谷 俊彦

小説家;執筆活動再開しました。 「木村家の人びと(小説新潮新人賞⇒映画化)」「東京都大…

谷 俊彦

小説家;執筆活動再開しました。 「木村家の人びと(小説新潮新人賞⇒映画化)」「東京都大学の人びと(映画化)」など。 有料記事も無料領域がかなり長めですので気軽に覗いてやってください。 まずは江戸期にいた、とてつもなく弱い力士の物語から……。

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    旅の愉しみのひとつは地酒やクラフトビールを呑むことです。土産のほとんどは、実は自分向け。旅の景色を振り返りながら酒を呑む、そろそろとやって来る晩年を思う。

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    ── あの人の《正体》は何だったんだろうか? その後、どういう運命をたどったのだろうか? そんな風に時折想い出す人がいる。懐かしいわけではなく、恋しいわけでもない。たいていはその人がいるある情景と、その人に関わる、印象的な『科白』がセットになっている。 ほとんどは直接目に耳にしているが、中では伝聞なのにも関わらずイメージがあまりに鮮烈なので、自分がその場にいたように憶えている『景色』もある。

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<あるデバイスが、家庭も会社も世界も変える ── 怖いSF>

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という振り返り感です。

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「Windows 11には対応できません…」
と白旗を挙げたのを数か月煽てたり騙したりしながら使った後、ちびまる子ちゃん一家おススメのケーズデンキで2年ちょい前に買ったのが、Microsoft Surface の Pro 8 です。

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今さらですが、映画『小さいおうち』の最後に涙(ネタバレ:ほぼなし)

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10年前の映画であり、劇場ではなく、TV録画で観ました。
山田洋次監督の映画シリーズで、この翌週には前年に公開された『東京家族』を録画したはず。
録画データはどうしても連続ドラマから観てしまい、まとまった時間が必要な映画は後回しになってしまう。

戦前の日々が『回顧録』に従って展開される映画で、登場するキャラクターは基本的にみんな『いいヒト』。けれど、やはり胸の中に秘めたる熱い思いがある。
回顧す

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レバニラの夜

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いや、田原で買って帰ったアサリを海獺に酒蒸しにしてもらっただけでなく、同じく田原産の新鮮なニラも使ったことを忘れていました。

ニラを食べたネタだけではあまりに芸がないので、半世紀近く前、学生時代の食生活に触れたいと思います。

18歳で実家を離れて上京し、ひとり暮らしを始めると、当然のことながら、それまでとは食のパターンが大きく変わります。
① 自炊
② 学食
➂ 外食
の3種類が出現するわけで

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といっても、わざわざそのためだけに高速使って行くわけではなく、知人宅の行事に参加したついでです。
ほぼ1年ぶりに田原『めっくんはうす』を訪れました。

田原の地名にピンとこない人がいるかもしれないので、地図を出しておきます。平成の大合併で田原町が渥美町などと合併し、渥美半島のほぼ全域が田原市となりました。

質のいい食材は陳列されたらすぐに無くなる、との強迫観念が漬物石のように頭上に載っている我々

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結婚後2年間を過ごした松戸のアパートは新築の1階で、だだっ広い駐車場に面した猫の額ほどの庭があった。

私の通学も妻の仕事もない日曜は、庭に面した6畳間の掃き出し窓を開け放ち、お茶を飲んだり本を読んだりしながら呑気に過ごした。

ちなみに、その部屋には義兄からのお下がりである古いブラウン管テレビがあったが、引っ越して間も無く画面に何も映らなくなった。音声を発するだけのその『箱』を、私たちは『ラジオ

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『今年やりたい10のこと』の8番目に『月1で劇場映画』と決めたのは ──

── おそらく、(単にヒマなジジイであるだけでなく)かつて経験した『映画館での共鳴・共感現象』を期待している部分もあるのでしょう。

さて5月は、ヴェネチアで銀獅子賞を受賞し

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「ああ、劇場の方は最近、ほとんどお呼びがないからなあ……ま、だからあっちから声がかかるわけだけど……」
「いつまでも仕事があればいいけど……完全に《絶滅》しちゃったら、もう呼ばれないんでしょ?」
「そうなるね……そもそも世間のほとんどはこの仕事、《危惧職》どころか、とっくに《絶滅》してると思ってるだろうけどね……」

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お、シシ神? 御嵩でカモシカと睡蓮に遭遇

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昨日、岐阜県の御嵩町に出かけ、『今年やりたい10のこと』の10番目を達成するべく奮闘努力しておりました。

隣の八百津町は今や、
《「ハヤブサ消防団」の舞台》
として全国に知られましたが、御嵩町も同じような山あいの町です。

午後3番目ぐらいのティーで、ふと背後に気配を感じました。振り返ると、5mぐらいの距離から……
こちらをじっと見つめているのは……

「お、シシ神?」いや、似てるが……

私と

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自分の中の『理系』を意識する時

自分の中の『理系』を意識する時

はじめに断っておきますが、人が理系型と文系型に分けられるとは思わないし、進学校などで文系理系にクラス分けさせるのはナンセンスを通り越して有害ですらあると思っています。

ただ、理系的な能力と文系的な能力は分類でき、どちらかに偏っている人もいれば、両方とも優れている人に出会うこともあります。
想像力の種類とからめた分析を下記に書いています。

私自身はどうかといえば、職業としては理系でしたが、どちら

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期末試験当日に「へーえ、それが教科書?」って、大物か?

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テニスサークル(実は飲みサークル)の想い出話中に少し触れましたが、同じ年に大学に入った中に、現役生よりさらに1歳若い人(♂)がいました。
千葉大で国内初めて高校からの飛び入学が認められる(1998年)よりもはるか以前のことです。
大学入学の要件は、高校卒業か大学入学資格検定合格のいずれか、そして満18歳に達していなければならなかった。

彼と同じ理系教養クラスの友人から噂は聞いていました。
その人

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テニスと《仲間》

テニスと《仲間》

元の職場先輩に誘われて、週に1度平日2時間、リタイヤ仲間でテニスをしています。
軽く打ち合った後、組み換えしながらダブルス試合をいくつかこなすのですが、走り回るのでいい運動になります。
テニスコートまではバスと地下鉄を乗り継いで行くので、これがなかなかいい人間観察の場でもある。車で行ったこともありますが、大した時間短縮にはならないし、個室内移動は面白くない。

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硬式テニスと

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「世界がうらやむ~♬」はずだった「日本の未来は~♬」どうなったんだろう?

「世界がうらやむ~♬」はずだった「日本の未来は~♬」どうなったんだろう?

かつて、カラオケでよく歌われた:
『LOVEマシーン』
1999年9月9日、9人のモーニング娘。による歌として《9ゾロ目》発売予定だったけれど、新メンバーのオーディションが不調で8人になったそうです。

とにかく、二次会などでみんなで歌うと盛り上がりました。
特に、一斉に手を振りながらのサビ部分:

1999年9月 ── バブルが崩壊して失業率が高まり、この年は成長率もマイナスになりました。
歌詞

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東濃釜戸の地ビールとコシアブラの天麩羅をいただく

東濃釜戸の地ビールとコシアブラの天麩羅をいただく

連休に帰省中の娘とその母親は、海獺生活にも飽きたのか、東濃・瑞浪に山菜狩りに出かけました。

母親は山菜マニアで、山道を車で走りながらも、
「あ、タラの芽!」
「コシアブラ発見!」
と頻繁に叫ぶ人物です。

この日、私は留守番で、賞味期限ギリギリになったカップ麺をやむを得ず食べていると、海獺親子はやや育ち過ぎたコシアブラと地ビールを土産に凱旋しました。

帰り道に中央線釜戸駅近くの『カマドブリュワ

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便利な言葉だからか、使われ過ぎじゃないの?『寄り添う』

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私だけだろうか? ── 最近、とても気になる言葉がある。

《寄り添う》使われ過ぎの『魔法の言葉』になってやしないだろうか?

例えば、ジャニーズ騒動の際に、所属する人気タレントの発言に:
── ファンに寄り添う

大きな災害が起きると、報道やコメンテーター、いや、災害とまったく無関係なスポーツイベントのインタビューや映画・ドラマ発表会見中にも頻発する:
── 被災地(の人たち)に寄り添う

サー

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