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公開されなかった映画

「樺太1945年夏 氷雪の門」

1974年に公開予定であったこの映画を知ったのは浅田次郎さんの本を読んだ時だった。

終戦後もなお樺太南部へ武力侵攻したソ連軍の(もちろん千島列島の北方領土も含めて)ために多くの日本人が犠牲となった。白旗を持った軍使をソ連軍が射殺。その史実にもとづいて作られたこの映画は政治的圧力によって全国公開が中止となった。2010年、渋谷で単館上映されたがほとんどの人はこの映画の存在を知らない。

驚くのは戦後30年近く経過した1974年に政治的圧力によって事実を伝える事が出来ないという我が国である。

日本にデモクラシーは存在しないが公立学校では民主主義だと教えている。中国のことをとやかく言えないと考える。

村人達を次々と蹂躙、殺害し迫り来るソ連軍の蛮行を通信で知った電話交換手たちが青酸カリで自決するという事実も教科書に書いて良いと思う。

交換手たちが選んだ道

この映画を作った人たち、キャストのみなさんは映画が公開されなかった事にさぞ無念であったと思う。

北方4島は千島列島の一部だがもともと千島列島は日ソ千島樺太交換条約にて日本がソ連から合法的に得た領土。契約、条約などというものは当時のソ連も現在のロシアにもまったく通用しない。さらに困るのは日本には外交交渉能力が無いことを諸外国に見透かされていることだ。だから北方領土は政治家たちのネタにしかならない。

政治家の中には有能なネゴシエーターも存在すると推察するが彼らを活躍させない日本独自の政治システムが働いているのだと思う。

表現の自由を守れる国でありたいと思う。


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