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憂鬱な日曜の夕方が、迷子の美人さんと出会って変わった 1話


日曜の夕方。

目が覚めると、窓に差し込む夕陽の光で察して肩を落とした。

〇〇:もう、こんな時間…

折角の休日を損した気分になり、カレンダーを見る。

〇〇:嫌だな…明日、祝日にならないかな…

なんて阿保なことを考えながら、せめて残りの時間的に何か休日らしいことをしたいと思い、
散歩に出かけた。


〇〇:ふぁ〜、この時間でもあったかくなったな〜

今日の最高気温は25度、最低気温も18度と過ごしやすい気温の日だった。

ついこの前まで、コート着てマフラーを巻かないと寒くて死にそうだったのが嘘みたいに、今は半袖一枚で外を歩いていた。


?:は〜、明日から学校か。

?:何言ってんの?春休みだから、休みだろ?

?:あ、そっか。

?:ビビらせんなよ笑

?:わりぃー、わりぃ笑

〇〇:(春休みか…)

と、小学生くらいの男の子たちの会話を聞きながら羨ましく思った。

〇〇:(タイムマシーンに乗って、戻れたら良いな…)

などと、まだ働かなくても良かった時代に遡ろうと馬鹿なことを考えていると、どこからか話し声が聞こえてきた。





男1:なぁ〜お姉さん、俺らと遊ぼうよ〜

?:い、いえ…今日はちょっと…

男2:つれないこと言わないでくれよ?

男3:マジで楽しいところに連れてってあげるからさ。

?:いえ…大丈夫です…

男1:ほら、遠慮しないでよ〜

〇〇:(うわ、ナンパか…)

近くの物陰に隠れて観察していると、どうやら女の人がナンパされているようだった。


男2:どうせ、行く宛もないでしょ?

難破している男たちのうちの1人が、女の人の腕を掴もうと手を伸ばした。

?:や、やめてください!

男3:頑固だね〜、お姉さん。

男1:本当は遊びたいんでしょ?

?:ち、違います…本当に!

男2:ほら…

〇〇:(もう!こうなったら…)

女の人が嫌がるのを構わず、男たちがしつこくしているの見て我慢ならず、飛び出して向かった。


〇〇:あのー❗️

男1:あ?

男2:誰だ、テメーは?

〇〇:いや、その…

向かって登場したは良いもの、そこから先は何も考えていなかった。

男3:ウゼーから、引っ込んでろよ。

?:…

〇〇:(あわわ…どうしよう…)

逃げ出したい気持ちがあったが、女の人が凄く助けを求めている目をしていた。


〇〇:その…

〇〇:俺の彼女です、その人!

男2:は?

男1:本当かよ、それは?

男たちのうちの1人が女の人に、睨みつけながら聞いた。

?:…💦

女の人がまたこちらに目を向けたので、すぐアイコンタクトで頷くように指示した。

?:は、はい…

男1:ちっ、なんだよ…

男2:あ〜あ、こんな彼氏持ちかよ。

男3:つまんねーの。

どうやら突拍子もなく出た作戦で、男たちを退散させることに成功したようだ。





?:あの…

〇〇:あ、えっと…

〇〇:なんかすいません、勝手に彼氏名乗って…

助ける為とはいえ謝るべきだと思い、女の人に謝罪した。

?:いえ…あ、ありがとうございます。

?:その、助けてくださって…

〇〇:いえ、まぁ…

普通に感謝されただけだが、今凄く気持ちが落ち着かなかった。

〇〇:(この人、凄く可愛いし綺麗だな…)

モデルでもおかしくないくらいの容姿を持ったその人を前にして、1人見惚れてしまったから…


〇〇:じゃあ、これで。

別れを告げてその場を離れようとすると、

?:あの!

呼び止められた。

〇〇:は、はい。

振り返ると、

?:今晩だけで良いので、その…

?:泊めて貰えませんか?

〇〇:え?

何か家に帰れない事情でもあるのか、目の前の美人から家に泊めて欲しいと頼まれた。

?:無理、でしょうか?

〇〇:いえ、全然。

多分、誰もがYesと答えるだろう。

〇〇:俺の家で良ければ…

?:ありがとうございます!

さっきまで暗い表情だったのが急に笑顔になってお礼を言われ、また心臓がドキっとした。


その帰り道にお互いに自己紹介し、彼女の名前が遠藤さくらということが判明した。





〇〇:どうぞ、あがってください。

家に着き、先にさくらさんにあがってもらった。

さくら:あ、ありがとうございます。

さくら:可愛いですね、この置き物。

玄関に置いてあるシーサーの人形を見て言われた。

〇〇:ああ、沖縄に行った時に買ったのです。

さくら:旅行ですか、良いですね。

ニコッとした表情で、さくらさんは言った。


大方部屋の案内をしたあと、キッチンに向かおうとした。

〇〇:夕食作ってきますね。

さくら:あ、私が作りますよ。

〇〇:え、いや大丈夫ですよ。

さくら:いえ、でも泊めてもらう身ですし…

〇〇:大丈夫ですよ、気にしないで。

〇〇:それに、今なんか料理したい気分なので。

多分美人を相手に少しでもカッコつけたいが故に、そう言ったんだろう…


〇〇:テレビでも見ていて良いですよ。

さくら:え、ああ…

さくらさんにソファーに座ってもらい、リビングからキッチンに移動しようとした。

さくら:あの!

〇〇:はい。

さくら:やっぱり、なんか申し訳ないので何かさせてください。

〇〇:え、ああ…

さくら:お風呂とかあります?

〇〇:あ、ありますね。

さくら:お湯、沸かしておきますね。

〇〇:ああ…

〇〇:じゃあ、お願いしますね。

さくら:はい。

またニコッとしてさくらさんは、お風呂場の方に向かった。


暫くして、出来上がった料理を戻ってきたさくらさんと一緒に食卓で食べた。

さくら:わぁ〜、凄く美味しそうなコロッケですね!

〇〇:これ、普通のとクリームが入っているなと、あとチーズが入っているのがありますよ。

さくら:え〜、なんか〇〇さんってシェフさんみたいですね!

〇〇:いや、そんなもんじゃ…笑

さくら:じゃあ、いただきます。

〇〇:いただきます。

さくら:ん〜、チーズだ!

さくら:美味しい♪

〇〇:(なんて可愛いんだ…)

さくら:あ、すいません。煩くて…

ただ美味しそうに自分が作ったコロッケを食べてくれるさくらさんに和んでいただけなので、

〇〇:いえ、嬉しいです。なんか美味しいって言って貰えて。

と素直に伝えた。


さくら:料理、得意なんですね。

〇〇:まぁ、社会人の一人暮らしの楽しみなので…

さくら:でも、それでもこんなに美味しく作れるの、凄いと思いますよ。

〇〇:あはは、ありがとうございます。

それからさくらさんとお喋りしながら夕食を食べていたからか、久しぶりに日曜の夜が楽しかった。




夕食を食べ終えてから、さくらさんに先にお風呂に入ってもらい、それから自分が入った。

〇〇:あ、さくらさん。寝る場所、ここで良いですか?

リビングに敷いた布団を差して聞いてみた。

さくら:はい、大丈夫です。

さくら:ありがとうございます。

〇〇:じゃあ、おやすみなさい。

さくら:おやすみなさい、〇〇さん。

さくらさんと別れて、自分の寝室に入った。


歯も磨いたことだし、明日も早いからとすぐベッドに入って目を閉じた。

〇〇:(それにしても、可愛かったな…さくらさん。)

〇〇:(彼氏さんとかいるんだろうな、きっと…)

などと考えていると、部屋のドアをノックする音が聞こえてきた。

〇〇:はーい。

ドアを開けると、自分が貸した部屋着を着たさくらさんが立っていた。

さくら:あの…〇〇さん?

〇〇:なんでしょう?

さくら:一緒に寝てもいいですか?

〇〇:へ⁉️

耳を疑った。

きっと幻聴に違いない…、そう思った。


さくら:なんか、1人だと寂しくなって…それで。

〇〇:え…(なんですか、その可愛い過ぎる理由は?)

さくら:ごめんなさい、こんな歳でこんなこと頼んで…

〇〇:いえ…

〇〇:俺は大丈夫ですよ。

さくら:すいません。

〇〇:いえ…(いや、すいませんなんて言わなくて良いんですよ…)


神様のいたずらか、そのままさくらさんと隣でベッドに寝ることになった。

さくら:じゃあ、おやすみなさい。

〇〇:おやすみな…さい。

さくらさんに微笑みながら言われ、それから目を閉じた。


少し経ってからのこと…

ちょっとした出来心で、目を開けて隣で寝ているさくらさんの方を向いた。

〇〇:え?

さくら:zzz

〇〇:⁉️

ばっちり見てしまった…

彼氏とかしか見れないであろう、スヤスヤと気持ち良さそうに寝ているさくらさんの無垢な顔を…



バッ

このままでいたら耐えられないと思って、寝返りを打って視線を逸らす。

〇〇:(なんですか⁉️あれは…)

見てはいけないと思いながらも、気になってしまい身体をゆっくりと回して向きを変える。

〇〇:⁉️

さくら:zzz


本来なら憂鬱な筈の時間は、隣の美人の寝顔を拝めながら顔を赤くする時間になり、中々に寝つくことが出来なかった…


2話に続く…

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