでいうほどキツキツでもありません。
まとめ
一応、当初の目的であった「トリテと連句の共通点をフォローからみてみる」について書いてみました。
まあまあの無謀な行為だったな、と思います。
ここからトリテの新しいアイデアが拾えたらいいですね、くらいのつもりで書いています。
次回はトリテの回。
ゆるゆる行こうと思います。
では。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?