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小説『クルイロ~翼~』前半(全文無料公開です)

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天才肌のサッカー少年ボリスと、彼の活躍を見守り、インスピレーションの源であり続けるアレクセイとの、十数年間にわたる独特の友情関係を、社会主義体制崩壊後の激動する社会情勢とシンクロ… もっと読む
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#人間関係

📖【小説】 『クルイロ~翼~』 ①  (2007年刊行の絶版本をnote限定公開!!)

📖【小説】 『クルイロ~翼~』 ① (2007年刊行の絶版本をnote限定公開!!)

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◆序章 鳥
「俺はいつか、自分にバラバラにされて時間を落とす」

 それがアレクセイにとって、サッカー界の伝説的ファンタジスタ、そして無二の親友でもある半身、ボリス・リボーヴィッチ・スクラートフから聞いた最も印象的な言葉の一つだった。ほかの人たちの目には見えない、次元の異なる遠い世界を垣間見るかのような虚ろな眼差し。自分の身に何かが起こるず

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📖【小説】『クルイロ~翼~』 ⑤ (2007年刊行の絶版本をnote限定公開!!)

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◆第二章「二人の空」後半(P. 60~)

 まだ色々な面で目覚めきっていなかったこの頃のボリスは、どちらかと言うと良くない意味で人目を引き、悪評を広めていた。家庭における過剰な抑圧の反動か、彼は家庭の外ではせいぜい奔放に振る舞い、いたずら事に耽り、喧嘩を売られれば喜んで買った。自分からむやみに攻撃したりはしないが、腕っ

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