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ナンシー関さんとの出会い

90年代にアウトドアブームがあった頃
通販も流行っていて、特に海外から何かを買う
という通販(個人輸入)が人気になっていた。

まだインターネットも普及し始めた頃だった。
駅前ではソフトバンクがモデムを無料で配っていたと思う。

そんな時代にアメリカから雑貨を買いませんか!
というキャッチフレーズで広告を出した。
最初は友人が LL Breanのアパレルやら
キャンプ用品みたいなものを注文してくれました。

ある日、ソファを買いたいという注文が入りました。
東海岸にあるメーカーの革製の大きなソファの
写真が送られて来ました。しかもソファを
飛行機で送って欲しいと、、、、
このご新規のお客様こそナンシー関さんでした。

ソファの他にも、どこでこんな商品を見つけるのだろうか
というようなモノのオーダーをたくさん頂きました。

以前から週刊文春のテレビ消灯時間のコラムで
ナンシー関を存じ上げていたので
ナンシーさんのファンとしてはとても嬉しかったです。

ある日東京へ行く事になり
ナンシーさんと渋谷の焼肉屋で待ち合わせました。
メンズノンノの編集長の方もご一緒でした。
煙モクモクの中で彼女たちの会話を聞いていて
とても新鮮だと感じました。
雑誌のコラムの内容そのままの会話だったからです。
ナンシーさんは毎月50本以上のコラムを
書いていたというので驚きました。
今でも忘れられないタイトルの一つに
「バカは治らない」というのがありました。
教えるだけムダ、話すだけムダ、人生の無駄遣い
的な事を延々と書いていたと思います。

焼肉屋さんでもその話題が出て
話が盛り上がった時に治らないバカって言えば、、、
就活で面接管が「ひと目でデキる学生かどうか分かる」
と言った事に対してナンシーさんと編集長さんが
「んなわきゃないだろう! だいたい学生なんだよ、相手は。
これから人生始まるんじゃないの。デキるとかどうかなんて
まだまだ先の話のはずなのにその時点でジャッジするって、
何様???」

お怒りモードで語っていました。
ナンシーさんから学んだ事はたくさんありますが、
その中でもっとも大切にしている事は
物事の本質を見抜くことです。

流されず、おごらず

「みんながやってるからアタシも〜って、
じゃあ、みんなが崖から飛び降りるなら
一緒にやるんかい?」って言う具合に
他人がどうだとかの以前に
自分の考えや意見、価値観持ってんの?
ナンシーさんはそういう所が絶対ブレない人でした。

彼女の活動の中に「記憶アカデミー」っていうのがあって
実物を見ないでそのモノの絵を記憶から描き起こすという
ものでした。読者は課題に対して自分の記憶から
スケッチを描いたものを送ってきます。
自転車などはとても難しいお題です。
だれも自転車をそれほどしみじみと見たことがないので
どんな構造だったのか?ペダルってどこ?
という具合です。
「牛」って言われても描けないわけです。
犬と猫の違いも。

いかに人間の記憶が曖昧なのか。
それなのに牛の写真を見せられたら
「牛」って分かるのはなぜ?

ナンシーさんとのこういう会話が好きでした。
2002年に亡くなられてからも
ナンシーさんの言葉は忘れられません。

ナンシーさん、どうもありがとうございました。

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