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新卒で就職した会社の女上司に告白されて…


去年の春、無事に第一志望の会社に就職することが決まり、それからしばらくは残りの大学生活を謳歌していた。


そして、今日。


初めての出社で緊張しながらも、これから勤めることになる会社の入ったビルの自動ドアを通り抜けた。


すると、


?:おお、来たか〇〇くん。

〇〇:あ、おはようございます!

〇〇:本日から、どうぞ宜しくお願いします。

当時僕の面接を担当してくれた原田さんが出迎えに来てくれ、頭を下げてお辞儀をした。

原田:うん、宜しくね。

原田:良いよ、そんな畏まらなくて。

〇〇:ああ、はい。

頭を上げ、原田さんに同行していった。


原田:面接以来だね。

〇〇:そうですね。

原田:残りの大学生活は楽しめたかい?

〇〇:はい、お陰様で。

原田:それは良かった。けど、初めての出社の日ってなんかこう、気持ち落ち着かないよね。

〇〇:ですね…

原田:まぁ、大丈夫だよ。分からないことがあったら、すぐ聞いてくれれば。

〇〇:はい!




それから配属先の上司となる人と対面した。

〇〇:高山〇〇です。よろしくお願いします。

真佑:田村真佑よ、よろしくね。


てっきり60代くらいのおじさんかと思っていたので、良い意味で裏切られた。


真佑:よし、じゃあ高山くんに早速やってもらいたいことがあるの。

そのままの流れで、仕事が始まった。



〇〇:ふ〜…

真佑:お疲れ様、初日からいきなり大仕事やらせてごめんね。

〇〇:いえ、全然。

〇〇:寧ろ、これが社会人か!って実感出来た気がします。

真佑:ふふ、そっか。じゃあ明日はもっと大量の仕事任せちゃおっかな〜

〇〇:あ、え…それは💦

真佑:冗談よ、冗談。

真佑:明日は今日よりは楽だから。

真佑:じゃ、お疲れ様。

〇〇:お疲れ様です!


ビルを出て田村部長と別れて、駅に向かった。


〇〇:ふ〜、なんか行けそう。

今日の仕事は確かにいきなり量が多くハードだったが、先輩方と上手く連携取れたし、何より田村部長が仕事の説明とかが上手くて、すぐ慣れた。

〇〇:いや、この会社で良かった〜


それから2週間後…


だいぶ会社にも馴染んできた。

仕事を終えてデスクのPCの電源を落とすと、
田村部長がやって来た。

真佑:お疲れ様、高山くん。

〇〇:お疲れ様です、田村部長。

真佑:高山くん、最近活き活きしているね。

〇〇:そ、そうですかね?

真佑:うん、去年新卒で入った子とは大違いで、わたし凄く嬉しいんだ。

〇〇:あ、その去年入った子はどう…

真佑:辞めちゃったんだ、1週間で。

〇〇:えぇ…

真佑:なんか私がいけなかったのかなって悪い気がしたし、ちょっと悲しくなったんだよね。

〇〇:そう、でしたか…

真佑:うん。

〇〇:でも僕は、部長のおかげで仕事ができるようになったと思っていますよ。

真佑:〇〇くん。

〇〇:だって、ご自身の仕事が沢山あるのに僕たちのことをちゃんと見てくださるし、仕事の教え方が上手いし、あとよく褒めてくださるし。

〇〇:僕は、田村部長のもとで働けるのが凄く楽しいです。

そう伝えると、部長が笑顔になった。

真佑:そっか、嬉しいな。そう言ってくれて。

真佑:〇〇くんを採用してくれた原田くんに感謝しなきゃだね。

〇〇:そう、なりますかね。

真佑:ふふ。

〇〇:ふふ。


その時から、いや前からだろうか?

胸の奥で何故かざわついていた。


〇〇:(これって、きっと…)

言ってしまうと消えてしまいそうで、そっと胸の奥にしまっておいた。




そして、ある日…


田村部長に、終業後に2人で話がしたいと伝えられた。

仕事の話ではなく、個人的な話がしたいとのことだ。


仕事を終えデスクから立つと、僕と田村部長以外は皆んな帰っていた。


すぐに部長のもとに駆け寄った。


〇〇:田村部長。

真佑:高山くん。

〇〇:お話したいことがあるんでしたよね?

真佑:うん、大事な話で。

そう言うと、部長はオフィスのドアを閉めに行って戻ってきた。


真佑:あのね、実はわたし…



君のこと、好きになっちゃったんだ。


〇〇:へ?

頭が真っ白になった。


真佑:どうかな?

〇〇:どうかなってのは、その…

恐る恐る聞いてみた。

〇〇:付き合うってことですか?

真佑:うん。

〇〇:あの…

慎重に言葉を選んで喋った。


〇〇:お気持ちは凄く嬉しいです。ただ…

真佑:あ、もしかしてもう居る?

〇〇:いや、そうじゃないです。

〇〇:どうして、僕を好きになったのか知りたくて。

真佑:ああ、そうだよね。いきなりこんなこと言われてもね、困るよね。

真佑:う〜ん、一目惚れ…かな。

少し顔を逸らして、部長は話を続けた。


真佑:あんま、ここでは言わないけど…歳下の子が好きなんだ。

真佑:それで高山くんが会社に来た初めての日から、君のことは気になってて。それから、仕事を一生懸命にしていて、私を凄く慕ってくれる高山くんを見ていたら、凄くドキドキしていたんだ…

そう語る田村部長からは、普段は見せないような乙女な顔が見えた。


〇〇:田村部長。

真佑:うん。

本当は先に言いたかったけど、僕も田村部長に気持ちを伝えることにした。

〇〇:僕にとって、部長は憧れの存在です。どんな時も頼りになるし、いつも優しくて…そんな部長を僕もいつの間にか…  


好きになっていました。


真佑:高山くん。

〇〇:こんな僕で良ければ、よろしくお願いします!

そう言って頭を下げて、手を差し出した。

すると…


真佑:ありがとう。

手を握られ、微笑みかけられた。

真佑:よろしくね。


といって、めでたしといきたいところだが…




付き合い始めてから、プライベートではお互い名前で呼ぶようになったが…


〇〇:か、辛えぇぇー❗️❗️

真佑:でしょ、新陳代謝に良いの。

真佑:〇〇くんが、これからも元気でいて欲しいからさ。

〇〇:げほッ、み、水…

〇〇:(味覚障害になるって、この辛さ…)

家に招待された時、いきなりデスソースをふんだんにかけまくったカレーを食べさせられたり…


〇〇:な、何これ?

真佑:ん、何ってコブラ酒だよ?

〇〇:そりゃ、見たら分かるけど…

瓶の中で、目がこちらを覗いているかのようにコブラの頭が入っていた。

真佑:これね、血行を良くしたりする効果があるんだって。

〇〇:な、なるほど…

真佑:でね、これとこの前のカレーで食べたらさいこ…

〇〇:ああ、もう大丈夫❗️デスソースカレーは❗️

ある時は、コブラ酒を贈られたり…


真佑:はい。

真佑:座ってみて。

〇〇:良いの?

マッサージ機に座ると、

〇〇:ぎゃああああ⁉️

真佑:凄いでしょ、このマッサージ機。1万ボルトの電気が流れるの。これでね、気分があがるんだって。

〇〇:その前に昇天しちゃうよ…

またある時は、マッサージ機で電気椅子処刑させられそうになったり…


告白を受け入れてから、時々こんな恐ろしい目に遭うようになってしまった…


〇〇:(おかしい、何故真佑ちゃんは家だとあんなクレイジーなんだ…)

〇〇:(一緒に出掛けている時は、あんなじゃないのに…)


真佑:あっ。

〇〇:取ってあげるよ。

真佑の鼻についたクリームを取ると、真佑が顔を赤らめていた。

真佑:あ、ありがとう。

〇〇:いえいえ(ふふ、可愛いな)


真佑:んふふ♪

〇〇:どうしたの?

真佑:え、〇〇くんにこうしてくっつくとあったかいな〜って。

腕に抱きついて、顔をスリスリしてきた。

〇〇:(はぁ〜、やっぱ可愛い。)



時々おかしな行動に出なきゃ、会社では頼りになる上司だし、プライベートは凄く甘えん坊で可愛いのに。


と思いながら、真佑と2人で都会の夜道を歩いた。


fin.

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