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「『Bamboo Bash』を制作したInperial Publishing Incは、Justin Ohさんと果たしてコンタクトは取れるのか?」について書いてみる。

まずは全く関係ない話を。
『Design SHOGI』のプロジェクトが終了しましたので、ありがとうございますのお知らせ。

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180人(でも1人は自分なので179人)のバッカーのみなさま。
そして、逡巡してキャンセルした方々。
検討してプレッジを見送った方々。
単に見に来ていただいた方々。
ありがとうございました。

そして、Logy Gamesの山本さん。
ありがとうございました。


では本題です。

Kickstarter開始3時間後にキャンセル。
その後さらに騒動となってしまったInperial Publishing Incの『Bamboo Bash』。

この話題の3回目になります。

ボードゲームの著作権(知的財産権)について

『Bamboo Bash』が『Toc Toc Woodman』のパクリだ模倣だ、といろいろ騒がれています。
模倣するべきならば、もととなった『Toc Toc Woodman』の製作者の権利を尊重してライセンスを結ぶべきだ、という意見も出ています。

ただ、ややこしいのはボードゲームの知的財産権、とくに著作権でして、

著作権がある国とない国がバラバラ

という状況なのです。
そのへんについては、自分もnoteで「(日本では)ボードゲームの著作権がない」仮説を書きました。

『Toc Toc Woodman』を制作したGembloは韓国のメーカーです。
韓国ではどうかというと、どうも日本と似たような状況なのでは、と思われます。

韓国の著作権法を調べてみました。
著作物の条項には、日本と異なり「応用美術品」について明文化されていました。

【引用】
第1節 著作物 第4条 第4項
繪画・書芸・彫刻・版画・工芸・応用美術著作物その他の美術著作物

では、ボードゲームは該当するのか?

1つ実例的な話をします。

Justinさんは2010年にボードゲーム『Raon』を製作しました。
しかし、『Bamboo Bash』騒動の前年2020年に、『Raon』の模倣品が販売、流通したそうです。

このゲームは、韓国の文字「ハングル」の一部で構成されたタイルをつかい、ラミーキューブのように組み合わせて文字を完成させるゲームです。



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あれ?
これって………

『漢字博士』じゃない?

いやいやいや……漢字とハングルは異なりますよ。
ね?

話を戻します。

Justinさんはとくに『Raon』の知的財産の権利を主張することもなく、むしろ「ほぼ泣き寝入りのスタンスです」的なツイートもしています。

自分の見解ですが、韓国はボードゲームに著作権がある可能性は低い、と推測します。

『Toc Toc Woodman』の知的財産権の所有者

さて、今回のnoteを書き上げて、公開のタイミングをはかっていたところに、突然の出来事がありました。

3月8日、Justinさんがツイートしました

(そんなわけで、いろいろと削除したり路線変更したりと……)。

ツイートの内容をかいつまんで引用します。

Before Seth made Bamboo Bash, it would have been better if he had made an agreement with KBG, who owns the international copyright of Toc Toc woodman.
【翻訳】
SethがBambooBashを作成する前に、TocTocウッドマンの国際著作権を所有するKBGと契約を結んでいた方がよかったでしょう。

Now, KBG made a contract with Foxmind, so I can’t talk with him directly.
【翻訳】
現在、KBGはFoxmindと契約を結んでいるので、彼と直接話すことはできません

※つまり、タイトルの回答は「取れません」。

ツイート全体を、3つのポイントでまとめます。

・『Toc Toc Woodman』の知的財産権の所有者は、JustinさんではなくKBG(Korean Board Games)にある。
・なので、Justinさんは直接Sethさんと権利の話はできない。
・カナダのメーカーFoxmindとライセンス契約しているので、国際的な著作権(知的財産権)は、カナダの法律にも準じる。


そこで、カナダの著作権法を読んでみました。
意匠にかかわる条項もありました(つまり、工業製品も著作権を持ちうる可能性がある)。
ごめんなさい、門外漢の私には無理。
カナダでのボードゲームの著作権の有無の判断は、専門家(弁護士)の意見におまかせします。


騒動の中心人物、Seth Hiattさんとは

『Bamboo Bash』を製作したのはInperial Publishing Incで、その代表がSeth Hiattさんです。

1回目の記事に書きましたが、Sethさんは、
・Inperial Publishing Incの代表(創業者)
・Sleeve Kingsの代表(創業者)
・Mayday Gamesの代表
と3つの顔があります。
さらにいえば、Mayday GamesのKickstarterのクリエイターとして、本名名義でプロジェクトを立ち上げています。

会社ごとにバラバラとみるとややこしくなります。というのも、

・Inperial Publishing社
……『Bamboo Bash』の制作。Kickstarterのクリエイター
・Sleeve Kings社
……KoreanBoardGames、Justinさんへコンタクトを取ろうとするTwitterの名義
・Mayday Games社
……『Bamboo Bash』のもととなる『Toc Toc Woodman』のライセンス契約をKBGと交わす。現在は契約終了。

と、入り乱れてるのです。
なので、Seth Hiattさん1人を軸とした視点で整理するのが、わかりやすくなります。


ライセンス契約終了した同時期のもう1つの出来事


『Bamboo Bash』がどのように作られたのか、その顛末のブログをSleevekingsで書いています。

この内容は、『Toc Toc Woodman』のライセンス契約が終了となった後の経緯となります。
実は、このブログの冒頭に、Mayday Gamesのブログのリンクがありました。

ここでは、いかにして『Toc Toc Woodman』のライセンス契約が終了したのかという顛末が書かれています。

読みました。

正直、コーヒーを飲んで口に含んでいたのに、思わず烏龍茶を吹き出してしまうぶっ飛んだ内容でした。

この話をするのにあたり、時系列が重なり合う別のボードゲーム『Yummy Yummy Pancake』を用意します。

『Yummy Yummy Pancake』は2017年にKorean Board Games(以下、KBG)から販売されました。
Mayday Gamesは、このゲームの(販売)ライセンス契約を結びました。
そして、2018年6月にKickstarterのプロジェクトをSeth Haiattさん名義で立ち上げます。

ここで、ポイントとなるのが次のプレッジです。

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Mayday GamesがKBGとライセンス契約している3品まとめたプレッジです。
バッカー数は55人。多くはありませんがまとまった数です。

さて、『Yummy Yummy Pancake』の製品も完成し、バッカー全員に送る分も確保しました。
発売開始は、2019年6月21日です。

ところで、『Toc Toc Woodman(Click Clack Lumberjack)』と『Coconuts』の2製品のライセンス契約終了となったのはいつなのか。

2019年6月なのです。

あれ?これって偶然なんでしょうか?

二重のグダグダ

創業時、Mayday Gamesのオーナーは2人いました。
1人はSeth Haiattさん。
もう1人は、奥さんのPaulaさんです。

この体制で続いていたのですが、2018年に事件が起きます。
SethさんとPaulaさんは離婚しました。
その後、Mayday GamesのオーナーはPaulaさん1人になります。
SethさんはMayday Gamesのオーナーから外れましたが、会社には残って仕事をします。
その一方で、別会社 Imperial Publishing incを立ち上げます。

Sethさんは、Maydayでは社員、Imperial Publishingではオーナーということです。

で、MaydayオーナーがPaulaさんの時期に、ライセンス契約終了となりました。
KBGにタイムリーな売上報告書を提供しなかったことが原因の1つとされていたようです。

Sethさんは、契約終了の詳しい理由を求めましたが、契約終了を伝えた会議では話されなかったようです。
その数週間後にKBGは「『Toc Toc Woodman』とライセンス契約するほかのパートナーを探している」ことを伝えました。

これが契約終了の簡単な経緯です。
しかし……これって、勘ぐりなのですが……ぶっちゃけ、

Paulaさん、なにかやらかしたんじゃない?

と思います。
というのも、2019年4月に、Mayday Gamesでは『Coconuts』の在庫が切れたことをKBGに連絡したそうですが、追加発送はなかったそうです。
そう考えると、KBGは2ヶ月以上前から契約終了を考えていたのでは?と勘ぐりしてしまいます。

そして2019年12月から、Imperial Publishing Incで『Bamboo Bash』の開発が始まります。
Mayday Gamesとは別会社なので、2社間のライセンス契約とは全く関係ない。
そのような考え方で、KBGやJustinさんへのコンタクトは取っていないと思われます。

さらなる契約、さらなる復職

2020年に入って、KBG、Sethさんともに大きな変化がありました。

まず、KBGから。
カナダのメーカーFoxmindと『Toc Toc Woodman』のライセンス契約を行い、新たなパートナーシップを結びました。

そして、Sethさん。
2020年後半に、Mayday Gamesの株式を取得して、事実上のCEOとなりました。
さらに、Imperial PublishingはMayday Gamesの姉妹会社、という扱いとなりました。
つまり、SethさんはImperial Publishingの事業Meyday Gamesの負の遺産(?)も取得している、とみることができます。

そもそも『Toc Toc Woodman』のライセンス契約終了は「和解」の上でのことなのか。
当時のSethさんは、オーナーではなかったため、トップレベルでの秘匿情報や資料を得ることは難しいと思われます。
しかし、現在オーナーとなった立場であれば、前オーナーに関する情報も調査できるかも知れませんが……むにゃむにゃ。

まとめ

珍ぬの結論としましては、

『Bamboo Bash』を出すのは構わないが、
それに起因する一切合切の面倒事は、
Sethさんがなんとかしなさい

です。
おそらく、今回の件に関してSethさんは「自分は何も悪いことをしていないと思っている」のではないかと邪推してしまいます。

しかし、Mayday Gamesのオーナーに再度なった以上、ライセンス契約終了を起こしたであろう過去のグダグダも逃げずに向き合わなければならないと思います。

……とりあえず頑張れ、Sethさん。

長々と書いてしまい、大変失礼しました。
また進展があれば、書くかも知れません。

では。


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