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野草、虫、ヘビを喰うニート

前回の記事↓を読んでくださった皆様、ありがとうございます。

さて今回は、前記事の話題リストに挙げていたものの一つ、実際に僕が山奥生活で食べてきた0円食料について一部紹介していこう。

※本当は世間一般的に美味とされる季節の山菜(フキノトウ/ウド/タケノコ等)もたらふく食べているが、山奥だからこそ安易に入手できるものであり、自慢したいわけではないので今回は割愛する。
なるべく都会の自然でも採取できそうな食料たちに絞って紹介しよう。

①初級編…野草たち

ノビル

まずは野草の王(※個人的意見)、ノビルだ。

球根ごと醤油漬けにすると
ご飯が無限にすすむ

手に入れやすさ☆☆☆☆
味      ☆☆☆☆☆
処理しやすさ ☆☆☆☆
都会でも河原 / 公園など道端に生えていることが多く、山奥でなくても手に入りやすい。味はネギ同然で、ちぎった時のネギ臭が毒草であるスイセンとの見分けやすさに一役買っている。
こいつが旬の春は青ネギなど買う必要はないだろう。

ヤブカンゾウ

次に野草の女王(※個人的意見)、ヤブカンゾウを紹介しよう。

類似する毒草「キツネノカミソリ」に注意。
根を掘って形で見分けよう。

手に入れやすさ☆☆☆☆
味      ☆☆☆☆☆
処理しやすさ ☆☆☆☆☆
春先の河原、田舎ならその辺の道端にわりと生えている。旬は春先で、多少大きくなった若芽でも雑に食うことができる。天ぷら、おひたし、野菜炒め…圧倒的アクのなさが最大の長所で、下処理もせずに何でも使える万能野草だ。

野草&山菜は基本アク処理がついてまわる。
面倒ならまとめて天ぷらだ。
油で揚げればたいていのアクは抜けてしまう。


ほかイタドリ / ユキノシタ / ギシギシなど、案外食える野草は都会にもある。大量に群生している穴場が見つかれば、4月中は野菜を購入する行為さえしなくなったりする。


年収90万円で東京ハッピーライフ 大原扁理 著
東京で採れる野草について詳しく紹介している。
山奥に行かなくても楽に暮らせる方法を教授してくれる良著だ。


②中級編…虫たち

バッタ/トンボ / コオロギ

おまえら揚げたらみーんなエビフライのしっぽみたいな味しやがって

手に入れやすさ☆☆☆☆☆
味      ☆☆
処理しやすさ ☆☆
特筆するほどの特徴もないというのが率直な感想である。
可能なら共食いに注意しつつ絶食、糞抜きをしたうえでカラッと揚げよう。

ジョロウグモ

腹が卵で膨れだす秋までガマン

手に入れやすさ☆☆☆
味      ☆☆☆☆
処理しやすさ ☆☆☆☆☆
予想をいい意味で裏切ってくれた期待の選手。塩ゆでにしたときに進化を発揮する「動くソラマメ」。食感は卵持ちのメスを引いたおかげかタラコのようなプチプチ感。味はマジでソラマメそのものだ。
秋の味覚にどうだろう。

キイロスズメバチ

自力で獲るのはオススメしません。
てかニートが対峙していい相手か?

手に入れやすさ☆
味      ☆☆☆☆
処理しやすさ ☆☆
皆さんご存じ田舎の軒下に巣を作るヤバいやつ。防護服 / 殺虫剤 / ビニール袋 / テープ / 覚悟など多様な装備が必要だ。

もし手に入れば素揚げ&甘露煮の
宴が開催できるだろう。

成虫…バッタどもと同じエビ尻尾味。しょぼい
幼虫…内臓と糞が体重の7割を占める。栗っぽい味。
蛹 …実は一番美味い。糞もなくシャクシャク食える。

ハチ毒は経口摂取&加熱で
無害化されている。


ほかにもムカデ / カメムシなどが挙げられるが、ムカデは殺虫剤受容個体を引いたおかげでケミカルテイスト、カメムシは書くのも耐えられない結果となった。

そして昆虫食ではとくに有名なセミ。実は夏が個人的に忙しい季節もあってかまだ食べられていない。皆も古代ギリシャから食われてきたアイツらに挑戦してみてほしい。一番の狙い目は羽化したての柔らかい瞬間だ。

③上級編…ヘビなどの動物たち

雑草 / 昆虫 ときて最後は爬虫類だ。賢明な読者の皆様は、超有名な食用ガエル「ウシガエル」誰でもお手軽甲殻類「ザリガニ」。これらがまだ紹介されてないことにお気づきだろう。

本当に贅沢な話だが、山奥という環境は特定外来生物の侵入を許さない程に隔絶された生態環境が保持されているのだ。こいつらの食レポがしたくてもできないのであるッ…

※本来喜ばしいことです。


さてそんな山奥で一番獲れたのがシマヘビである。ヘビばっか獲れる。
※両生類ではトノサマガエルが多くいる地域だが彼らは肉が少ないので却下。

シマヘビ / マムシ

この腕は知り合いの人。
頭を押さえた正しい持ち方である。
小骨ごとガリっと唐揚げにして解決。
ダシを取っても美味い。

手に入れやすさ☆
味      ☆☆☆☆☆
処理しやすさ ☆☆☆
マムシだろうがアオダイショウだろうが、やり方はどれも同じ。
①頭を踏んづけて押さえる。適当なビニール袋に捕獲。
②キッチンばさみで首チョンパ。皮は引っ張れば剥ける。
③ワタを出してぶつ切りにすれば下処理完了。

味はまさに白身魚と鶏肉の中間といった感じで、揚げてよし、煮てスープにするもよし、万能である。ヘビ界ではシマヘビが一番味が良く、体も大きいのでオススメだ。

この前喰った個体は卵持ちだった。
淡白な風味。味はシシャモ魚卵に近い。


マムシ。
この鎖模様が特徴。
捕獲に自信がないなら避けよう。

マムシはあえなく焼酎にぶち込まれるものだが、聞けば沖縄の泡盛メーカーがもともと中国人観光客相手のアピール土産として作るような代物らしいので、素直に食った方が良い。

初めてヘビを食する人の動画はカメ五郎氏で知った。この動画シリーズの視聴が自分にとって狩猟を始めるきっかけとなった。


なぜこんなものを食うのか?

一番古い記憶はテレビ番組『黄金伝説 よゐこ無人島0円生活』だ。お笑い芸人の浜口がモリを手に海へ飛び込み、「獲ったどー!」と魚を掲げては逞しく喰らう。子供ながらにワクワクしてみていた。

このとき、純粋に絵面を楽しむだけでなく
「0円なのに食料って手に入るんだ…!」
という感動を覚えた記憶がある。


いま自分が0円食料を探し求める動機は純粋な狩猟本能を満たすだけではない。ギブ&テイク、つまり対価を支払わなければならない義務に疲れていた反動だったのかもしれない。

世の中のありとあらゆるものには対価がいる。食材が欲しいならスーパーで「お金」を / 親に気に入られたければ「良い成績」を / 優良企業に就職したいなら「有名な大学」を…
資本主義だからある程度は仕方ないのかもしれない。だがどうだろう。散歩がてらちょっと外を注意深く観察すれば、金を対価としない食料が思ったより転がっているではないか!

はるか太古の類人猿たちは、他の動物と比較して類まれなる「雑食性」を武器に飢えを遠ざけてきた。
木の実がないなら穀物類を、それが無くても昆虫を食えばいい。大型獣から横取りできない肉だって、残された骨を石器で割れば栄養豊富な骨髄がある。犬歯・臼歯 / 石器 / 火を持つ人類の前に食えないものなどないのだ。
虫やヘビを喰らうのがグロい?野蛮?そうかもしれない。
だがそれは、現代の視野狭窄に陥ったがゆえの偏見と言えばどうだろう。

サピエンス全史 ユヴァル・ノア・ハラリ著
現代社会だのニートだのが
バカバカしくなるくらいにはおもろい


ここまで記事を読んでくれた皆も「仕事なんかしなくたって食うもんはある!」くらいのメンタルで考えるのも悪くない気がしてこないだろうか?
虫食って遊んでるニートがいるのだ。案外テキトーでなんとかなる。


次回予告

じつは今回、紹介しなかったものが2つある。
①野菜を育ててみた話
②狩猟免許を取って鹿を狩った話
この2つだ。
両者ともに土地、金、時間を要するものであるため改めて別記事として紹介しよう。気になるコスパ面や屠殺に関するメンタル面についてもお答えする予定だ。おたのしみに!

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