マガジン

  • マルクス経済学批判(資本論)の検討 - MMTを媒介に

    よろしければ第一回からご覧ください

  • 新しいMMT入門

    まったく新しいアプローチによるMMT入門シリーズです

  • 資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語る

    「資本論を nyun とちゃんと読む」の二大メインコンテンツの片側にしてライフワーク?

  • MMT「税が貨幣を動かす」ビューの論理、を読む

    マガジン「資本論-ヘーゲル-MMTを三位一体で語る」の、サブマガジンとして、 レイ『現代貨幣を理解する:完全雇用と物価安定への鍵』(Understanding Modern Money: The Key to Full Employment and Price Stability)2006年版における、第七章「税が貨幣を動かす」ビューの論理(The Logic of Taxes-Drive-Money View )を翻訳、解題します。

  • 人びとのためのMMT、第0部:ロマンティックMMT

最近の記事

「貨幣」を捉えなおす(ジンメルやカッシーラー風味)

 さあ「新しいMMT裏入門」本編の始まりです。(序論はこちら)  同時に「マルクス経済学批判(資本論)の検討 - MMTを媒介に」の第四回も兼ねましょう。  序論での分析で明らかになったのは、ドイツ人がヤップ島でしたことは「モズラーの名刺」と同型と見做せるということですね。  ドイツ人がフェイに「✖印を付ける」ことが課税であり、住民たちはそれによって失われた「何か」を「道路を整備する仕事」によって取り戻すことができ、結果として道路は整備されました。  約束通り「✖印を消

    • 「新しい裏MMT入門」序論:MMTを貨幣論から攻略すると?

       思うところがありまして、「新しいMMT入門」と並行して「新しいMMT裏入門」というのをやってみようと思います!  なぜなら「新しいMMT入門」は意図があって、「貨幣(マネー)」概念に頼らずにMMTを記述するっていう方針を打ち出していたのでした。  一方で、「マネーストック」「マネタリーベース」などの貨幣論は関心が高いのだということを感じずにもいられませんし、知りたい人の圧を感じもします(笑  また、敗戦から現在に至るマネー面から見た日本の歴史、すなわち、高度成長、オイ

      • 宗教としてのマネタリーベース・マネーストック

        「新しいMMT入門」の第15回。  兼 資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語るの第49回。  前回は諸星たおさんの文章の一部分析しました。  その後ご本人と短いやり取りがあったのでリンクしておきます。  金ぴかの発売は 2019/8/30で、コロナ上陸が 2020年の一月、このムックの発売は 2020/5/15 という時系列ですか。  日本MMTウオッチャーの第一人者としてぼくが2019年以来やってきたことは、振り返れば、そうした諸「日本語におけるMMT関連エクリチュ

        • MMTの論理構造をテクスト分析によって明らかにしてみる

          「新しいMMT入門」の第14回。  兼 資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語るの第48回ということで。  流れに任せて書きなぐっていたら、前回はキリスト教神学の話になっていました。  そういえばマイケル・ハドソンがどうして聖書研究を一生懸命やっているのかが最初ピンとこなかったのですが、今はよくわかります。  初回に書いたことですが、もともとは「日本でMMTを考えるにあたってはアメリカを無視できない、だから1950年代にFRBが財務省からの独立を手にしたアコードあたりか

        「貨幣」を捉えなおす(ジンメルやカッシーラー風味)

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        • 新しいMMT入門
          18本
        • マルクス経済学批判(資本論)の検討 - MMTを媒介に
          4本
        • 資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語る
          58本
        • MMT「税が貨幣を動かす」ビューの論理、を読む
          7本
        • 人びとのためのMMT、第0部:ロマンティックMMT
          28本
        • MMTグラフモデル
          7本

        記事

          エンゲルスに学ぶ「異端の学」とMMT

          今回は「新しいMMT入門」の第13回、  兼 資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語るの第47回ということで。  ぼくが熱力学とMMTおよびマルクスの類似を真剣に考えるようになったのはごく最近のこと。  そのあとで、熱力学の巨星であったクラペイロン(1799-1864)やクラウジウス(1822-1888)やマクスウエル(1831-1879)らは、マルクス(1818-1883)と同時代の人であることに気づく。 エンゲルスで考えるMMTと熱力学エンゲルスの熱力学論  蒸気

          エンゲルスに学ぶ「異端の学」とMMT

          松尾匡さん理論を完全解剖する

          今回は「新しいMMT入門」の第12回、  兼 資本論-MMT-ヘーゲルを三位一体で語るの第46回という感覚でお送りします。  実は松尾匡さんの『「はだかの王様」の経済学』という本をごく最近(というか今日)手に取ったのです。(Amazon)  おまえ松尾さん研究したんじゃないのか?という声が聞こえますが、ええ、まあ、ぼくはついつい論文や学術書を優先してしまい、彼が間違えていることを理解するためにはそれで十分だったので、一般向けの書籍は敬遠してしまっていたというわけ。  思

          松尾匡さん理論を完全解剖する

          MMT=マルクス理論(大石予想)を論証する

          「新しいMMT入門」の第11回!  思い付きで始めたこの「入門」でしたが、方向性がなんとなく定まってきました。  実は youtube でも語ったのですが、そもそものぼくの関心はこんな感じ。  ここ数回(第8回以降)は、たまたまモズラーの呟きを見たことに端を発して「 Drag による仕事の取り出し」というイメージでまとめてきたわけですが、それはこのうちの「物理学的」「熱力学的」な面白さの追求だったことになります。  そして、やってみたら、この過程で深い気付きを得た

          MMT=マルクス理論(大石予想)を論証する

          ジョブギャランティの意味を物理の方法で考える

          「新しいMMT入門」の第10回!  この入門の戦略は、MMTの見通しをよくするために「貨幣」に注目するのではなく、操作、オペレーションに注目することを方針を採っていたのでした。  直近の二回(第8回、第9回)は「王(統治者)が人々から仕事を取り出す」というオペレーションを、モズラーによる二つの比喩を使って図解することを試みました。  まず第8回ではモズラーの a runner の比喩を採用しました。  つまり民間経済の全体を、自ら頭にビニール袋を被った一人のランナーに見

          ジョブギャランティの意味を物理の方法で考える

          MMTにおける「税が貨幣を動かす」ビューの論理(レイ本の第7章)VII

          レイ『現代貨幣を理解する:完全雇用と物価安定への鍵』(Understanding Modern Money: The Key to Full Employment and Price Stability)2006年版における、第七章「税が貨幣を動かす」ビューの論理(The Logic of Taxes-Drive-Money View )の個所のゲリラ訳と解題、その七回目。  この話だけのマガジンとしてもまとめています↓  ここまでのあらすじですが 第一回ではこの章の、

          MMTにおける「税が貨幣を動かす」ビューの論理(レイ本の第7章)VII

          「モズラーの名刺」のまともな解釈

          「新しいMMT入門」の第9回!  ここまでいろいろ書きながら自分の思考をまとめてきた感じでしたが、ようやく理論的な最終形のイメージができてきました。  もったいぶらずに、それを先に示しておきましょう。  それはマクロ的(巨視的)な描像とミクロ的(描像)の二つから成り、この二つは相似の関係にあります。  経済学者または経済学アタマの人たちは、よく「マクロではミクロの常識と反対になる」といいますが、ええ、経済学者の言うことのなので、それが間違いだと思っておきましょう。

          「モズラーの名刺」のまともな解釈

          モズラーの「逆リヴァイアサン」、もしくはMMTの全貌的イメージ

           「新しいMMT入門」の第8回!  さっそくですが、こんな動画が出ました!  ここ note とはアプローチが違うのですが、今後も動画と連動していろいろできたらいいなと思っています。  ぼくが退出した後の一コマ。    初めての経験でしたが、どうやら楽しんでいただけたようでうれしさいっぱいです\(^o^)/  上の動画でもすこししゃべっているのですが、2019年、日本にMMTが本格的に流入してきたとき、「国債をいくらでも発行できる理論だ」と解釈する人が続出して、ぼく(

          モズラーの「逆リヴァイアサン」、もしくはMMTの全貌的イメージ

          交換と「王の支出」を考える

           「新しいMMT入門」の第七回!  前回は下の「本質的な7種のオペレーション」を提示しました。  ところで科学とは、少ない原理と事実によって多くの事実や事象を説明する営みなのでした。  そこで今回は、これらのオペレーションに先立つ原理を深く考えていくことにします。  王は通貨で民衆に支出して、通貨を徴税する。  そのことは王は通貨が流通することを知っていることを意味します。 通貨が流通するとはどういうことか?交換と「補償原理」  通貨が流通するとはどういうことか

          交換と「王の支出」を考える

          ここから始める!MMT

          「新しいMMT入門」の第六回!  「入門」と言いながらも前回はかなりマニアックな話になってしまったかもしれません。  今回は一転、MMTの最低限の知識を厳選してみましょう。  これが基礎になります。  科学とは何か?という問いにはいろいろな言い方がありますが、ここでは次のように考えています。  それは、いくつかの事実と原理を前提にして知識を論理的に積み上げることにより、多くの事実を体系的に説明する営みであると。  というわけでMMTという科学において、出発点となる事

          ここから始める!MMT

          貨幣、エントロピー、MMT

           「新しいMMT入門」の第五回!  そろそろ本編に入りつつある感じです。  この「新しいMMT入門」におけるぼくの戦略の柱の一つは、なるべく「貨幣(マネー)」という言葉あるいは概念を使わずにMMTを語ることにあります。  そのあたりの話をしておこうと思います。 「貨幣(マネー)」概念に頼らずにMMTを記述する 「何言っているんだ?、MMTは現代カヘイ理論」でしょう?と思う方がほとんどだと思います。  ぼくとしても、逆張り思考?のようなことをやるつもりではまったくなく

          貨幣、エントロピー、MMT

          MMTが「不明瞭」で「政治的」な理由

           「新しいMMT入門」の第四回。 「経済学者は悪でなく凡庸」と見るビュー 前回ぼくは、犬キャラを徹底させて「経済学者たちがMMTをわざわざ捻じ曲げて広告することに余念がないのは政治的な理由、出世欲(猟官活動など)、あるいは何かの陰謀では?」という説を採り、具体例としては現日銀審議委員の野口旭の論考「MMT(現代貨幣理論)の批判的検討(1)─政府と中央銀行の役割」を取り上げて検討しました。  これは経済学者悪人説としましょう。  冷静キャラの方のぼくとしては、今回別の説を

          MMTが「不明瞭」で「政治的」な理由

          「それをやる?」、ぼくは憎めない間抜けの側に居る

           こんにちワン。「新しいMMT入門」の第三回。  そういえば「入門」を教えるとかいう偉そうな nyunって誰?ってなりますよね。  申し遅れました。 「日本におけるMMTウォッチャーの第一人者」をしている犬です。  ときどき語尾がワンになってしまいます。  さて、この「新しいMMT入門」をやりたくなったのは、ここでアメリカの1951年アコードのこと書きながら(このエントリ)「日本においてMMTの考え方を理解するためには、戦後あたりからの日米関係を俯瞰した形で把握するビュ

          「それをやる?」、ぼくは憎めない間抜けの側に居る