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思考の枠を超える tiny.cc/cl7kuz ひらめかない人のためのイノベーションの技法 tiny.cc/bl7kuz 子どもの地頭とやる気が育つおもしろい方法 tiny.cc/al7kuz 自分の頭で考えて動く部下の育て方 tiny.cc/8l7kuz

最近の記事

名越康文「驚く力」引用

「ほめて伸ばす教育」ということが言われます。でも、「ほめてあげる」という姿勢には、「ほめる人」の感動が感じられません。上から目線で、心が動かされている感じがありませんよね。一方、本当に上手に人をほめる人というのは、必ず非常に豊かな「驚く力」を持っています。 名越康文「驚く力」p.30 というのも、ほめる人が驚いている かどうかは、子供や生徒など、教えられる立場の人に必ず伝わっているからです。そして、ほめる側の心に「驚き」が伴ったときの「ほめ」には、そうでないときの何倍もの力

    • 奇妙な経歴

      2001年入省の官僚の間では、私はちょっとした有名人だった。新人研修のとき、事務次官だろうが誰だろうがズバズバ質問するので、「どうせ篠原が質問するんだから最初からマイク渡しとけ」と言われるほど。当時の新聞で「今年の新人はえらくやる気がある」と評されていたのは、たぶん私のせい。 そんな私を蛇蝎の如く嫌う同期と、面白がる同期とにスパンと分かれた。そりゃまあ、これから出世したいと思う人間は、私と親しいなんて思われたら迷惑だと思ったに違いない。けれど不思議なことに、私に触発されてズ

      • 短所を見るな、長所を伸ばせ

        父はよく「短所を見るな、長所を見ろ、長所と短所は表裏一体、長所を伸ばせば短所は隠れる、長所を伸ばせ」と言っていた。 弟たちは成績優秀で、特に上の弟は美術、技術がオール5、下の弟は体育がオール5。かたや私はどれもパッとしない。オール3、時々2。 才能では全く恵まれていなかったと思う。そんな三兄弟のそれぞれの長所を、父はどう評していたかというと、「信の粘り、次男のひらめき、三男の集中力」と繰り返していた。次男は小さな頃から確かにひらめきがあり、木のスプーンなんか見たこともないの

        • 細胞も人間も「関係性」が大切

          たった一個の受精卵から、60兆個もの細胞からなる人体ができあがるということの神秘、不思議。しかも、心臓の細胞を腎臓のところに植え付けても腎臓細胞の代わりにはならず、皮膚の細胞を小腸に移植しても機能しない。元は一個の細胞でも、もはや全然違うものに化けてしまう不思議。 たった一個の細胞が60兆個もの細胞の宿命をデザインしていることの驚異。これはすごいこと。本当かいなと信じがたくなるほど。 でもここで一つ注意しなければならないことがある。遺伝子はすべてをプログラムしてるわけではな

        名越康文「驚く力」引用

          「全否定」してたらキリがない

          デカルトと言えば「我思うゆえに我あり、でしょ!」とか、「心身二元論だよね!心と体を別々に分ける考え方がいろんな問題を引き起こした!」とか、主にその2点がやり玉にあがることが多いのだけれど、私はそこ、あまり重要ではないと考えている。デカルトが厄介なのは「全否定」だと思う。 デカルトの生きた時代はキリスト教が二つに分裂していた。旧教(カソリック)と新教(プロテスタント)。互いに自分こそが正しい、相手が間違っていると批判し合って、ついには聖バーソロミューの虐殺と呼ばれる大虐殺事件

          「全否定」してたらキリがない

          立憲民主党の地すべり的勝利は馬場代表(維新)のおかげ?

          今回の補選の立憲民主党の地滑り的勝利は、自民のガタガタぶりも大きいけど、維新の馬場代表による「ナイスアシスト」がかなり効果的だった気がする。 馬場氏は野党でありながら、与党である自民党を批判するのではなく、やたら立憲民主党にばかりかみついていた。これは裏メッセージとして、 「野党第一党の立憲民主党を叩き潰すのは、我々維新にお任せあれ」と、自民党に秋波を送っていると見られても仕方なかった。私はそう感じたし、自民党もそれを感じ取っていたのではないか。立憲民主党を叩き潰し、安倍政

          立憲民主党の地すべり的勝利は馬場代表(維新)のおかげ?

          構造的な問題は個人の努力では解決しない

          富の偏在を問題視すると、「まずお前が自己の資産を貧困層に配ってからにしろ」と、個人問題に論理をそらす人が必ず出てくる。しかし構造の問題を個人の問題にそらすのは狡猾な論理展開と言える。なぜなら、たとえ個人が努力したとしても「私はしないけどね」と逃げを打って終わりになるから。 人間の動きは水のようなものだと考えている。水は必ず低きに流れようとする。流れようとする水を手のひらで抑えたり殴ったり蹴ったりしても大勢は変わらない。水は低きに流れ続ける。個人の行動だけでは構造的な問題は解

          構造的な問題は個人の努力では解決しない

          賢明な富裕層

          日本経済新聞はよく、先のことを何も考えていないポピュリズムが政治の主導権を握る危うさを指摘するけども、ポピュリズムの生みの親は貧富の格差であることをごまかす傾向がある。富裕層を読者に持つからあまり敵対的な記事を書きたくないからだろうけど。 ポピュリズムも、共産主義も、ナチズムも、貧富の格差、富の集中が生みの親。それがなければ生まれようがない。しかし新自由主義が貧富の格差を拡大し、上位10%が所得の46%(アメリカ)、44%(日本)を牛耳るように。戦前に共産主義が吹き荒れた時

          賢明な富裕層

          富の集中

          所得の多い上位10%への富の集中度は、米国46%、日本44%、中国43%、欧州36%(2021年)。ロシアで共産主義が発生する前は48%(1905年)。 日本は驚くほど富の集中が起きている。 日本経済新聞230108

          富の集中

          親に落ち着いてもらう二つのストーリー

          塾をしているとき、重視していたのが親との面談。少なくない親が、子どもを牢に閉じ込め、「勉強したの?」「宿題まだじゃないの?」と監視ばかりする牢番のようになっていた。子どもは親の刺すような監視の目ですっかり嫌気をさしており、それが学習意欲をひどく落としていた。 こういう場合、残念ながら、子どもの学習を一番邪魔しているのが親ということになる。けれど親を罵ったり責めたりしても変わらない。むしろ防御的攻撃的になり、事態は悪化する。そこで面談では、二つのストーリーを親御さんに伝えるよ

          親に落ち着いてもらう二つのストーリー

          科学と教育に革新をもたらしたレイチェル・カーソン

          産業革命以来、人類は長らく科学の圧倒的な力を信じてきたように思う。2つの世界大戦で恐るべき兵器が開発されてもなお、「それを善用すれば人類は無限に発展できる」と信じる人が大半だったようだ。月面に人類が到達したあたりが、科学への信頼が最高潮に達したときのように思う。しかし。 現代に生きる私達の多くが、安易に科学の力を信用していいか、疑うようになっている。いいことばかり言う技術には裏があるのでは?と慎重になった。科学を絶対的に信じ込み、悪いところなどあるはずがないという楽観的な見

          科学と教育に革新をもたらしたレイチェル・カーソン

          富裕層・移民支配体制は富裕層を窮地に陥れる

          ふざけなはんな!そんなことしたら金持ちの子弟しか大学に行けんやないか!大卒みんなアホボンになるやないか! むしろ国公立の学費が安いから学生間に競争が起き、お金持ちでなくても優秀な人が大卒になるんやないか!マヌケなこと言いなさんな!諭吉に謝れ! 慶応大学塾長のこの発言は、アメリカの指導層(エスタブリッシュメント)の支配方法をマネしようとしたもののように思う。そしてこの支配構造こそ、トランプ氏を大統領にしてしまう原因ともなった。少し長くなるが、そのあたりを考察してみたい。 ア

          富裕層・移民支配体制は富裕層を窮地に陥れる

          電子版「世界をアップデートする方法」発刊

          お待たせしました!最新刊「世界をアップデートする方法 哲学・思想の学び方」の電子版が出ます!明日からのはずですが、アマゾンのキンドル版はもう表示されているようです。 x.gd/MWrKc 哲学や思想と聞いたら毛嫌いしてきた人にぜひお読みいただきたいです。もちろん、これまでも学んできた、という人にとっても、それぞれの哲学思想が現代に生きる我々にどんな影響を及ぼしたのかを描き出しているので、参考にしていただけると思います。 この本は、ツイッターでつぶやいた「哲学・思想の学び方

          電子版「世界をアップデートする方法」発刊

          「驚く」文献

          驚くこと、そして、驚き続けること。それが「介護民俗学」を支えるいちばんのエネルギーになるのだ。 六車由実「驚きの介護民俗学」p.202 驚けないというより、最初は「驚かない」ようにしていた。業務を滞りなくこなすには、驚いている時間がなかったからである。 六車由実「驚きの介護民俗学」p.209 「けだし、驚異することによって人間は、今日でもそうであるがあの最初の場合にもあのように、知恵を愛求し(哲学し)始めたのである。」 アリストテレス『形而上学』982b1 「実にそ

          「驚く」文献

          「うまく伝えられないもどかしさ」が魅力になるのかも?

          ツイッターをやるようになって「文章がうまい」と言われることが増え、不思議な気分。そのほんの数年前まで「お前の文章はわけわからん」と言われていただけに。私は子どもの頃から作文を大の苦手としていただけに、今も文章をうまく書く自信がない。コツもいまひとつ分からない。 ただ、いくつか気づいたことはある。「面白い文章を書こう」とすると、面白くない文章になる。なんなんだろね、これ?狙ったやつは狙っているとすぐバレる。面白いと思わせようとして書いている文章にはわざとらしさがあふれ出て、面

          「うまく伝えられないもどかしさ」が魅力になるのかも?

          単独の優秀さ、タッグを組んだ優秀さ

          微生物の研究をしてると、1+1=0になったり0+0=1になったりして面白い。 病原菌をやっつける警察官みたいな微生物は拮抗菌と呼ばれ、農作物を守るために開発が進められているけど、なかなか思うような成果が出ない。拮抗菌を単独で病原菌と対峙させると確かに病原菌をやっつけるのたけど。 他の微生物が混じるだけで拮抗菌は病原菌をやっつける機能を失ってしまう。農業現場は雑菌だらけだから、これでは役に立たない。1+1=0になるというのはこのこと。確かに存在したはずの機能が現場では発揮され

          単独の優秀さ、タッグを組んだ優秀さ