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□□□とボードゲーム(1.618)〜デュシャンとチェス(続々々々々:超マス)

前回の記事はこちら。

前々回の宿題をしないまま終わりました。
さらに、ちょいとした体調気分不良の「のほほ〜ん」状態となってけっこう休んでしまいました。
ごめんなさい。

さすがに今回は宿題を片付けます。
なお、ナンバリングは黄金比(1.618…)の近似になっていますが、たまたま気づいて悪乗りしているだけで、記事の内容とはほぼ無関係です。


前々回の宿題と個人的妄想

で、前々回の記事はこちら。

残していた宿題はこちら。

ポスターでは、立方体は21個描かれています。
多数の立方体を描くために、ブロックを袋に入れて撮影した写真をモデルとしました。
とすると、他のブロックの裏に隠れているものが何個かあってもおかしくないよね?(※「Tout-Fait」の記事には、その話題は書かれていませんでした)

果たして、デュシャンは袋にブロックを何個入れたのでしょうかね。

正解はわかりません。
わかりませんが、四次元に興味をもったデュシャンならば、と妄想しつつ仮説を立ててみます。

袋に入れたブロックの個数は24個
描かれなかったブロックの個数は3個

です。


正八胞体(四次元超立方体)

デュシャンの1925年のポスターに描かれた立方体のブロックは、三次元化したチェス盤のマスを表しています。

で、この立方体マスを同じようにもう一次元あげてみます。
これは、四次元化した超立方体(正八胞体)のマスです。

引用:https://yusuke-ujitoko.hatenablog.com/entry/2017/04/01/022305


正八胞体というのは、三次元の立方体が6個の正方形を組み合わせた図形であるように、四次元超立方体は8個の立方体を組み合わせた図形になります。
上の図を見ると、中央に小さい1つの胞体があり、その周り4箇所と上下それぞれ1箇所に合計6つの胞体があり、図形の外側に大きな1つの胞体で、あわせて8つです。

正八胞体は下の図のように表すこともできます。

小丸は正八胞体の頂点

さて、正八胞体を構成する正方形の数をみてみます。
1つの胞体は立方体ですので、6個の正方形から成り立ちます。
胞体は8個あるので、単純に数え上げると48個です。
しかし、どの正方形も2つの胞体(立方体)の面が接しているので、その半分の24個となります。

正方形を赤線および青線で囲ってみる

さらなる特徴として、立方体だと辺で接しない2つの面が3組あるように、正八胞体は、面で接しない2つの胞体が4組あります。


立方体と、その2つの面が接しない3組


正八胞体の2つの胞体が接しない4組


おまけですが、キングと24マスの組み合わせの特徴を。

通常のチェスで、キングが2回移動することで到達できるマスは24個あります。

キングは、タテ・ヨコ・ナナメに1マス移動できます。

さて、正方形のマスからなる正八胞体の盤面を考えてみます。
1つの胞体つまり立方体の面の1つがマスになります。
マスは2つの胞体に含まれていますので、キングはそれぞれの胞体での辺に接するマスに移動できます。

それぞれの胞体でのキングの移動できるマス(赤線で囲う:各4)。
点線で囲ったマスは、1回移動では到達できない。

胞体の向かい合う面には移動できない(2回移動が必要)ので、合計すると8マスに移動できます。
通常のチェスと同じく8マスなのが面白いです。
では正八胞体の盤面でキングを2回移動するとどうか。
1マスだけ3回移動でないと到達できません。

青く囲ったマスは、キングの2回移動では到達できない。


描かれないブロック

24個の妄想はこの程度にして、次は描かれないブロックがなぜ3個か、です。

ある意味シンプルです。

チェスの勝敗が着くのに必要な
コマの最低数は3個

です。
まず、何よりもそれぞれのプレイヤーのキングは欠かせないので2個いります。
その一方、キングだけでは勝敗がつきません(チェスでは、相手に捕獲されるようにキングを移動することができないので、結果引き分けになってしまう)。
キングを詰め(チェックメイト)するコマがどうしても1個必要になるので、合計3個です。

コマが置かれているマスは、当然空きマスではありません。
つまり、ポスターに描かれたブロックはすべて空きマスのブロックだ、と妄想してみました。

24マスの盤面の作品

ところで、デュシャンの作品にはチェスのモチーフが含まれているものが少なくないわけですが、ネルソン・アトキンス美術館が収蔵している作品に「Marcel Duchamp Cast Alive(マルセル・デュシャンの生きた鋳像)」があります。



引用:https://twitter.com/nelson_atkins/status/1155515004814315520/photo/1

左上の顔の鋳像は、デュシャン本人のライフマスク(存命中の本人の顔)です。
デュシャンがチェス盤を見下ろしていますが、このチェス盤――24マスなんです。
まあ、偶然、でしょうけどねえ。

締め

ということで、引き延ばした宿題をようやっと出すことができました。
色々と失礼しました。

デュシャンとチェスは掘り出すとドサドサ発見があって面白い。
とはいえあと1回やって一休みして別の話題に浮気しようかしら、なんて考えてもいます。
どうしましょ。

次回もよろしくです。

では。

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