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「画鬼 河鍋暁斎 x 鬼才 松浦武四郎」@静嘉堂文庫美術館(丸の内)〜“涅槃図“と“地獄極楽めぐり図“
開催終了間際の紹介で心苦しいが、そのタイミングでの訪問になってしまったので仕方がない。
東京丸の内、明治生命記念館内にある静嘉堂文庫美術館で開催されている、「画鬼 河鍋暁斎 x 鬼才 松浦武四郎」、6月9日までの開催である。今日を入れて、あと二日。
静嘉堂は、岩崎彌太郎の弟、彌之助とその息子小彌太(いずれも三菱社長)によって創設された、故美術品のコレクション。その一般展示のために2022年オープ
アガサ・クリスティー著「予告殺人」〜名作かそれとも・・・
時折、ふとアガサ・クリスティーのミステリーに触れたくなる。丁度、Amazon Audibleに「予告殺人」の新訳(ハヤカワ・クリスティー文庫、原書は1950年発行)が入っていた。読んだこともあるように思ったが、購入した電子書籍を検索してもヒットしないので、スタートした。
出だしが好きである。イギリスの田舎、チッピング・クレグホーン村の新聞配達員の様子が描写される。各家庭の注文に従って、毎朝《タイ
何度見ても爆笑と感心〜マルクス・ブラザースの「オペラは踊る」は最高に面白い!!
MLBの試合、7回表が終わるとSeventh-inning Stretch。観客は立ち上がり、伸びをし、“私を野球に連れていって〜Take Me Out to the Ball Game“を合唱します。
TV中継から流れる曲を聴いていた妻が、「この曲が出てくるマルクス・ブラザースの映画があったはず。久しぶりに観たい」と言い出しました。「オペラは踊る(原題:A Night at the Opera
最後の喜劇人と呼ばれて〜笹山敬輔著「笑いの正解 東京喜劇と伊東四朗」(その2)
(承前)
昨日、ダラダラと伊東四朗の思い出を書いたのですが、その伊東さんの評伝が笹山敬輔著「笑いの正解 東京喜劇と伊東四朗」(文藝春秋)です。
その副題にある通り、伊東四朗という“最後の喜劇人“を中心にしながら、“東京喜劇“とはなにかを掘り下げた作品です。
伊東四朗は、舞台で演じられる芝居やコントが大好きで、それが高じてその世界に入っていきます。そして、多くの先人たちから刺激・指導を受けなが
私の視界を大きく広げたマンガ〜大島弓子「たそがれは逢魔の時間」
以前にも書いたと思うが、大学受験が近づくころ私は少女マンガにハマった。それまでもマンガは読んでいたし、妹が買ってくる少女マンガ誌も読んでいた。
しかし、1970年代の後半はその域を超えてしまった。一つのきっかけとなったのは、1978年に発表された大島弓子の「綿の国星」(白泉社「LaLa」)だ。これは、とんでもないことが起きていると思った。
当時「綿の国星」は第一作が「夏の終わりのト短調」とカッ
PayPayポイントでiPad Proを買った〜M4搭載11インチモデル(その2)
(承前)
2024年5月、満を持して登場した11インチiPad Pro(M4)は、私の持つ第一世代のA12X Bionicチップから、M4へとアップグレード。ディスプレイは、Ultra Retina XDRで、なんだか分からないが、これまでのLiquid Retinaをさらに進化させたものらしい。
縦横のサイズはほぼ同じだが、厚さが5.9mmから5.3mmと薄くなり、重量は446gと20g程度
村上春樹の「ノルウェイの森」を再訪する(その2)〜“100パーセント・リアリズムへの挑戦“
(承前)
1991年に出版された、講談社「村上春樹全作品1979ー1989」第六巻には、“100パーセント・リアリズムへの挑戦“とした、「ノルウェイの森」に関する村上自身の解題「自作を語る」が挟み込まれている。
僕は六十二歳の今、二十代で初めて読んだ「ノルウェイの森」を再読し、前回その感想を書いた。その後にこの文「自作を語る」を読んだわけだが、非常に面白かった。
1985年に「世界の終わりと
一体“悪“とは何なのか(その2)〜手塚治虫が「バンパイヤ」で描こうといたものは
(承前)
バンパイヤは人類の味方なのか、それとも敵なのか。バンパイヤと人間の共生は可能なのか。そしてロックこと間久部緑郎の運命やいかに。クリアな答えを出さない状態で「バンパイヤ」第一部は“大団円“と題されたエピソードで終了する。
掲載誌を変えた第二部のオープニングは、江戸時代に舞台を移し、幕府転覆を企んだ由井正雪の乱を背景に、南町与力の檜垣九十郎が登場する。第二話は1933年インド・パンジャブ
一体“悪“とは何なのか(その1)〜手塚治虫が「バンパイヤ」で描こうといたものは
講談社の「手塚治虫漫画全集」。随分前に電子書籍で全巻を購入し、少しずつ読み進めてきた。全400巻を、原則第1巻から読了していっており、辿り着いた第320巻は「バンパイヤ第4巻」である。「バンパイヤ第1〜3巻」は全集の第142〜144巻に収録されている。
私は再度第1巻から読み通してみた。
「バンパイヤ」の第一部(全集1〜3巻)は、1966〜67年「週刊少年サンデー」に連載された。第二部(全集4