記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

感情がない世界だったら

「ロスト・エモーション」


この映画は私にとって、とても意味のある映画になりました。

今まででとても自分にフィットするというか。とても不思議で神秘的な映画でした。


ネタバレを多く含むため、まだ映画を見てない方や、この映画が気になる方は、そっとこのページを閉じて映画を先に観ましょう。


安全な家と仕事と食事を与えられ、生活する主人公たち。毎日同じルーティンで生活し、毎日同じ仕事をし、毎日同じメンバーと関わり、互いに関わりすぎずに生活をする。

人類の人口が今より少なくなった近未来のお話。


残った人類は感情を持ってしまうと、SOSという病の疑いがかかり、検査で陽性となれば治療が必要な患者だと認定され、薬を飲むようになる。


病にはステージが用意されていて


その後の展開については映画を見て下さい。


感情がない世界は、淡々としていていいなと思う反面、無機質過ぎるため少し奇妙にも思え、とても静かで心地よさそうだとも感じました。

人間同士の争いごとや、罵声、怒鳴り声も聞こえず、日々穏やかに過ごせるなら、こんな世界もいいなとさえ、視聴者に思わせてくれる。


人間の感情が怖いと思う人には天国な場所なのかもしれないですね。


主人公が1人の女性の挙動が気になり、次第に彼女を目で追うようになる。


彼は最初戸惑い、なぜ彼女ばかり見てしまうのか、なぜ彼女の表情が気になるのか、自分でもよくわからず混乱する場面が。


その場面では、日中の穏やかな表情とは全く異なり、感情があらわになっているため顔つきが一変しているのがわかります。


次第に彼女に近づこうと、あらゆる手を使い近づいていく。彼女も警戒心はあるものの、なぜ自分に近づいてくるのか気になるように。


二人の距離が少しずつ近づいていくが、SOSに感染していない者に、その奇妙な二人の様子を見られてしまう。

通報されなかったものの、彼女が通報される可能性があるため、互いに離れることに。


仕事も変え、ひっそりとお互いのことを隠しながら生活する二人だが、離れてるのは困難だと気づく。


ラストシーンの前に、主人公の気持ちの変化が大きくあるのが伺えて、顔つきも更に変わっている。最初の場面での表情と見比べてほしいのですが、


表情がコロコロと変化するのが著しく見え、主人公の男性自身の怒りや悲しみ、悔しさ、嫉妬心など全ての感情が一瞬にして切り替わっていく表情の表現で伝わってきて、私は少し心をえぐられた感じがありました。

無感情のほうが幸せなんじゃないかと、一瞬でも観ている側にハッとさせる演出は、凄いとさえ思いました。


さて、建築物がとても綺麗なのが印象的で、この作品を観たいと思った理由にもなったのですが、建築家の安藤忠雄さんの建設物が舞台にもなっているため、


近未来的でありながら、芸術性も共存している、オリジナリティ溢れる作品だと思いました。


個人的には安藤忠雄さんは、情熱大陸に出演なさった頃リアルタイムで拝見しまして、それがキッカケで建築物にも興味を持つようになったのですが、

型破りな道を歩んでこられて、とても稀有な才能の塊みたいな人だなと個人的に思っておりまして、今も尊敬する方のお1人です。

アーティスティックな建造物な中に、静音に近い物語の進行の仕方は、ある意味ギャップがあり、静と動が融合してとても引き込まれました。


最初は無機質に見える美しい建物も、主人公たちが感情を持ち始めたことで、そこに存在する意味を持ったり、生きているような息づかいを感じたり、


主人公たちと共に静から動への感情のグラデーションを垣間見ることが出来る、とても摩訶不思議な映画だなと思いました。


人間の感情に焦点を当てて作られただけではないと思うのですが、ハッと息を呑むシーンが事細かくあり、自分の感情や、今までの経験に当てはめたらどうなるかな?など、頭の中で考えながら観ても面白いと思いますし、単純にこういう世界が実現したらどうなるだろう?とワクワクしながら観ても面白いですし、様々な角度から観れる作品だなと思いました。


感情が無い世界がつまらなく退屈なわけではないけれど、何かに感化されたり感動し躍動して、それが生きる糧に値するのであれば、感情というものを持っていても、決して損ではないんじゃないかなと私個人的には思いました。


今回はロスト・エモーションという映画についてでした。それではこの辺で

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?