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日本酒、中の人に聞いた!

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酒造りや酒造業界に携わっている人たちにインタビュー。日本酒へのさまざまな想いを紹介します! 獺祭、来福、地獄杜氏、本金、真上、鳴海、菊正宗などなど随時更新!
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記事一覧

脱サラ、日本酒、街づくり。愛知の銘酒【敷嶋】の復活にかける、九代目蔵元・伊東優

「弟に障害があって、だんだんと両親だけで看ることが難しくなってきたんですね。それで、東京本社から実家のある東海エリアへの異動を希望しました。それはつまり、出世コースから外れること。でも、もういいかなって」 愛知県亀崎にある老舗酒蔵「伊東合資(現在は株式会社)」、九代目の伊東優さん。「あまり重い話になっちゃうのも、やなんですけどね」とやわらかに笑うが、取り巻くあらゆる事柄から目を逸らさないタフさが伝わる。 江戸時代後期に創業し、東海を代表する銘柄「敷嶋」を醸していた伊東合資

イケメン店主が斬る【超訳・日本酒用語⑤】フルーティー・ミネラル・完成度3本立て!

日本酒の世界には「よく聞くけど、よくわからない」ふわっとした「日本酒用語」が数多く存在します。そんな用語を日本酒のプロが徹底解説する【超訳・日本酒用語】シリーズ。今回はSAKE Streetの藤田代表が満を持して登場です。 解説するのは、SNS上で行った募集に集まった用語。「フルーティー」「ミネラル」「完成度が高い」の3つを、バッサバッサと斬っていきます! ※この記事は、SAKE Street店舗ブログに掲載した記事のnote版で、期間限定公開です。 有名雑誌やラジオに

【酒蔵メシ】日本酒をつくる蔵人さんを支えた”元気の源”を教えてもらいました

春、多くの日本酒の酒蔵では、秋から取り組んできた今期の酒造りが終わりを迎えます。 体力仕事であると同時に、気を抜けない繊細なお仕事でもある酒造り。蔵人さんたちを支えてきた「仕事中のご飯」を質問しました。 おいしいお酒の秘訣は、造り手の日々の「ごはん」にあるのです。 福司酒造の「金曜日カレー」(北海道)まずは、北海道釧路「福司酒造」さんの酒蔵メシから。福司酒造さんでは毎日お昼に賄いが出るそうですが、毎週金曜日は「カレー」に決まっているとのこと。おいしそうです。 「毎日蔵

東京港醸造が目指す、200年続くサステナブルな酒蔵経営【日本酒ミニミニ大作戦】

歴史と伝統があり、自然の力で酒を醸す──。 そんなロマンあふれる日本酒造りの世界ですが、現在は衰退の一途を辿っています。出荷数はピークだった昭和52年の半分以下に落ち込み、毎年のように酒蔵廃業のニュースが聞こえてきます。 「日本酒の酒蔵は、経営戦略を抜本的に見直すべきだ」 そう提言するのは、東京港醸造の寺澤善実さんです。かつて東京に存在した酒蔵を「ビル型酒蔵」という形で約100年ぶりに復活させて、東京の日本酒「江戸開城」を醸す、凄腕の杜氏。同時に「経営者」でもあります。

【回答編】獺祭 旭酒造の蔵見学レポート!

先日公開しました、獺祭で有名な旭酒造さんの見学レポート。その中で、広報ご担当者さまの協力を得て「質問募集」を実施しました。今回、4つの質問に対して答えていただきましたので、紹介します! Q1:酒造チームや、分析チーム、事務屋さん達の地元民率はいかがなものでしょう?A:現在は地元民(山口県内)率50%前後です。10年前では8割が地元でしたが、最近は毎年新卒社員を15名程度採用しながら中途採用も随時ですので、雇用が増えると同時に県外の方も増えてきました。200弱の雇用があります

【楽の世】 世間から消えていた日本酒”桶売の蔵”。剣菱仕込みの個性派酒が動き出した

「うちの酒は、どこにも売ってない。毎年秋から春までずっと酒造りをしているのに、地元のお店だってないんです」 ──日本酒、「楽の世」。愛知県江南市に居を構える酒蔵「丸井合名会社」の代表銘柄です。しかし長い間、「楽の世」を知る人はほとんどいませんでした。 ──2022年現在、個性的な味わいでファンが急増中の「楽の世」が歩んだ喪失と復活のストーリーを、丸井合名の蔵元兼杜氏である村瀬幹男さんに聞きました。 「桶売の酒蔵」に生まれて──「桶売(おけうり)」とは、造った酒を自分達で

【獺祭 ひと筋、11年】 蔵長・三浦史也が切り拓く「新しい時代の杜氏像」とは

日本酒「獺祭」蔵元・旭酒造、勤続11年。2017年からは工場長(蔵長)を務め、年間3000本もの純米大吟醸タンクを監督した、旭酒造を代表する職人のひとり、三浦史也さん。 アメリカ・ニューヨークに新設される海外蔵(DASSAI BLUE醸造蔵)への赴任を控えた2022年6月、旭酒造のお膝元・山口県岩国で三浦さんのインタビューを実施しました。旭酒造での11年の経験や、酒造りの考え、醸造家としての未来について話を聞きます。 ※トップ画像は旭酒造・蔵人の方のイメージです 旭酒造

【獺祭】旭酒造の蔵見学レポート!驚愕の日本酒ワンダーランドをのぞいてみよう

山口県が世界に誇る日本酒「獺祭」を醸す、旭酒造。 数年前までは「山奥の小さな酒蔵」を自称していた旭酒造ですが、現在は巨大なビルで酒造りをおこなっています。製造担当者は170名(2022年6月時点)と、製造量に対しては日本で最も多い蔵人が所属。年間550万リットル(2021年7月~2022年6月/令和3酒造年度の製造量)を製造しています。 いまや日本を代表する「一大日本酒メーカー」へ拡大し、1年中フル稼働している旭酒造。その秘密を探るべく、蔵見学に参加してきました。 ※一

【アンケート】日本酒蔵の蔵人は、夏の間、何をしているのか?

「日本酒造り」といえば、「寒造り」という言葉に代表されるように、寒い間に1年分仕込むのが一般的です。 では、酒造りに適さない「夏」の間、蔵人たちは何をして過ごしているのでしょうか? 普段は見えない夏の蔵人を知るべく、酒造関係者の皆さんにアンケートを実施しました。回答いただいた内容を一部抜粋し、リアルな「夏の蔵人」の姿をお届けします。みなさん、予想以上に、夏も忙しいです! Q1:夏の「お仕事」を教えて!蔵の醸造期間(初夏まで造っている蔵が多かったです)や、職務によってさまざ

「本金」長野の小さな酒蔵へ。日本酒は「雨」のように鳴く

「本当の一番(金)の酒を醸す」という意味をもつ、長野の地酒「本金」。 長野県の上諏訪五蔵(「真澄」をはじめ、500mほどの街道に5蔵が並んでいます)にある「酒ぬのや本金酒造」。創業宝暦6年。家族経営の本当に小さな日本酒蔵です。 この度、長年本金を応援している「地酒屋こだま」さんの酒蔵訪問に同行させていただきました。 蔵見学は、プロがいると気づきがすごい! これまで取材などで蔵の中を見たことは何度かありましたが、今回はプロ(酒販店)の児玉さんと一緒。わかりやすい解説、一

日本酒の「生酛」に挑戦! 絶品の「蔵メシ」も! 長野「笑亀酒造」の体験レポート

江戸時代にできた酒造りの手法「生酛」。自然の菌や微生物をとりこんで発酵段階まで導く伝統的な方法です。そのハイライト(というか、わかりやすいもの)が、桶に入れた蒸米・麹米・水を木の棒(櫂棒)でぐりぐり擦る「山卸し(やまおろし)」。 今回、大塚の地酒屋こだまさんにお誘いいただき、長野の「笑亀(しょうき)酒造」の「山卸し」に参加させていただきました! 米の感覚がどんどん変わる!山卸し体験 笑亀酒造は明治16年創業。「笑亀」「貴魂」などを醸しています。詳しい情報はこだまさんのサ

SAKETIMES編集長・小池潤さんの日本酒インタビュー 「日本酒を愛し、日本酒に愛される男」

今回はNo.1日本酒WEBメディア「SAKETIMES」の編集長・小池潤さんに「日本酒愛」を語ってもらいました! ※SAKE Streetにて、株式会社Clear代表・生駒龍史さんインタビューも紹介しています。 https://sakestreet.com/ja/media/interview-with-ryuji-ikoma/ 小池 潤 SAKETIMES編集長。2016年、当時世界に350人弱しかいなかった日本酒のテイスティング資格「酒匠(さかしょう)」を取得し、翌

日本酒の新しい香り「4mmp」って何? 福岡・山の壽さんに聞きました!(鼻炎持ちがレポート)

2020年、日本酒好きの人から「日本酒の新しい香り、4mmpのお酒が面白いらしい」という話を聞くようになりました。 日本酒の、新しい、香り? ぜひ一度実際にかいで、そして飲んでみたい。そこでその「4mmp」のお酒を実際に造っているという福岡県の「山の壽酒造」さんに質問しました。 http://yamanokotobuki.com/ ちなみに、山の壽は私のここ1-2年の推しです。フレッシュさわやか系が本当においしいのです。 「山の壽」の中の人に聞いてみました質問に答え

「獺祭 生酛」誕生!桜井社長・三浦杜氏にインタビュー

旭酒造の「獺祭」は、お酒好きなら誰もが目にしたことがあるであろう、知名度抜群のブランドです。最高級の山田錦を使い、二割三分まで削り(精米)造った酒質は「これぞおいしい日本酒」の王道。旭酒造はそれをさらに「どこでも楽しめる」ことを目指し、世界に販路を広げています。 そんな旭酒造が、2020年12月に「生酛」をリリースしました。 獺祭が、生酛? 生酛は、自然の乳酸菌を取り込む江戸時代の発酵方法。小さな蔵のチャレンジならともあれ旭酒造が取り組むのには「?」となりました。 (