ヨルワシ(Eryr13)

田舎の工場で事務仕事してたらプロマネになってた元物理学徒/サイエンスキュレーター/ニッ…

ヨルワシ(Eryr13)

田舎の工場で事務仕事してたらプロマネになってた元物理学徒/サイエンスキュレーター/ニッチな科学技術の話題を集めてお届けします。 業界は医療系、仕事は工場DX、専門は材料工学

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    最先端テクノロジーの話題を紹介します。 ・フォトグラメトリをはじめとした3次元データの作成や3次元構造解析技術 ・自然言語処理やChatGPTなど…

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    田舎の工場で感じた奇妙な日常を綴ります。 たまに研究Tipsや近況なども書こうと思ってます。 旧【博士学生だったものの日常】です。

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ストームグラス 未来の天気を知る不思議なオブジェ

みなさんはストームグラス(天気管)というものをご存じでしょうか 19世紀、船乗りたちが海上の天気を調べるために使っていたといわれる天気予報の道具です。 樟脳、硝酸カリウム、塩化アンモニウムがエタノール水溶液の中に溶けたものがガラス管の中に入っており、液中の結晶の形から未来の天気を予測できるといわれています。 一般にストームグラスの様子と天気の関係は次のように言われています。 ✓ 天気が晴れるなら、ガラス管内の固形分は完全に底に沈み、液体は澄みきる。 ✓ 雨に変わる

    • 驚異の複眼システム:ロボットの進化に革命をもたらすか?

      「未来のロボットは、まるで生き物のように周囲の環境を感知し、自律的に行動します。その鍵を握るのが、人工LGMDニューロンという驚異の技術です。 このニューロンは、複眼システムと呼ばれる特殊なセンサーと組み合わせて、光信号をリアルタイムで処理し、ロボットの行動を制御するんです。 今回の研究では、FLBP–CsPbBr3 TSMという画期的な素材を使用して、人工LGMDニューロンを構築し、その応用可能性を探求しました。 この技術を活用すれば、ロボットがより効率的かつ柔軟に環

      • 【感謝】約1か月で受賞した記事

        毎月ありがたいことに、複数の記事が受賞しています。全ては読んでくださっているみなさまのおかげです。本当にいつもありがとうございます。 読者がいてこその受賞というのをしっかりと感じて、毎度のごとく受賞した記事を紹介します。まだ読んでないよ、という方が是非ご覧ください。 【光の波長を超えた観察】見えないものを見る技術:暗視野顕微鏡とは顕微鏡の技術進歩は人類の進歩といっても過言ではありません。ただ小さなものを観察するだけの顕微鏡は、ついには光の波長を超えて小さなものまで見ること

        • 【パンの科学】食パンとフランスパンは何が違うのか?

          みんな大好きなパンですが、世の中には食パン、フランスパン、ベーグルと一口にパンといってもいろんな種類がありますよね。 どれもおいしいですが、どれも何やら食感が異なります。 ふわふわ食感の食パン、ちょっとハードで噛み応えのあるフランスパン、もちもち食感のベーグルと、ほとんど同じ材料でできているとは思えないような違いを感じられると思います。 今回は、そんなパンの違いについて科学的に見ていきます。 食パンとフランスパンとベーグル冒頭にも例に出したこれらのパンは何が違うのでし

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          水危機を打破する!革新的な水収集技術の可能性とは?

          自然の驚異的なデザインに学ぶ地球の未来を考える上で、水不足は深刻な問題なんですよね。 そこで科学者たちは、自然の驚異的なデザインからインスピレーションを得て、新しい水収集表面を作ろうとしているんです。 サボテンのトゲやナミブ砂漠の昆虫、これらの自然の驚異的なデザインには、水を集めるための秘密が隠されているんですよ。 自然界には、乾燥した環境で生き抜くための進化した構造や機能が数多くあります。サボテンのトゲは霧から水分を集めるための効率的な構造を持ち、ナミブ砂漠の昆虫は微

          水危機を打破する!革新的な水収集技術の可能性とは?

          【科学的に神話を考える】ドラゴンはなぜ空を飛べるのか?

          神話やフィクションにおける架空の動物の代表格としてドラゴンがいます。 小さな子供から大人になっても、ドラゴンや龍は私たちの好奇心をくすぐりますよね。 さて、そんなドラゴンについて科学的に考えてみると、いろいろと矛盾が出てきます。架空の生き物なので物理の法則に従わない飛行をしたり火を噴いたりといったことができます。今回は空を飛ぶことにフォーカスを当てて、科学的に考えます。 空飛ぶ鳥は実はすごい空を飛ぶ代表的な動物としては鳥がいますね。誰もが知ってて当たり前の生き物ですが、そ

          【科学的に神話を考える】ドラゴンはなぜ空を飛べるのか?

          noteを初めて5年目になりました

          気づけばnoteを続けて丸4年経ち、今年から5年目に突入しました。 当時から続けている人はどのくらいいるのでしょうか。 私がはじめフォローしていた方々もほとんど更新が止まっていますね。少し悲しいですが、たまに更新されてるとなんだか嬉しい気分になります。 4年間を振り返ってnoteを初めた頃はまだ博士課程の学生でした。科学の面白さが少しでも伝わったら嬉しいなと思って、特別文章力もない中とにかくやってみるの精神で始めました。 それから4年間で、就職して、学位を取って、仕事

          noteを初めて5年目になりました

          微細な生命の探求: リン脂質膜が描くバイオセンシングの未来

          グラフェンが生体医工学やセンサー技術で注目されていることはご存知でしょうか。グラフェンの単原子厚の構造と優れた電気伝導性がその魅力です。 さらに、最近の研究では、グラフェン上にリン脂質膜を作成する手法が注目を集めています。この手法を用いれば、グラフェン表面に微細な膜パターンを作成し、バイオセンシングアプリケーションにおいて高い感度と特異性を実現できるかもしれません。 新たなバイオセンシングプラットフォームの可能性具体的には、Dip-Pen Nanolithography(

          微細な生命の探求: リン脂質膜が描くバイオセンシングの未来

          【パンの科学】職人技が光るパン作りの極意

          前回はパンの食感を決める気泡構造について紹介しましたね。 今回は、いかに職人や製パンメーカーの技術者が工夫を凝らしてパンの食感をコントロールしているのか見ていきます。 気泡数のコントロール前回のおさらいですが、パンの食感は気泡の数や、気泡膜(グルテン層)の厚さによって決まります。 気泡が多く気泡膜が薄いとふわふわした食感になり、逆に気泡が少なく気泡膜が厚いとぎっしりもっちりした歯ごたえのある食感になります。 職人たちは、このパン内部の気泡構造を制御することで、同じ食パ

          【パンの科学】職人技が光るパン作りの極意

          【プライム会員なら無料で読める】Amazon prime reading読書記録9

          みなさんの会社は副業解禁されていますか? 最近では副業OKの会社も増えてきており、自分のキャリアは自分で責任をもつというマインドも少しずつ浸透してきたように思います。 さて、今回はそんな副業に関する税金の話やそもそも企業の人事って何考えているの?みたいな本を読んだので紹介します。 知らないと損をする税金の話具体的に副業を始めたり、独立したりと考えると最初に立ちはだかるのは税金の壁ですよね。いったい何がなんだかよくわからないし、節税ができるなんて話も聞くけど、どういう理屈

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          【パンの科学】科学が明かすふわふわ食感の秘密

          みなさんはパンが好きですか? 私はご飯よりもパン派というぐらいパンが好きです。 そんな多くの人に愛されているパンですが、そのおいしさについて真面目に考えたことがある人は少ないのではないでしょうか。 なぜそのパンは美味しいのか? その秘密は科学に隠されているんです。 今回はそんなパンの科学について見ていきたいと思います。 パンを科学的に見てみるいきなりパンについて小難しい科学の話をし始めるといったい何のことやら…と感じる方も多いと思います。 まずはさわりとして、パ

          【パンの科学】科学が明かすふわふわ食感の秘密

          エコな素材が産業界を席巻?バイオマス製材料の進化

          バイオマス製材料の挑戦地球規模での環境保護と持続可能性の追求が叫ばれる中、私たちは新たな材料開発の道を模索しています。 この時、注目を浴びているのがバイオマス製材料です。木材やプラスチックなどの従来の材料に代わる可能性を秘めたバイオマス製材料の開発には、多くの期待が寄せられています。 しかし、その実現には技術的な課題が山積しています。この研究では、持続可能な未来を築くために、バイオマス製材料の革新的な開発に挑戦し、その可能性を探求するのです。 バイオマス製材料は、再生可

          エコな素材が産業界を席巻?バイオマス製材料の進化

          【食感の科学】食品のテキスチャーと美味しさの関係

          みなさんは硬いグミと柔らかいグミだったらどっちが好きですか? 私は断然硬いグミなんですが、まあおいしければどっちでもいいよねと言うのが本音です。 まあグミはどちらも特徴があっておいしいですが、パンだったら硬いよりはふわふわの方が良いですし、逆にせんべいは硬い方が良いですよね。 もちろん、人それぞれ好みはあると思いますが、少なくとも硬さ=食感によって、おいしさが変わるというのは理解できると思います。 今回は、そんなおいしさの科学の中でも特に重要な食感の世界を一緒に見てい

          【食感の科学】食品のテキスチャーと美味しさの関係

          【プライム会員なら無料で読める】Amazon prime reading読書記録8

          習慣化の力は偉大だとよく聞きますが、果たしてどうなんでしょうか? これにはいろんな持論があるかと思いますが、こと読書に関しては習慣化に成功してよかったなと思います。 もともと私は読書を一切しない人間でしたが、ひょんなことからAmazon Prime Readingを知り、SNSの代わりにKindleで本を読むようになりました。 当然、本を読んでも身になっていなければ意味はないんですが、いざ骨太の本を読もうと思った時に、読書習慣がないと挫折してしまいます。 読書筋を鍛える

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          【お茶の科学】どうやって紅茶に香りをつけるのか?フレーバードティーの作り方

          みなさんはピーチやマスカットなどフルーツの香りがする紅茶を飲んだことがありますか? スーパーなどでも売られているこれらの紅茶はフレーバードティー(フレーバーティー)と呼ばれ、紅茶の茶葉に後からフルーツの香りをつけています。 もしかすると紅茶それ自体がフルーツの香りを発すると思われていた方も多いかもしれませんね。私もてっきり、香りがする茶葉を使っているのだと思っていました。 このフレーバードティーは人間の知恵によって作られているのです。今回はそんなフレーバードティーの作り

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          解き放たれたナノチャネル:細胞を模倣した次世代のテクノロジー

          生命の秘密を解き明かす鍵は、私たちの身近な自然界に隠されているかもしれません。 バイオミメティクスK+チャネルの新しい準備方法は、その鍵を握るかもしれない革命的な技術です。イオンチャネルという生物学的な仕組みにインスパイアされたこの手法は、まるで自然の魔法が実現するかのようです。 新しい時代のチャネル開発生物学的なシステムは、驚くほど効率的で複雑な機能を持っています。その中でも、イオンチャネルは細胞内外のイオン流を制御するための重要な役割を果たしています。これに着想を得て

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