マガジンのカバー画像

小説『クルイロ~翼~』前半(全文無料公開です)

8
天才肌のサッカー少年ボリスと、彼の活躍を見守り、インスピレーションの源であり続けるアレクセイとの、十数年間にわたる独特の友情関係を、社会主義体制崩壊後の激動する社会情勢とシンクロ… もっと読む
運営しているクリエイター

#絶版本

📖【小説】『クルイロ~翼~』③  (2007年刊行の絶版本をnote限定公開!!)

📖【小説】『クルイロ~翼~』③ (2007年刊行の絶版本をnote限定公開!!)

📚①はこちら▼

📚②はこちら▼

----③▽----
◆「第二章:二人の空」後半 P.37~

 ボリスはサッカーだけでなく、どのスポーツでもその運動能力の高さを証明できる人物だった。日々のちょっとした遊びの中でも、その才能の一端は垣間見ることができた。
 アレクセイはよくスクラートフ家の別荘についていき、緑豊かな森の中でボリスと一緒にキノコ狩りをしたり、小動物を追いかけて遊んだりした。別

もっとみる
📖【小説】 『クルイロ~翼~』 ④ (2007年刊行の絶版本をnote限定公開!!)

📖【小説】 『クルイロ~翼~』 ④ (2007年刊行の絶版本をnote限定公開!!)

※①から順番に読む▼

📖① 📖② 📖③

-----④▽-----◆第二章「二人の空」中盤 P.45~

 ボリスの創造力の出しどころであり、かつ右に出る者のいない事柄として、サッカーのほかにもう一つ、芸術という分野があった。
 一度、芸術の授業で『将来の我が家』をテーマに作品を制作するという課題が出された。日頃から造形物を作ったり、仕掛けの凝ったビックリ箱を作ったりして遊んでいたボリ

もっとみる
📖【小説】『クルイロ~翼~』 ⑤ (2007年刊行の絶版本をnote限定公開!!)

📖【小説】『クルイロ~翼~』 ⑤ (2007年刊行の絶版本をnote限定公開!!)

※①から順に読めるマガジン(無料)はこちら▼

ーーーーーーーーーーーーー

◆第二章「二人の空」後半(P. 60~)

 まだ色々な面で目覚めきっていなかったこの頃のボリスは、どちらかと言うと良くない意味で人目を引き、悪評を広めていた。家庭における過剰な抑圧の反動か、彼は家庭の外ではせいぜい奔放に振る舞い、いたずら事に耽り、喧嘩を売られれば喜んで買った。自分からむやみに攻撃したりはしないが、腕っ

もっとみる