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人びとのためのMMT、第0部:ロマンティックMMT

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ロマンティックMMT−1:言語文化の障壁

ロマンティックMMT−1:言語文化の障壁

 どうでしょう、この「人びとのためのMMT 第0部 ロマンティックMMT」というマガジン名。

 本人は、なかなかいいな...と思っています。でもそれはおそらく、いや、ほとんど間違いなく皆さんがこの言葉から感じることとは別の意味においてです。

 ロマンティックの意味はしばし置いておいて、まずは言語の意味のズレそのものの話をいたします。

 あなたはたぶんMMTのことを謎なところが多い妙な理論だと

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「マルクスの貨幣論」の前に「経済学は間違いです」(補論その3)

「マルクスの貨幣論」の前に「経済学は間違いです」(補論その3)

「天才マルクスの貨幣論とMMT」というシリーズを、下のイマージの全三回シリーズで書こうとしています。

第一回(プロローグ)
第二回(本論)
第三回(発展)

 第二回を書く前に、マルクスがひっくり返した相手であるヘーゲルの論理を説明しなければ、ということで二つの「補論」を入れました。二つでいいかと思ったのですが、急遽「補論3」を追加します。

 だからこういうことになりますのでよろしくお願いしま

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「マルクスの貨幣論」の前にヘーゲルの論理を理解するための補論 その2

「マルクスの貨幣論」の前にヘーゲルの論理を理解するための補論 その2

 天才マルクスの貨幣論とMMTを、下のイメージの全三回シリーズで書こうとしています。

第一回(プロローグ)
第二回(本論)
第三回(発展)

 今回は、第二回(本論)の議論に備えるための補論の2です(補論の1もあります)。

 ややこしい!

 今回の内容はヘーゲルの考え方の核心のご紹介!

 第二回(本論)で目指そうとしているのは、マルクスが資本論においてどのようにヘーゲルをひっくり返したのか

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「マルクスの貨幣論」の前にヘーゲルの論理を理解するための補論 その1

「マルクスの貨幣論」の前にヘーゲルの論理を理解するための補論 その1

 今回はこちらの続きとというか。

 続きというより始まったばかりの「本編」とは別の、いわゆる「外伝」とか「スピンアウト作品」みたいな。

 ややこしい(笑)

 マルクスの天才を語るためには、マルクスがカウンターパンチを放った相手の論理を説明しないといけないのだけれども、実はこれが難しい。

 「資本論ワールド」というサイトがそれをやろうとしていて、こちらです。

 こちらのサイト、実はかなり好

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天才マルクスの貨幣論とMMT(1/3)

天才マルクスの貨幣論とMMT(1/3)

 うれしいことにわたくしがマルクスに取り組むきっかけをくださった一人であるビル・ミッチェルがブログでマルクスを取り上げています。

 しかしです。

 ミッチェルが「マルクスの貨幣論(Marx on Money)」として紹介するのが資本論でなく初期の「経済学批判」であるということ、これはとても不満です。

 もちろん「経済学批判」の議論を取り上げるのがいけないということではなくて、マルクスの貨幣理

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ロマンティックMMT−26: マルクス-MMT⑧ 経済学批判2020への序説(4/n 記号・論理・デジタルな価値)

ロマンティックMMT−26: マルクス-MMT⑧ 経済学批判2020への序説(4/n 記号・論理・デジタルな価値)

 マルクス-MMTも八回目。イメージとしてはあと三回くらいでまとめたいかなと。

 ① 簡単!表券主義
 ② アンケート「資本主義って何ですか?」
 ③資本主義って何だろう
 ④資本論は救いの書?
 ⑤経済学批判2020への序説(1/n)
 ⑥経済学批判2020への序説(2/n ロマン主義の継承者)
 ⑦経済学批判2020への序説(3/n マルクスの弁証法=パスカルの怒り)

 前回は、マルクスの

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ロマンティックMMT−25: マルクス-MMT⑦ 経済学批判2020への序説(3/n マルクスの弁証法=パスカルの怒り)

ロマンティックMMT−25: マルクス-MMT⑦ 経済学批判2020への序説(3/n マルクスの弁証法=パスカルの怒り)

 ① 簡単!表券主義
 ② アンケート「資本主義って何ですか?」
 ③資本主義って何だろう
 ④資本論は救いの書?
 ⑤経済学批判2020への序説(1/n)
 ⑥経済学批判2020への序説(2/n ロマン主義の継承者)

新説?!マルクス=ゲーテ=パスカル 今回書きたいことは、マルクスやMMTによる哲学批判および経済学批判は、ゲーテによるニュートン批判やパスカルのデカルト批判と同じもの!という話に

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ロマンティックMMT−22: マルクス-MMT④ 資本論は救いの書?

ロマンティックMMT−22: マルクス-MMT④ 資本論は救いの書?

マルクス-MMTの四回目です。バックナンバーはこちら。

 ① 簡単!表券主義
 ② アンケート「資本主義って何ですか?」
 ③資本主義って何だろう

 前回は「資本主義という言葉は特に日本では曖昧になっている」という指摘をし、マルクスは資本論で「資本主義的社会の始まりとその破滅を記述した」という話をしました。さらに資本において「資本とは何か」という説明は、いちばん最後の章(第25章)にさり気なく

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ロマンティックMMT−21: マルクス-MMT③ 資本主義って何だろう?

ロマンティックMMT−21: マルクス-MMT③ 資本主義って何だろう?

マルクス-MMTの三回目です。バックナンバーはこちら。

 ① 簡単!表券主義
 ② アンケート「資本主義って何ですか?」

 みなさんアンケートありがとうございました(頂いたご意見は見つけ次第②の記事にリンクしていく所存)。

アンケートの意図 アンケートには小さな意図がありましたので、それを説明しておきます。 

 ①で説明した「表券主義」と「資本主義」という二つの言葉は同じ「◯◯主義」ではあ

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ロマンティックMMT−20: マルクス-MMT② アンケート「資本主義って何ですか?」

ロマンティックMMT−20: マルクス-MMT② アンケート「資本主義って何ですか?」

マルクス-MMT① 簡単!表券主義 の続きです。

 前回は「表券主義」をやりましたので、次は「資本主義」という言葉を考えてみましょう。

 ただ、同じ◯◯主義でも大きな違いがありますね。それは「表券主義」という言葉は人々にあまり知られていないのに対し「資本主義」という言葉はほとんどの人が知っている。

 いや、知っているかはわからない。けれども「使って」いますよね。そして使っている人に対して「そ

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ロマンティックMMT−19:  マルクス-MMT① 簡単!表券主義

ロマンティックMMT−19: マルクス-MMT① 簡単!表券主義

 少し間が空きましたがマルクス-MMT論を真面目にはじめます。

 やっぱり、まず大事になるのは資本主義とか表券主義のような「概念」それ自体のことでしょう。

 ただ、それらの概念の内容の前に、日本語圏に顕著なある種の誤解のパターンに触れておく必要があります。

 日本語という言語の特性のせいで「ほんとうはカンタンなことをむつかしく理解しようとしていしまう」という傾向が強い。マルクスやMMTがすご

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ロマンティックMMT−18: JGPとマルクスの視座(JGPの話5)

ロマンティックMMT−18: JGPとマルクスの視座(JGPの話5)

 こんにちは。

 ええと、じぶんはよく「学者は馬鹿」「経済学者は存在しないほうが世のため」と吠えているわけですが、みなさんはそんなに怖がらないでくださいね。どうか、気軽にコメントしてください。。。

 と言っても信用できないですかね。。。

 やっぱりちょっと怖かったりするんですかね。。。

 あなたがプロでなければだいじょうぶです!なぜならバカになる訓練を受けていないから。

 ダメなのは専門

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ロマンティックMMT−17: JGPの目線とマルクスの誤解(JGPの話4)

ロマンティックMMT−17: JGPの目線とマルクスの誤解(JGPの話4)

 JGP(職業保証制度)の話、四回目です。別の話が挟まったので過去記事のリンクを入れておきます。一回目、二回目、三回目

 さて、昨日はたまたまSNSでレイのMMT入門(いわゆる金ピカ本)の翻訳の画像が回ってきて、そのダメさに思わず反応したわけですが。

 金ピカ本にそんなに目くじらをたてることもないんじゃね?とお思いの向きもあろうかと思います。

 文法的にはああしたで受験生ぽい「逐語訳」でもマ

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ロマンティックMMT−16: 大西つねきさんとイデオロギー

ロマンティックMMT−16: 大西つねきさんとイデオロギー

 れいわ新選組の党員である大西つねきさんが、問題発言をして物議を醸し、代表の山本太郎さんが謝罪文をアップするという事件がありました。

 人口比率が歪になっていて、若者ための時間(お金でなく)が少なくなっており、もはや命の選別が必要だという論。

 こういうことを言う人はたくさんいますよね。

 「命の選別」なんて、すでに毎日、大々的に実行中。今更何言っているの?ってなります。

 金持ちでない人

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