zzak19

雑念と雑音の記録 https://zzak19.tumblr.com/

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マガジン

  • 月刊少年ロマンチック

    日々思ったことの記録です。

最近の記事

ヤカン

外は曇り、暗く、灯りも消した。 アルミのヤカンの中から、沸騰する音。 目を閉じると、耳が研ぎ澄まされ音が染み込んでくる。 だんだんと自分が透明になって行くようだ。 眠気を抱えながら、足だけがジワジワと温かい。 言葉があふれてきて、眠れない夜があり、 微熱を帯びたような、頭が腫れぼったいような感覚と、耳鳴り。 それらに負担を感じていたけど、昼寝あとに、 それらが、少しクリアになったような気がした。 雪が静かに落ちる氷点下の昼に、 肥満の中年は、太った透明人間になってゆ

    • カメレオン

      2、3、歩、歩くだけで、汗をかくような日だった。 涼しい飲食店に入ると、店員さんにピっと検温される。 すると、店員さんが明らかに動揺をしていた。 それはとても動揺いる様子だった。 ぽっちゃりした体型の割に、意外と免疫力が低く、 だいたいどこかが調子悪かったりするボクなので、まさかと思った。 店員さんが動揺を引きづりながら、体温計をボクに見せる。 35.5度。 店員さんも、こんなに太ってらっしゃるのに、 こんなに低いわけないですよね?という顔をしている。 再度測っ

      • 最後の趣味

        窓を開けると、車内の空気と音楽に、 マッチを擦ったような煙の匂いが、入り混じったように感じると同時に、 ボクの車をバイクが追い越して行った。 ゆきさき知れずのそのバイクを、追うつもりもなく。 少しだけ頭痛を抱えたボクは、ゆっくりと車を走らせた。 風をうけながら、遠ざかっていくバイクが、 気持ち良さそうで、眺めているだけでも爽快だった。 バイクの免許を持っていないので、 どのみち法律上原付しか乗れないのだけど、 10代の頃から、乗りたい50ccのバイクがある。 ホンダのジ

        • 踏みとどまる。

          朝の散歩中に、白いビニル袋が這うように、 アスファルトの上を流れているのが見えた。 自転車で通りかかった少年が急に止まり、 少し躊躇するも、それをひらってポケット入れ、また自転車を漕ぎ出した。 「ゴミをひらって、偉いね。」 ゴミをひらうことに躊躇い、何もしなかったボクに、 そんなこと言える資格も何もなかった。 高値で売買されていた不織布のマスクが、 道路や駐車場に落ちているのをよく見かける。 目についたゴミは、近くにゴミ箱があったり、 自分が袋を持っていれば、なるべく

        ヤカン

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        • 月刊少年ロマンチック
          15本
          ¥100

        記事

          赤信号

          信号は赤。 橋の上に止まると、吹き出し口から冷たく湿った匂いがした。 雨の夜の運転は、とくに苦手だ。 真黒に染められたアスファルトが、オレンジの灯りを吸い込んで、 信号の赤以外、真っ暗だ。 早く帰りたい気持ちに逆らって、弱めにまたアクセルを踏む。 フロントガラスの雨音と、ワイバーの音、 ステレオからは、ブラッドサースティーブッチャーズの”7月”が聴こえてくる。 今年の7月も悲しく災害が続き、コロナウイルスの圧迫から解放されたい人も、 そうでない人たちも感染し、まだまだ

          赤信号

          冷凍餃子

          こんな時代、状況を、どうだこうだ、 そんなことを言えるほど、僕は偉くもなく知識もない。 ただ毎日のニュースが悲しく、ネガティヴで、不安にさせられていることに不安になる。 スーパーマーケットの空っぽになった棚。 不安を山盛りにしたショッピングカートがレジに向かい、 いつもより間隔をあけて、並んでいる。 冷凍食品コーナーでいつも見かけて、いつか買ってみようと思っていた、 あの冷凍餃子が姿を消していたことが、 いつも買っていた納豆がずっと品切れなことよりも、変にショックだった

          冷凍餃子

          曇り

          コンビニのレジのあっち側でおでん鍋をつついている、 いわゆる白ギャル風メイクの店員のおねいちゃんが、 お会計をして欲しい感をたっぷり出しているのにボクに気づかずだったので、 「お願いしまーす。」と、できる限りトゲのない言い方で声をかけたら、 彼女も「お願いしまーす。」と返して、お会計をしてくれた。 「ありがとうございます。」か「お待たせしました。」 などと返ってくるかと思い込んでいたボクは呆気にとられ、 ボクの中のボクが勝手にしていた彼女の悪者扱いも、転じて 「きっとい

          だらしない

          やっとの休日。 いつも通りの時間に目をさますも、ベッドから出ず。 観かけたドキュメンタリーの続きをそのまま端末で観る。 建具の障子紙はただ煌煌としているが、部屋はなかなか暖まらなかった。 ベッドから出られない理由をたくさん作って、 ボクは、布団と毛布に埋もれていた。 少しだけ空腹をこらえて観た映画が終わると、 朝食ができたという、家内と声が聞こえる。 先日から朝食は、ヨーグルトだけでいいと言っておきながら、 トーストを2枚、焼いてもらう。 今朝に限って、少しだけ亭主

          だらしない

          決め事

          ボクは、ドクロ杖をついたもんたよしのりが歌うビーズを、 受け入れるのに、20年の歳月がかかった。 ビーズが歌わないと、その唄はミエナイチカラじゃないと、 当時人気だった高校生探偵のドラマか何かの惰性でみていた、 音楽バラエティ番組を観て、その時はそう思ってしまった。 ボクの中のボクの決め事は、もんたよしのりさんの音楽性どころか、 10年近くも続いた、人気番組の趣旨自体を否定していたことに、 ある日、ふと気がついた。 この地球には人間の数どころか、思考の数だけの正解という

          決め事

          滞る

          「今日はなんだかヨーグルトが飲みたい」と、 いつもより遅い帰りのいつものコンビニで、 飲むヨーグルトを買ってもらう。 ヨーグルトを欲しがる以上の言葉は、家内に伝えなかった。 週に3回のウォーキングと、毎日の縄跳びと2リットルの水。 それが健康の秘訣だと思い込み、それを励みに暮らしてきた。 それでも初めても便秘はやってきた。 便秘になったことがないことを、家内にも常々自慢をしていたことが、 今更それになってしまったことを、伝えることができない理由になってしまった。 ボク

          一服

          缶コーヒー工場の横を通りかかったとき、 しっかりと甘みを含んだあのコーヒーの香りが、漂うてきた。 そのときボクは、つめた~い缶コーヒーが飲みたくなったけど、 その香りの中で、毎日働くのは、どのようなものか、少しだけ考えた。 それについての自分の答えはとくにでなかった。 蜃気楼が見えそうなくらい暑かったある日に、お大工さんが、 自動販売機でたくさんの缶コーヒーを買っていた。 塩分ミネラル水分を補給しましょうと、 これでもかと啓蒙される、そんな時代になろうとも、 3時のお

          稲穂

          朝の散歩、涼風を浴びながら、田んぼ道を歩く。 日々成長するひとんちの田んぼの稲穂を見ながら、 実るほどに頭が垂れるとは本当のことだなと、しみじみ思う。

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          網戸

          破れた障子から見える網戸が、夜明の光線でキラキラ光っている。 これは彼らの言うところの、写真には写らない美しさ、なのかと 一瞬思うも、少しだけ違うなとすぐに思い直した。 その答えはどちらでもよい。

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          鏡映

          どんなに勉強しても頭がよくならないことに気がついたのは、 今から20年前、中学3年のときで、 どんなに鏡を見つめても、自分の顔の細工がよくならないことに気がついたのは、 その前の歳、中学2年生のときだった。 思春期にしては諦めが早かった方だと、そこんところは褒めてやりたいところだ。

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          怒鳴る

          2018年の7月のこと。 商業施設の公衆電話、電話の先の人に怒り怒鳴る人を見た。

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