第02回note

第2回未来社会meetup「IoTがもたらす未来」を開催しました

未来の社会はどう変わるんだろう、そんな疑問から始まった未来社会meetup。2017年10月29日に開催した第2回は「IoTがもたらす未来」がテーマです。2030年にIoTが私たちの生活をどう変えているのか、シナリオ・プランニングをしながら考えました。

第1部:講演会

今回ご講演いただいたのは、東京大学生産技術研究所教授の野城智也先生です。野城先生は専門の建築分野に加え、ユーザーの視座に立ったイノベーションの実践や研究開発に携わっていらっしゃった方です。ご講演では、生活におけるIoTをテーマに、さまざまな事例や普及における課題についてお話いただきました。

いちばん印象的だったのは、「普遍的接続性≠標準化」というお話です。

生活分野でのIoTの利便性を高めるには、機器同士をつなげて操作できることが望ましいです(例えば、ストーブを点けると自動的に換気扇が回る、など)。これが機器同士を自由につなげられる状態が普遍的接続性です。

この普遍的接続性を実現するには機器を操作するアプリケーションなどの標準化が必須だと考えられがちですが、標準化にはコストがかかり、現実的でない場合があります。

標準化に代わるのが、アプリケーションと機器の間に中間的なハブを設ける方法です。

Webサービスの分野では、同様のコンセプトを持つAPI連携サービス(IFTTTなど)があり、例えばfacebookに投稿すると自動的にEvernoteに投稿を保存する、といった連携が可能です。IoTにおいても、こうした中間的なハブがあれば、いままで想像もしなかったような機器同士の連携が可能になります。

「スマホで鍵を閉める」「自動で室温が最適化される」といったシンプルな利便性を超えて、ユーザー自身が創意工夫して利便性を追求できる、より豊かな生活のイメージが湧きました。

「IoTの本質は機能ではなく新たな UserExperienceの創造にある」「それは、正規軍と遊軍のような、大きな組織と小さな組織が結び付くことで実現できる」と、先生はまとめていらっしゃいました。ご講演からさまざまな示唆を得て、シナリオ・プランニングに進みます。

第2部:シナリオ・プランニング

シナリオ・プランニングとは、「起こりうる未来の複数のシナリオを体系的に組み立てる手法」です。

元々は1970年代に石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルが開発しました。シェルは、この手法を通じて石油危機を見越した戦略を策定し、国際石油メジャー上位に浮上することができたと言われています。なお今回は、シェルのシナリオチームの代表を務めたアダム・カヘンの著書『社会変革のシナリオ・プランニング』を参考にしています。

今回は「2030年、IoTであなたの生活はどう変わるか?」という問いかけを基点にして、ワークショップを進めました。

まずは未来を先取りしているような30の事例を読んで、IoTが社会に影響を与えるイメージを膨らませます。(写真は事例集から抜粋(スマホで乾電池を操作。インテリジェントな電池アダプタが起こすIoT革命 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイトを元に作成したもの))

次に、事例を読みながら、「将来起こりそうなこと」を想像します。「急な天気の変化も予測できるように」「個人情報保護が会社の命運を分ける」といった真面目なものから、「奥さんとGoogleの意見が対立しそう」といった飛び抜けたものまで、どんどん”妄想”していきました。

続いて、将来起こりそうなことを、「確実なこと」と「不確実なこと」に分け、「不確実なこと」を深掘りしていきます。

「不確実なこと」が起こる「条件」は、未来の分岐点です。例えば「個人情報漏えいを恐れて、IoTを使ったサービスが普及しない」という不確実なことがあったとします。

この不確実なことが起こるのは、「個人情報保護の技術や制度がより進歩しない」などの条件が揃ったときです。この条件は、未来A(=個人情報漏えいを恐れてIoTサービスが普及しない)と未来B(=個人情報保護への安心感が高まり、サービスが普及する)の分岐点になります。

こうした条件を軸にして、シナリオをつくっていきます。(写真は『社会変革のシナリオ・プランニング』で紹介されていた事例を抜粋したもの)

こうして、いよいよシナリオ完成です。どの班も特徴的なシナリオをつくっていました。

例えばある班は、「人々がデータを収集されることに抵抗感を持つか否か」「生活分野でより利便性の高いIoTサービスが登場するか否か」という2つの条件を軸にして、興味深いシナリオを作成していました。

まとめ

最後のアンケートでは「他の組織の人と未来について議論するのは刺激があって、楽しい」といったコメントをいただき、良い時間になったのではないかと感じています。一方、「テーマ設定をもうちょっとガイドしてもらえるとよかった。発散しすぎてまとまりがつかなくなってしまった」といった指摘もあり、今後の改善に活かしていしたいと思います。

もちろん、今回つくったシナリオや、想像した「将来起こりそうなこと」は、未来を的中するようなものではありません。それでも、未来の姿に思いを巡らせる時間をつくり、日頃想像力を働かせることは、仕事や私生活でなにか役立つはずです。

mokubaでは、より良い未来の社会のきっかけになる場をつくっていきます。次回は来年1月下旬に開催の予定です。ぜひご参加ください!

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