本名は忘れちゃった。
普段はあまり夜更かしをしないのだが、昨夜はあまり眠たくなかったので昔読んだ漫画を読み返してみた。
十年くらい前の本なので懐かしいなと思ってページをめくっていると教師のあだ名の話が出てきた。
主人公が所属する水泳部の顧問が口癖である「な」というあだ名で呼ばれているという描写にクスリとなった。
そうそう、学校の先生は妙なあだ名を生徒からつけられるものだよな~と自分の学生時代を思い出してしまった。
もうずいぶん前の事なのでほとんどの先生の事は忘れてしまったが中学時代の担任のあだ名は今でも覚えている。
その人のあだ名は「げにげに」だった。
国語の先生だったので古典の本当にという意味の「げに」をなぜか二回繰り返すのが口癖だった。
それが妙におかしくて今でも強く印象に残っている。
今から三十年以上前の思い出話でその頃げにげに先生は四十代だったので今はもう七十過ぎのお爺ちゃんである。
中学校を卒業して以来お会いしていないのでお元気かどうか気にかかる。
そうそう、今思い出したのだが高校時代にも印象に残る先生がいた。
その人は英語教師で、生徒が朗読をするといつも褒める代わりにグッジョブ!と言って親指をぐっと立てるサムズアップをしていた。
見た目は小柄でヒョロヒョロでグリグリに度の強い眼鏡をかけた七三分けで一昔前の海外の人が日本人と言えば想像するイメージピッタリだった。
英語教師だけあって発音はとても良くてそのギャップがまた印象的であった。
私がこの先生の事をはっきりと覚えているのは入学間もない四月の英語の授業での事件である。
その日私は何か悪いものでも食べたのかお腹を下しており非常に体調が悪かった。
授業中にお腹がギュルリと鳴りエマージェンシーをむかえた。
これは我慢できんと思い手をあげてトイレに行きたい旨を伝えてそろそろ歩きで教室を出た。
幸いトイレは目の前だったので事なきを得て事後を処理して清々しい気持ちで教室のドアをガラリと開けた。
私に気が付いた先生はニヤリと意地の悪い笑みを浮かべてこう言った。
Hey you did a good job!
その声を聴いて眠たげな空気の漂っていた教室は爆笑の渦に巻き込まれた。
私は恥ずかしいやら余計な事を言うなという怒りの感情やらでとてもいたたまれない気分で顔が真っ赤になった。
それ以来グッジョブの事が大嫌いになったので英語に苦手意識が芽生えた。
何だかんだで私が高校時代に学習放棄をして最底辺の成績で低迷したのはこのエピソードの影響が大きいと思う。
軽い冗談のつもりでやった自分の持ちネタが時には一人の生徒の心を折ってしまうという事を考えてほしかったなぁと思うのである。
そんな懐かしいやらほろ苦い思い出を思い出しつつ昨日の晩御飯の話を少しだけ。
昨日は残り物のアレンジ日和。
ハンバーグを冷凍していたのでそれを解凍。
キャベツを千切りに刻む。
ご飯を丼によそってその上にキャベツとハンバーグを乗せる。
目玉焼きを作ってそれをさらにオン。
少しだけ残っていたビーフシチューを煮詰めてケチャップを加えてソースにする。
ソースをたっぷりかけたらリメイクロコモコ丼の完成。
副菜は賞味期限ぎりぎりの明太子が残っていたので卵焼きの中に巻き込んで出汁巻き明太卵焼きを作った。
野菜が欲しかったので頂き物の葉っぱ付きの大根の葉を切り落としてよく洗う。
ちりめんじゃこをごま油でカリッとするまで炒める。
そこに刻んだ大根葉を加えて醤油、砂糖、酒、みりんで味付け。
大根葉がしんなりしたらじゃこの大根葉炒めの完成。
汁物は大根と油揚げのお味噌汁。
リメイク料理が多かったので下拵えの手間が無くてサクサクと作ることが出来た。
おうし、食べるぞーと妻を呼ぶ。
昨日のお酒はビール。
ンパシュッとプルタブを起こしてグラスにルッテッテ。
いただきますをして乾杯。
キュウビィッと飲み干すとブファッと声が漏れる。
晩秋のビールもやっぱり美味いなり。
では卵焼きから食べよう。
出汁巻きはあまり得意ではないので不格好である。
巻き込んだ明太子の塩気があるので味付けは薄め。
出汁の効いた鶏卵と明太子の卵二重奏が何とも贅沢である。
これはたまらんと言いながらモグリモグリ。
次にじゃこと大根葉炒めを食べる。
じゃこがカリカリで香ばしくて大根葉は少し苦みがあってショリショリと食感が良くてこれはつまみにもご飯のおかずにももってこいである。
妻はこの料理が好きなのでモリモリと食べていた。
二本目のビールをペィプシッと飲みながらロコモコ丼に箸を伸ばす。
目玉焼きを潰してハンバーグと食べるとソースのこってりとしたコクもあって食べ応えが満点だった。
合い間にキャベツを食べると口の中がさっぱりしてよかった。
みそ汁を合い間に挟んで三本目のビールをゴブリ。
ロコモコ丼のご飯を少しよそい過ぎたのでお腹がはちきれそうになった。
何とか完食したら身動きが取れなくなった。
ああ、牛になるなぁと思いながら寝転がってしばらく目を閉じた。
軽くウツラウツラしていると妻が洗い物をしてくれた。
うはぁ助かる、ありがとうとお礼を言うとたまにはねと言って鼻歌をフンフン歌いながら食洗器に食器を入れていた。
自分がちょっと面倒くさいなと思っている時に誰かが家事をやってくれるのは本当にありがたい。
それからお風呂に入って床に就いた。
先生のあだ名って言い得て妙なものが多い。
自分も人からなんて呼ばれているのかと思うと興味もあり少し怖くもある。
まあ古い友達は大抵ロジャーと呼びますが。
このあだ名使い続けて三十五年!
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