踏みとどまる。

朝の散歩中に、白いビニル袋が這うように、
アスファルトの上を流れているのが見えた。

自転車で通りかかった少年が急に止まり、
少し躊躇するも、それをひらってポケット入れ、また自転車を漕ぎ出した。

「ゴミをひらって、偉いね。」
ゴミをひらうことに躊躇い、何もしなかったボクに、
そんなこと言える資格も何もなかった。


高値で売買されていた不織布のマスクが、
道路や駐車場に落ちているのをよく見かける。

目についたゴミは、近くにゴミ箱があったり、
自分が袋を持っていれば、なるべくひらうようにしていたけれど、

コロナウイルスの時世になってからは、
なんとなくウイルスを恐れて、できなくなっていた。
しっかり手洗いすればいいことだと、やっと最近学んだ。


先日、母方の祖母が他界した。
ボクもしばらく会えてしなかったおばあちゃん。

一緒に暮らして叔父は、数ヶ月前に施設に入った自分の母に、
コロナの影響で面会がほとんどさせてもらいまま、
亡くなってしまったことを悔やんで泣いていた。


そんな中、連れ合いのおじいさんも亡くなってしまった。
少し離れたところの施設にいたおじいさんも、
他県に住んでいた子や孫に会えないまま亡くなり、
葬儀にもいくこともできず、ただただ悲しむしかできなかった。


仕事に向かう車の、前も後ろも対向車も、県外ナンバーばかり。

帰省や、それぞれの事情のこともあることはわかっている。
しかし不要不急の外出で、感染が拡大していることも事実。

本当に外出したい人が、出来ていないということも。
コロナで命を落とした人も、明日をなくしてしまった人いる。


祈るだけでは、いつまでも終わらないことだと思っている。

これは、戦争とは違うけれど、
75年前、大きな爆弾を落とされ、たくさんの命を亡くしたことで、
緊急事態宣言(非常事態宣言)が終えた今日、思ったこと。


幾たびのアルコール消毒で、痛いほどに手が荒れてしまったボクの、
自分勝手な話でした。


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