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1961年生まれ男性です。ロンドンに10年、香港に3年在住しました。仕事、海外経験、先…

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1961年生まれ男性です。ロンドンに10年、香港に3年在住しました。仕事、海外経験、先人たちにも導かれた本、マンガ、映画、演芸や様々な舞台を、自分なりに吸収してきました。現在進行形の事柄も含め、アウトプットしています。読んでくださる方の日々が、少しでも潤えば幸いです

最近の記事

東京で上方落語を楽しむ(その2)〜桂米二一門会と祖父の思い出など

(承前) 三番手で上がった、桂米二の総領弟子、桂二乗。かけたネタは「一文笛」。大師匠、桂米朝の作となる演目である。一門の落語家はもちろん、東京の落語家も手がける作品である。九代目林家正蔵が、襲名披露興行で口演したことは、私の一つの思い出である。 スリの話であり、決して心地よく聴けるものではないのだが、サゲですべてを救う。二乗の明るいキャラクターには合っているように思う。 中入り後は、米二師匠と三人の弟子との“無礼講トーク“。観客から質問をつのり、回答していくのだが、一門

    • 東京で上方落語を楽しむ(その1)〜桂米二一門会と祖父の思い出など

      東京で上方落語を聴く機会はそれなりにある。落語芸術協会に所属し、寄席にも登場する笑福亭鶴光一門始め、精力的に独演会などを開催する桂雀々や桂吉坊、そして一気に全国区の女性落語家となった桂二葉。 それでも、東京においてそれなりの知名度のある噺家に限られ、知らない上方落語家の高座に触れる機会は少ない。昨年、「天満繁昌亭」に初めてうかがい、上方落語の世界に浸り「やっぱり、えぇもんやなぁ」と。大阪出身の私のルーツは、上方落語である。 桂二葉の落語に感心し、彼女の師匠・桂米二とはどん

      • クリント・イーストウッド監督第二作〜「荒野のストレンジャー」

        クリント・イーストウッドの監督第一作「恐怖のメロディ」(1971年)が面白かったので、第二作を検索すると「荒野のストレンジャー」(1973年)、U-NEXTの配信にあったので観た。 私は未見なのだが、イーストウッドの映画デビューは、セルジオ・レオーネ監督「荒野の用心棒(英題:A Fistful of Dollars)」(1964年)、黒澤明の「用心棒」(1961年)をマカロニ・ウェスタンに仕立て上げた作品。このヒットを受けて、「夕陽のガンマン」(1965年)、「続・夕陽のガ

        • 「カレー移民の謎 日本を制覇する『インネパ』」〜カレー屋の秘密と日本の将来

          室橋裕和著「カレー移民の謎 日本を制覇する『インネパ』」(集英社新書)、どこかの書評で目に入り読み始めたのだが、週刊文春、毎日新聞など、各所で続々と取り上げられている。 “インネパ“とは、インド・ネパールのことである。インドの人口が約14億人、ネパールは3000万人程度。それでは、日本で暮らす両国民はどの程度だろうか。本書に、「在留外国人統計」からの数字が掲げられている。 2023年の在留人数 インド46,262人 ネパール156,333人、ネパール人の方がはるかに多い。

        東京で上方落語を楽しむ(その2)〜桂米二一門会と祖父の思い出など

        • 東京で上方落語を楽しむ(その1)〜桂米二一門会と祖父の思い出など

        • クリント・イーストウッド監督第二作〜「荒野のストレンジャー」

        • 「カレー移民の謎 日本を制覇する『インネパ』」〜カレー屋の秘密と日本の将来

          本当に今さらですみません(その2)〜平野啓一郎「ある男」は必読の小説である

          (承前) 平野啓一郎著「ある男」(2018年文藝春秋)である。あまり深く考えずに、私が初めて読んだ平野作品である。凄い小説だと思った。本当に今さらで申し訳ないが、同時代に生きる作家の傑作として、“読まずに死ねるか“である。 Amazon Audibleで聴き始め、「これは!」と感じ、電子書籍版も購入し並行しながら読んだ。平野啓一郎の小説は、活字で読まなければならない。一人一人の名前に使われた漢字、表現の中で使用される文字、すべてに神経が通っている。 「ある男」の“序“は

          本当に今さらですみません(その2)〜平野啓一郎「ある男」は必読の小説である

          本当に今さらですみません(その1)〜平野啓一郎に辿り着いた「マチネの終わりに」

          Amazon Audibleに平野啓一郎の作品がアップされていることを発見した。ずっと気になっていたが、読めていない作家の一人である。聴き始めたのは「ある男」(2018年)。進むにつれ、これは凄い小説だと思い、書籍版を購入し並行的に読んだ。 今まで、どうして彼の作品を読んでこなかったのかと後悔。いや、“過去は変えられる“。すぐに感想を書こうと思ったが、その前に代表作の一つ「マチネの終わりに」(2016年)を読んでからにしようと思った。 ほとんど完璧な小説と言える「ある男」

          本当に今さらですみません(その1)〜平野啓一郎に辿り着いた「マチネの終わりに」

          旅の記憶38〜ロンドン赴任直後の出張先はバルセロナ

          土曜日朝のバラエティ番組「サタプラ」を見ていたら、バルセロナが特集されていた。私は、ふとかつてのバルセロナ訪問を思い出した。 1996年9月、私は念願の海外赴任となり、ロンドンに降り立った。勤務地は、ロンドンの証券現地法人、日本で従事していた社債の引受関連業務を、その本場で行うことになった。 一つの役割は、欧州の発行体(債券発行で資金調達する会社や諸団体)を訪問し、市場や投資家の動向を説明しながら、我々の能力をアピールし、上手くいけば起債(債券発行)を取りまとめる主幹事を

          旅の記憶38〜ロンドン赴任直後の出張先はバルセロナ

          高校生の心理は難しい〜展覧会に触発され橋本治著「桃尻娘」を再読

          先日、神奈川近代文学館で開催中の「帰って来た 橋本治展」について書いた。展覧会を観たら、無性に「桃尻娘」(ポプラ文庫・講談社文庫電子版)を再読したくなった。 本作は1977年小節現代新人賞佳作となった、橋本治のデビュー作である。展覧会の掲示・プログラムには、<「野坂(昭如)が賞めてたよ」と友人に選評を聞かされて、心ひそかに「ザマアミロ」と言って泣く。>と書かれている。 当時高校生の私は、同じ世代が主役となる小説が出たと飛びつき、以来橋本治という人をフォローした。 あらた

          高校生の心理は難しい〜展覧会に触発され橋本治著「桃尻娘」を再読

          最上級のボクシング興行(その2)〜井上尚弥vsルイス・ネリ@東京ドーム

          (承前) そして第4試合、K-1から転向、9戦目にして世界に挑戦する武居由樹が、WBO世界バンタム級王者のジェイソン・マロニーに挑戦した。序盤は武居ペースに見えたが、徐々にマロニーが盛り返して来たように見えた。そして最終ラウンド、マロニーの猛攻に、武居は今にもダウンしそうに見えた。会場も騒然、とにかく逃げ切れという祈りのような歓声の中、武居は踏みとどまった。 もう、この時点でボクシングというスポーツの素晴らしさに感動していた私だが、判定はどうか。1Rにロー・ブロウで減点さ

          最上級のボクシング興行(その2)〜井上尚弥vsルイス・ネリ@東京ドーム

          最上級のボクシング興行(その1)〜井上尚弥vsルイス・ネリ@東京ドーム

          淀川長治さんが、永六輔に「東京で一番おいしいステーキを探して食べてきなさい」と言ったそうだ。永さんは、帝国ホテルでステーキを食べ、「とても美味しかった」と淀長さんに報告した。すると、淀川さんは永さんを某社社員食堂に連れて行き、ステーキ定食を食べさせた。そして、「君は東京で一番いいステーキと一番ひどいステーキを食べた。これから、どんなステーキが出てきても、君は自分の価値観でものが決められるね」と。 私はボクシングを生で観たことがなかった。一度はと思っていたが、背中を押すボクサ

          最上級のボクシング興行(その1)〜井上尚弥vsルイス・ネリ@東京ドーム

          亀戸餃子から亀戸天神へ〜ゴールデンウィーク最終日

          二年前に義父の墓参帰りに亀戸餃子を訪れたことを書いた。ゴールデンウィーク最終日の朝、思い立ってお墓のある船橋法典まで出かけた。 お墓参りの後は、近くにある「楽天地天然温泉 法典の湯」に立ち寄る。墓参が主なのか、スーパー銭湯が本当の目的か。。。。 GW最終日ということもあって、疲れを癒そうとする人で大盛況である。さっぱりしたところで、ランチをどうするか。駅前の「讃岐饂飩 まるは」は入店待ちの人が相当いる。うどんは「釜竹」で食べたばかりでもあるので、いつものPlan B、亀戸

          亀戸餃子から亀戸天神へ〜ゴールデンウィーク最終日

          大阪から来た名店〜うどん「根津 釜竹」で釜揚げをいただく

          「大吉原展」の会場、東京藝術大学の最寄り駅は上野あるいは根津。ならば根津のあの店でランチを取ろう。うどんの名店「根津 釜竹(かまちく)」である。 大阪・羽曳野のあったうどん店「釜竹」の二代目が東京に進出、あっという間に名店として有名になった。「食べログ」によると、出店は2005年。もう20年近くが経過した。 11時半の開店だが、到着したのは11:05、既に10名以上の方が開店を待っている。昨日書いた通り、GWの祝日谷間の平日である。ただ、このくらいの人数の場合、外に置かれ

          大阪から来た名店〜うどん「根津 釜竹」で釜揚げをいただく

          東京藝術大学大学美術館は“大“賑わい〜「大吉原展」が示すもの

          東京芸大の美術館で開催されている「大吉原展」。本展を知ったのは、皮肉にも本展がネット上等で問題視されていたという報道だった。 例えば4月25日の朝日新聞「『大吉原展』に開催前から批判 負の歴史の見せ方は」という記事の中には、<「女性の性暴力の歴史に触れていない」「吉原を美化している」といった批判が上がった>と書かれている。どうも、開催前の広報の仕方にも問題があったようだ。 私は“吉原“が好きである。と書くと、誤解あるいは上記のような批判を受けるかもしれない。正確に言うと、

          東京藝術大学大学美術館は“大“賑わい〜「大吉原展」が示すもの

          クリント・イーストウッド初監督作品〜怖〜い「恐怖のメロディ」

          2022年に文藝春秋に掲載された、小林信彦「わが洋画・邦画ベスト100」。洋画については、配信されているものは殆ど観たと思っていたが、「恐怖のメロディ」(1971年)が未見だった。(U-NEXTで配信中) クリント・イーストウッドの初監督作品、主演も本人である。 イーストウッド監督作品は、「許されざる者」(1992年)、アカデミー作品・監督・主演女優・助演男優賞受賞の「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年)、「ジャージー・ボーイズ」(2014年)などなど、観た映画は、全

          クリント・イーストウッド初監督作品〜怖〜い「恐怖のメロディ」

          ラジオネタをもう一つ〜NHK「ヤマザキマリラジオ」に萩尾望都登場

          ヤマザキマリととり・みきの「プリニウス」(新潮社)が、第28回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞しました。おめでとうございます!  そのヤマザキマリが萩尾望都をゲストに迎えたNHK「ヤマザキマリラジオ」が5月2日に放送され、5月9日までradiko・NHKラジル★ラジルで配信されています。 この二人の対談が2時間近く聴くことができる番組、様々なトピックに会話が飛び跳ねていきます。 なお、以前にも書いた“萩尾望都クエスト“(入手可能な全作品を時系列に再読・初読という、個人的なプ

          ラジオネタをもう一つ〜NHK「ヤマザキマリラジオ」に萩尾望都登場

          「村上RADIO」特別編、まだradikoで聴けますよ(あと数日)〜小澤征爾さんの遺した音楽を追って

          月1で放送されている「村上RADIO」(TOKYO FM/JFN38局ネット)ですが、4月は2回の放送。4月29日、“昭和の日“の祝日は、特別編として“小澤征爾さんの遺した音楽を追って“と題して、2月に他界された小澤征爾さんの追悼番組が放送されました。 村上さんは、「小澤征爾さんと、音楽について話をする」(新潮文庫)というインタビュー本を上梓されていますが、お二人の親交を通じたエピソードも挟みながら、小澤征爾さんの録音を時系列で紹介するという構成になっています。 HPに内

          「村上RADIO」特別編、まだradikoで聴けますよ(あと数日)〜小澤征爾さんの遺した音楽を追って