浮遊のカウントダウン

私はもうすぐ地域に戻る。

2文字で簡潔に言えば退院。
もちろん、病気が治ったからではない。
私が入院しているのは精神科病院。
症状の悪化を食い止め、命を守る心の砦。

そこには妥協と安定が漂うのだ。
だから退院。
完全を求めたら一生入院である。

私の夜の習慣の暗闇での浮遊もあと少しでお終いである。

戻った先のグループホームには自分の家と支えてくれる方々や他の入居者さんとの賑やかな日々が待っている。

嬉しいような、名残惜しいような複雑な気持ち。寂しがりやで、でも1人が好きな私。
人の心だって複雑だ。

時間がゆっくりすぎていく病棟。
退院したら玉手箱を開けた浦島太郎のように、
お爺さんになるのだろうか、いや、お婆さん?

こうしている間にも、カウントダウンは止まらないのだ。

楽しみなことを考えよう、そうしよう。
それが今できる妥協と安定なのだ。

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