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【一部事前公開】『医療とデザインの接点』

Designship 2020で登壇します! 

こんにちは、Ubie株式会社でプロダクト開発・デザインをやってる大木です(Twitter)

実は明日に迫ったDesignship 2020に公募スピーカーとして登壇することになっています。

登壇時間は25日(日)14:10-14:30

テーマは「医療とデザインの接点

医療従事者として未知の世界だったプロダクトデザインに踏み込んだ経緯、そこで得た経験をお話する予定です。

本番の前に一部だけこのnoteに事前公開します。

興味を持ったらぜひDesignshipのチケットを!

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Chapter 1: 医療の正解を求めて

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・医療を学ぶ中で、日本の医療現場は限界に近いことを身を以て体験しました。
・医師の過半数が過労死の危険性を感じながら仕事をし、医師を守るはずの国も合法的な基準として過労死ラインの2倍の時間外労働を容認してしまっています。

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何かを変える必要がある。しかしその正解は身の回りにない

・医療の正解を探しにアメリカに臨床留学しました

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・そこで目にしたのは、とてつもなく優秀な医師たち

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・そして、先進的で素晴らしい働き方です。

・過労死ギリギリまで働く日本の医師と違い、アメリカではどんなに忙しくても定時に帰宅できワークライフバランスが保たれてました。

・そして日本の医師を煩わせるような注射・点滴のような処置を行う必要もありません

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・しかし、労働時間が短いはずのアメリカはなぜかカルテ作業は日本よりも遥かに大変でした。

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・しかも、医師の働き方を効率化すればするほど患者は医師から離れていきました。

・日本も将来、アメリカに習うはず。しかしアメリカの医療は正解からは程遠い。

Chapter 2: 医師の業務負担を減らせ

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・日本に帰って、医師と患者の関係を守りながら医師の業務負担を減らす方法を考えました。

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・その中で、「複雑性保存の法則」を適用して考えると、医療の煩雑さを整理して理解できることに気がついたのです。

・医療はとても複雑なので、細かい所を見落としたり、削ったり、飛ばそうとしてしまいがちです。

・しかし、医療のどの細かいプロセスも欠かすことのできないもので本質的に減らすことはできない。このスタンスに立った時、すべきことが見えてきました。

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・例えば診察は患者と医師の2人が関与するシステムです。

・診察の複雑性を分解していくと、いくつかの基本的なタスクに分離できます。

・どれも専門的なので、患者に複雑性を分担してもらえないのも医療の特徴です。

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・問診や注射のようなタスクを他の職種に移すことで業務負担を減らすことができます。

・これを「タスク・シフト」と呼んでいます。

・日本でも俄にタスクシフトの必要性が各所から叫ばれています。

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・タスクシフトが行き着く先はアメリカのような高度に分業された医療です。

・一見、医師は複雑性から解放されていそうです。

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・しかし、治療に参加する人が増えれば増えるほど、患者さんの情報を記録して共有することが必要になってきます。

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・そのため、分業が進んだ医療現場ではとてもたくさんの情報を記録・共有するために大量のカルテを書く必要があるのです。

・それがアメリカで見たカルテ作業の正体です。

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・分業を進めすぎると、医師と患者は離され、カルテ作業が発散します。

・では他の解決策はあるのでしょうか?

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・最近、システムを医療に導入して複雑性を分担してもらう取り組みが盛んです。

・例えば、問診とその記録のような煩雑な作業をシステムと分担できたら医師はだいぶ助かりそうです

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・しかし、実はこの全く同じアイデアは60年前から存在していました。

・医療へのシステム導入の歴史はとても古いのです。

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・2020年、私たちは最新のトレンドを取り入れて同じ課題に挑んでいます。

Chapter 3: モダンな医療プロダクト

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・しかし、周りを見渡すとレガシーな医療IT製品ばかり

・これでは医療現場の負担を減らすどころか増やしてしまいます。

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・最新の開発手法を医療に持ち込み、レガシーな医療IT業界のアップデートできないのでしょうか?

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・しかし、Leanな開発を行うには、開発チームがユーザーの世界を理解していないといけません

医療現場がユーザーである以上、医療のコンテキストを学ぶ必要がありました。

医療のコンテキストは広く、深く、すぐには学べないのが現実です。

Chapter 4: 「デザインの壁」を越える

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・そこで、デザイナーが医学を学ぶと、同時に医師がデザインを学び始めました。

・そして、私のような医療側の人がデザインの壁を越えてプロトタイプデザインから開発に参入したのです

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・取り組んだ仕事を紹介します

医療にはシステムが受け持てる複雑性がまだまだあります。

・例えば検査のオーダー、診断のサポート、治療方針決めなどは医師が1人で考えねばならないとても複雑なタスクです。

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・診断、を例にとりましょう。

システムが単体で「診断」の複雑性を全て受け持つのは不可能です

・しかし、診断の複雑性をさらに分解していくとシステムでも受け持てる複雑性が出てくるのです。

・例えば、診断には「患者さんの症状を説明できる病気を考えるプロセス(≒鑑別診断)」があります。発熱の患者さんだったら「風邪」「インフルエンザ」「肺炎」・・のように可能性のある病気を挙げていきます。

・これはまさにパターン認識で、システムがとても得意なことです

・しかし、システムは生身の患者さんやいろんな検査のデータを多角的に取捨選択・判断することはとても苦手です。

・逆に、このような演繹的な検討や意思決定は人間の医師が圧倒的に得意なのです

・このように一見してシステムが関与できそうにない「診断」と言うとても複雑なタスクも、医療者側のコンテキストを理解した上で丁寧に分解すると見えないものが見えてきました。


最後に

このようにして私は医療側の視点でプロダクトデザインに取り組みました。

本番では、開発の話や実際に開発した機能もお見せする予定です。

Designship 2020、ぜひ奮ってご参加ください!!


補遺:

・Ubie株式会社 採用ページ

https://ubie.life/

・Designship 2020 公式サイト

https://design-ship.jp/





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