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(ボードゲーム『ハゲタカのえじき』のルールに酷似していると一部で騒がれていた)対象年齢7歳以上の百合カードゲーム『ヤバ百合会の妹たち』について、いろいろ考えてみる。

またもやボードゲームの類似酷似騒動

先日、以下のツイートを見ました。

いや、これ完全に『ハゲタカのえじき』だけど、ちゃんとデザイナー名としてアレックス・ランドルフの名前はクレジットされるんだろうか?? カードゲーム「ヤバ百合会の妹たち」がゲームマーケット2022春にて発売

『ハゲタカのえじき』は、こちら。

Twitter上で、ルールが同じだ、酷似しているぞ、パクリだ、と、また騒動が起こってしまいました。
で、この騒動については、スルーします。
もうすでに、大勢の人がいろいろ話されているので、追加でコメントしなくてもいいかなあと。
おおよそは、関連する記事をまとめた下のマガジンであれこれ書いていることと重なるので。

それはそうと、今回騒がれた『ヤバ百合会の妹たち』。
どのような背景があるのか、情報を集めてみました。
で、あることに気づいてツイートしてしまいました。

いや、待て待て。 それよりもテーマが「百合」で「対象年齢7歳以上」のボードゲームにオドロイタ。 このゲームで遊ぶ一家団欒とか想像すると、オレって7歳の子どもにちゃんとLGBT教育できるのかなあ……。 ターゲット層の設定、尖ってるなあ。

ということで、この件。
もうちょっと深く考えてみます。

対象年齢は、テーマで決める?ルールで決める?

比較対象として、1つのカードゲームを取り上げます。
『探ぱん 探偵になってぱんつを当てるゲーム』。

親のプレイヤーが設定した、女の子のはいているパンツの種類を、他のプレイヤーが質問して当てる。
そのままのゲームです。
このゲームの対象年齢は「12歳以上」です。
設定しているよりもさらに低年齢の子どもでも遊べるくらい、難しくないルールの難易度と思われます。
ルールで設定したのではなく、テーマで設定したと思います。
週刊少年マンガより高く、週刊青年マンガよりも低い、月刊少年マンガのイメージでしょうか(珍ぬ当人比)。

そして『ヤバ百合会の妹たち』を制作しているストロマトソフト。

当該品は2作目で、去年に第1作目となる『百合乱慕』をリリースしています。

これまたテーマが「百合」(現在時点、百合率100%)。
こちら『百合乱慕』の対象年齢は「9歳以上」です。
ゲームルールは、ドラフト、およびカードごとにユニークな特殊能力があるので、ルールの難易度で設定しています。
一方、テーマで対象年齢を設定しているのか……まあ、ギリギリかなあ、と個人的には思います。

あたらめて『ヤバ百合会の妹たち』。

今回のnoteのタイトルにしてある通り、対象年齢は「7歳以上」。
そして、ルールのベースとなっている『ハゲタカのえじき』の対象年齢ですが「8歳以上」です。

なぜ、本家よりも低年齢なのか。
一部の情報には、『ハゲタカのえじき』の対象年齢が「7歳以上」と書かれていたので、おそらくそちらを参照したのではないかと推測します。

にしても、第1弾の『百合乱慕』と絵師が変わって、テーマ的にはより年齢層を上げた絵柄ですが、対象年齢はビッタリとルールに準拠しています。


これは、新機軸を意識しているのか?

テーマが「百合」で、対象年齢が「7歳からOK」。
これに対するレスポンスのツイートはいくつか見受けられました。
ヤバいのでは?とネガティブなものが割合多めでした。

珍ぬ自身も、ツイートしたとおり、当初は戸惑いました。
「百合」を大きくくくってみるとLGBT。
7歳の子どもからLGBTの質問をされたら、どう答えるのだろうか。
あるいは、どのようなゲームで遊ぶ風景になっているのか、考えを巡らせました。
一家団欒で遊んでいる……で、ふと、このようなパワーワードが降りてきました。

ファミリー向け「百合」ボードゲーム。

一家団欒で遊んでいる……両親が子どもたちに買い与えている……これ、する?
ものは試しで、職場にいるメンバーの1人(成人した子がいる母親で、ボードゲームは詳しくないし、多分LGBTではない)に「あなただったら、かくかくしかじかで買い与えます?」と聞いてみた。

返答「内容による」。

サンプル数1ですが、連想を促す幅の効いた、結構な回答でした。

偶然を必然に持ち替える

テーマ「百合」と『ハゲタカのえじき』タイプのルールの組み合わせは、たまたまの出会いかも知れません。
しかし、ファミリー向け「百合」ボードゲームを作るぞ、と方針が先立つと、『ハゲタカのえじき』タイプのルールは、制作側にしてみれば必然的な選択肢の1つになります。

せっかくなので、ストロマトソフトさんには、ぜひ

「百合」ボドゲ界のHABA(ハバ)

を目指していただきたい(無茶ぶり、ともいいます)。
HABAは、ドイツにある低年齢者層向けのボードゲームを多数制作している玩具メーカーです。

『宝石ゴンゴン』のルールをベースにした『百合百合ゴンゴン』なんて、1度お目にかかりたいものです。

『ヤバ百合会の妹たち』の対象年齢「7歳以上」は中途半端だったかも知れないので、次回作は対象年齢「4歳以上」を臨むところです。

3歳以下は、ゲームの部品など誤飲する
おそれがありますので、注意してください。


【独り言】
ところで、ストロマトソフトさんや制作者の1人黒伏しのぶさんのTwitterをもみると、騒動のことなど知らず(なのかは知りませんが)落ち着いている様子。
今回のnoteも、ささいな戯言と聞き流していただけると、これ幸い。


締め(そして、やっぱりちょっと書きます)

ということで、騒動の争点とは違った視点から考えたことを書きました。


……とはいえ、やっぱりちょっと騒動を巡る件で、情報を付け足します。

『ハゲタカのえじき』は、トランプで遊ぶゲームの1つ『ゴップ』のルールが元となった、と言われています。

ところが、どうも別の説があって、作者のアレックス・ランドルフは

たまたまインドの兵士たちが興じていた
ギャンブルをみて、そのルールをアレンジした

という資料(アレックス本人のデザイナー・ノート)もあります。

アメリカ版『ハゲタカのえじき』であるところの『ラジ』に掲載されている、アレックス・ランドルフによるデザイナーズノート。翻訳ファイルが見つかったので訂正も兼ねて掲載。(1〜3/3)

【註釈】
『ラジ』のつづりは「Raj」。
ヒンディー語で、「統治」「(英国の)インド支配」の意味があります。
そのような事情もあるのか、現行のアメリカ版は『What the Heck?』になっています。

知らずに思いついたルールのバッティングなんて事象は、ざらにあるんですな。

では。

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