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キッズ・リターン (1996)
しばらくマガジンを更新していなかったが、数年ぶりに更新したい。 北野映画の最高傑作ともいえる本作品。 「暴力的な映画は……」「ビートたけしの作品は怖くてね……」自分が北野映画を初めて見たのは『その男、凶暴につき』だ。その過激な表現に不快感すら覚えるものだった。若かりし自分は「北野映画はバイオレンス」とレッテル貼りをしてしまったのはこの頃だ。 しかし、『あの夏、一番静かな海』から作風は変わり始めた。粗暴なセリフから徐々に人間味溢れる作品になっていく。そして、必ずしもハッピーエンドにはならないという不条理。 でも人生ってそういうもんだよな。 そんな映画を作り始めていた。 そして本作品である。 若さって何だろう。危なっかしくて、ギラギラしていて、そして鋭利な刃物みたいで。1秒先にどこに向かうか分からない不安定さが織りなす一瞬の花火のよう。 そして、静かに消えていく。残酷なようでもあり、現実的でもあり。胸のどこかを抉られるもどかしさ。 しかし、ラストシーン 「まーちゃん、俺ら終わっちゃったのかな」 「馬鹿野郎!まだ始まっちゃいねぇよ」 どこから見ても絶望の儚いシーンで、人生気が付いた時から始まりなことを視聴者に訴えかけている。 どこまで、我々の胸に深く突き刺さるのか。それは受け止める人それぞれであろう。若さという眩しいバイオレンス。そして現実とぶつかる刹那の火花。 覚悟をして召し上がれ。