石鍋洋太

はじめまして、漫画やアニメ、ライトノベルが好きです。自分でも文章を書きたいと思い、投稿…

石鍋洋太

はじめまして、漫画やアニメ、ライトノベルが好きです。自分でも文章を書きたいと思い、投稿を始めました。 ぜひ読んで下さい。

最近の記事

ヒーローサウザンド (第七話)

 あたしは保健室で軽い手当を受けた。そして、今、保健室に一人でいる。  あの後、奈々ちゃんは、先生に今回の事を話した。女子生徒の顔面を殴った事で、秋山は、前回のいじめの時より、少しきつめに注意されたらしい。今は、保健の先生も呼ばれて、話し合いが行われている。  あたしはヒー君に、 「何で助けてくれなかったの?」 「ごめん、君の事をもう一回殴るか、あの奈々って子を殴るかしたら、直ぐに力をかそうって思ったんだけど」 「直ぐにかしてよ」 「少し秋山君を観察したかったんだよ」 「秋山

    • ヒーローサウザンド (第六話)

       あたしは秋山と一緒に校舎に連なる道を歩いていた。 「ヒー君、頼むよ」  あたしはヒー君に口を近付けて小声で言った。 「うーん」  ちなみに、ヒー君の声は、あたしにしか聞こえない。昨日、おかんはヒー君の声には反応しなかった。だからヒー君と会話してる時は、周囲にはあたしが独り言を言ってる様にしか見えない。 「どうしようかな」 「ちょっと、ヒー君、あたしをヒーローにしてくれるんだろ」  そんな事を話してたら体育館裏についた。  秋山はあたしをにらみつけて、 「お前、頭がおかしく

      • ヒーローサウザンド (第五話)

         朝、あたしは学校に向かいながら、  ヒーローになってしたい事って何だろう、と少し考えた。あたしが今、気になってる事の一つは、昨日の犬の事。警察に聞いた所では、あの犬には首輪がされてたそうだ。あたしは助けるのに必死でよく見てなかった。気付かなかった。だけど、だから、野良犬じゃない。だから動物病院に送られたと思う。それで飼い主が引き取りに来て、病院代も払ってくれるはずだ。  だから大丈夫だろう。  もう一つ気になってる事は、奈々ちゃんだ。  あたしは空を見た。晴れている。梅雨が

        • ヒーローサウザンド (第四話)

           あたしは家の洗面所で鏡と向き合っていた。  あたしがヒーローサウザンドを使って三人の男を倒した後、外に出て周囲の人間を必死にさがして、近くを歩いていたおじいちゃんに事情を説明して、警察を呼んでもらった。三人の男たちは病院に運ばれた。あたしも蹴られたので病院で診てもらった。犬も保護された。あたしは事情を聞かれたのでヒーローサウザンドの事は言わずに男たちが犬に暴行していた事。知らない誰かが助けてくれた、とだけ言った。  それから、警察から連絡を受けたおかんが来た。おかんは驚き

        ヒーローサウザンド (第七話)

          ヒーローサウザンド (第三話)

           あたしは廃ビルの中にいて、少し離れた所に血だらけの犬と、犬に暴行を加える大人が三人。そしてあたしに話しかけてくる、ヒーローサウザンドと名乗った、この不思議なアップルウォッチ、ではない何か。 「また、見捨てるの?」  あたしの左手首からヒーローサウザンドはまた話しかけた。 「だって、あたし、弱いし」 「ずっとこうやって生きてくつもりなの?」  その言葉があたしの心をえぐる。 「ずーっと、ずーっと」 「で、でも」  大人の一人があたしをにらむ。 「おい、ガキ、消えろ」  そして

          ヒーローサウザンド (第三話)

          ヒーローサウザンド (第二話)

           あたしが起きた時、まだおかんは帰っておらず、おとんは寝ていた。あたしはアップルウォッチ? を左手首に付けて学校に行った。  学校は途中まで何事も起こらず進んだ。  だけど事件は起きた。給食の時間に。奈々ちゃんは給食当番で、カレーをよそっていた。だけど秋山の皿にカレーを盛り付ける時に、失敗してカレーがはねてしまった。秋山の服を少し汚してしまった。 「ご、ごめん」  奈々ちゃんは謝った。秋山は身長が高く小5で160センチくらいある。その秋山がにらむ。クラスに緊張が走る。 「秋

          ヒーローサウザンド (第二話)

          ヒーローサウザンド (第一話)

           ヒーローとは何だろう。例えばオリンピックで金メダルをとった人。例えば災害から人を救うレスキュー隊。例えば、例えば、例えば。  世界には、沢山のヒーローがいると思う。だけど、あたしにとってそれは何時もテレビとかパソコンのモニターの向こうにいて、  あたしは、ヒーローと呼べる人を直接に見たことが無い。  あたしが通っている小学校の五年二組は、最近、緊張感に包まれている。生徒の一人、村上君が学校に来なくなったのだ。理由はこのクラスのいじめっこ、秋山君、いや、秋山と、その取り巻き

          ヒーローサウザンド (第一話)