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大阪メトロ谷町線のポケモンリーグみたいな区間

 大阪メトロ谷町線のホームは、ドル箱路線である御堂筋線に比べると、少し活気がなくて物悲しい雰囲気がある。大日から八尾南までを繋いでいるこの路線に乗ることは、私個人としてはあまり機会がない。
 東梅田から乗車し、大日方面に北上していく。中崎町、都島と順に抜けて、電車は野江内代(のえうちんだい)駅に着く。放出や喜連瓜破ほどメジャーではないが、こちらも初見では多分読めない大阪の難読駅名。この野江内代駅から数駅、このような四字熟語のような駅名が続く区間がある。

 野江内代の次は関目高殿(せきめたかどの)。関目には京阪電車と今里筋線の駅があり、関目を冠するものだけで3つの駅があるのだ。
 関目高殿の次は千林大宮(せんばやしおおみや)。京阪線の千林駅との間に商店街を擁する駅。地上は国道1号線が通っており、人通りも車通りもかなり多い。
 千林大宮の次は太子橋今市(たいしばしいまいち)。こちらも京阪線の土居駅との間に商店街を擁する駅で、吹田や上新庄方面からの車と1号線の車がぶつかる交差点はいつも渋滞している。

 この区間、四天王みたいじゃね??

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 野江内代、関目高殿、千林大宮、太子橋今市。ほかの路線を見ても、ここまで4字以上の駅名が連なる区間はあまりない。字面も相まって、まるで四天王みたいな並びだ。

 野江内代(のえうちんだい)は四天王の一人目。例えるなら、物静かな雰囲気を纏うキャリアウーマンのような女性。語気こそは穏やかだがその言葉の端々には確かな闘争心を垣間見えるような、内なる狂気を秘めた女性。挑戦者を最初に迎え撃つ、プレイヤー側からしてもお手並み拝見といった立ち位置だろうか。柔和な表情と表裏一体の冷酷さ、これは絶対、こおりタイプの使い手だろう。

 二人目の関目高殿は大柄で傍若無人な熱血漢。野江内代とはうってかわって、粗雑な言葉と剥き出しの闘争心で来たる挑戦者を迎え撃つ。「野江内代は手加減してやったようだが、俺はそうはいかねぇ」なんて言っちゃう。力任せのスタイルながらも、戦いのさなかには細かなテクニックを挟んでくる実力者。そして実は、勝負の結果に関係なく心から挑戦者を称えることのできるノーサイド的アスリート精神も持ち合わせている。コイツは絶対かくとうタイプの使い手。

 三人目の千林大宮は掴みどころのないやつ。名前が4文字とも線対称になるシンボリックな感じがそれを印象付ける。ダウナー系の呪文やデバフ魔法といったパワーに頼らない攻撃を駆使し、挑戦者を内面からジワジワと弱らせていく策士。学問や学術、生物学や物理学などにも長けており、ボタニカルでアカデミックな面も兼ね備える識者。どくタイプの使い手で間違いない。千のナイフ浮かべ、林のような静けさで、巨大な宮殿にて待つ。

 四人目、太子橋今市は他の三人よりも抜きんでてベテランの風格を持つ。経歴の長さ、年齢だけがものを言う世界ではないが、蓄えられた知識と経験はやはりどれだけ隠そうとも表に出てしまうものだ。「太子」の名にもあるように、もはや王のような威厳さえある。いや、それほどの威光がなければ龍というのは操れないのだ。そう、奴は歴戦のドラゴン使い。龍の名のもとに。


 結論 : 大阪メトロ谷町線には、カントー地方のポケモンリーグがある。

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