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法学部生に共有したいオススメの基本書

 法学部に入学するとたくさんの教科書(基本書という)を購入することになります。しかしながら、それらの基本書を読んでみると非常に難解で「こいつ、いったい何を言っているんだ?これってほんとに日本語か?」という気持ちになります。そして、そうなってしまうと法律に対する学習意欲が失われていき、大学へ通学したいと思う人も減ってしまいます。そこで、今回、私が様々な基本書を読んで回り、その中で「これなら理解できる!」と感じたものを3つ紹介します。

 

日本評論社HPより(2022/6/5)

①日評ベーシック・シリーズ(NBS)
理解しやすさ:☆☆☆☆
内容の濃さ:☆☆☆☆
(※☆~☆☆☆☆☆)
 NBSシリーズはその名前の通り法律の「ベーシック」を学習するための基本書といった印象です。基本書独特の厚みもなく、200~300ページぐらいのものが多いので、手に取りやすいと感じます。実際、分厚い基本書だと大学に持っていくこと自体が嫌になるのでなるべく薄いものをと思います。
 内容としては、試験対策に必要な内容はほぼすべて入っており、この本全体をしっかり対策しておけば、試験が解けないことはまずないだろうという程度にしっかり記されています。(ただし、大学のレベルによるとは思います。)
 また、共著なので(後述)、内容に偏りもそれほどないように感じます。
 大学の授業を真剣に受けたいという人の予習用教材としてもおすすめです。


TAC出版書籍販売サイト CYBER BOOK STOREより(2022/6/5)

②面白いほど理解できるシリーズ
理解しやすさ:☆☆☆☆☆
内容の濃さ:☆☆☆
 こちらは表紙に書かれている通り、「超入門」書です。先ほどのNBSシリーズと同じく、分厚くもなく、ページ数もあまり多くはありません。NBSシリーズとの違いを挙げるとすれば、論点ごとに見開きになっており、法律を学んでいる際に各法律の体系の中のどの内容を学習しているかが一目瞭然であることです。そのため、一行問題(~について説明せよ)の試験対策としてテーマごとにまとめてあるため非常に有効ではないかと考えています。
 ただ、内容がやや薄いという欠点は挙げられます。「超入門」書であり、あくまで予習・復習用教材である以上、この教科書のみで試験に臨もうとすると、教科書全てを理解していたとしても6割(単位認定ぎりぎりの点数)とるのがやっとではないかと思います。(これも大学のレベルによるとは思いますが。)この教材を使う場合には、これをメインで用いつつも、この本では出てこなかった内容を大学の授業で補うことが必要になると思います。


amazon.co.jpより(2022/6/12)
TAC出版書籍販売サイト CYBER BOOK STOREより(2022/6/12)
行政書士の教科書だと憲法・民法・行政法・商法/会社法がセットになっている。

③公務員試験・各種法律資格試験の教科書
理解しやすさ:☆☆☆
内容の濃さ:☆☆☆☆
 あまり知られていませんが、公務員試験用の教材や法律資格試験の教材を利用するという方法もあります。これらは資格試験用の教材というだけあって比較的体系的にまとめられています。また、図表も適度に用いられています。高校時代に塾の教材を使用してきたという人には相性が良いかもしれません。 難点を挙げるとすれば、大学での講義用ではない以上、すべての科目に対応する教科書がそろっていないことです。ですが、そうはいいましても憲法や民法、行政法は豊富に教材がそろっている印象はあります。また、大学の授業範囲と若干かみ合わないこともあり得ます。ただし、これは公務員試験と資格試験の勉強をしながら単位もとれるということの裏返しだとも言えます。

 最後に、大学の基本書は高校までの教科書と違ってなぜそこまで難解なのか検討したいと思います。大前提として、大学は高校とは違ってカリキュラムにとらわれず、高度な学問を研究する場であるゆえという理由はあります。
 しかしながら、私はそれだけが原因ではないと考えています。
 1つ目は、大学の基本書は共著ではないこと。大学の基本書は大学の先生が一人で記したものが多いと感じます。そして、一人で記すということは他人の反対意見を中心に書く必要は全くなく、持論を自由に展開することができます。そして、そうなってしまうと、執筆者がいわゆる少数説を主張していても、初学者はそれがあたかも通説かのように誤解してしまって混乱したり、多数説でない以上理解しづらかったりするという状況が生まれるのだと思います。もちろん、少数説を学習することも大切でしょう。しかし、多数説あってこその少数説ですから、通説・判例や多数説を理解してからそれらを学習した方が結果的に理解度も深まると思うのです。
 2つ目は、図表があまり用いられていないこと。高校までの教科書には写真や図表を用いることで分かりやすく説明されていました。しかし、大学の基本書はそれらを追加するとさらにページ数が増えてしまうせいか、文字だけの説明にとどまっているものが多く、イメージすることで理解することを困難にしています。
 これら2つのことは先ほど紹介した教科書にはどれも該当しません。基本書を選ぶ際の基準の一つにしていただければと思います。
 ともかく、初学者に厳しい?法律学の世界において上記のような「基本書」は私にとって、非常に学習の助けとなっています。法学部生の同志のみなさん、ぜひ使ってみてください!

冒頭写真:みんなのフォトギャラリーより引用(2022/6/5)

加筆訂正:2022年6月12日、「③公務員試験・各種法律資格試験の教科書」の内容に写真を加えるなどいたしました。

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