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読書日記234 【パン屋再襲撃】

村上春樹の長編小説の売り上げランキングとなるとこうなるらしい。

第1位 ノルウェイの森 
第2位 1Q84      
第3位  海辺のカフカ   
第4位 羊をめぐる冒険 
第5位  ダンス・ダンス・ダンス
第6位 ねじまき鳥クロニクル
第7位  風の歌を聴け
第8位 世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド
第9位 1973年のピンボール
第10位 騎士団長殺し


村上春樹 長編 売上トップ10

元の短編というのがあるのがはっきりしている作品というのがあって、
ノルウェイの森』 ⇒ 『
ねじまき鳥クロニクル』 ⇒ 『ねじまき鳥と火曜日の女たち

という短編になる。続編というか、鼠三部作といわれる主人公の相方である『』と呼ばれる相方との物語である『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』その続編といわれる『ダンス・ダンス・ダンス』と未発表である『街と、その不確かな壁』という作品から生まれた『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』と最新作『街と、その不確かな壁』その続編ともいわれる『海辺のカフカ』を除くとほとんどが晩年に書かれた作品というかになる。

つまりは村上春樹さんは作家になってつながりのあるものを50歳ぐらいまでに書いていて、それから新しい作品である3人称で書かれた『1Q84』を書いたということになる。初期の小説の世界観というのはとても近い世界観で書かれている感じがある。無骨にこつこつと書かれた作品群は膨大な読書量がなせる技量なのはファンというかハルキニストには知られている。

ジョン・スタインベックジャック・ロンドンなど20世紀に入ったばかりのアメリカの作品から読んでいて翻訳本がない場合は原作(英語版)を読んでいたらしいからスゴイ。「僕より本を読んでいる人をみたことがない」と書かれているのを見たことがあるので本当にそうなのだろうと思う。

前書きが長くなってしまったけど、この短編集が刊行されたのが1986年で、海外生活を独断で初めてギリシャを中心にヨーロッパに住んでいた時に書かれた『ノルウェイの森』が1987年9月に刊行されて1年ぐらいかけて日本で大ヒットをしていた。それが1986年~1990年の最初で帰国してから1年でアメリカのプリンストン大学に客員教授として呼ばれ4年間のアメリカ生活の後に書かれた長編小説の『ねじまき鳥クロニクル』が1996年に刊行されている。

パン屋再襲撃              1986年4月     刊行  日本滞在
ノルウェイの森     1987年9月4日   刊行  海外(ヨーロッパ)
ダンス・ダンス・ダンス 1988年10月13日 刊行       海外(ヨーロッパ)
ねじまき鳥クロニクル1 1994年4月12日     刊行  日本滞在

簡単に言ってしまうと原作である『ねじまき鳥と火曜日の女たち』短編を日本で書いて、海外で7年近くを住んでから(途中1年間は日本に住んでいる)『ねじまき鳥クロニクル』という背景からも読んでみると面白い作品となっている。他に4つの短編で構成されている(全部で5編)


パン屋再襲撃 目次

 

パン屋再襲撃

あらすじ……
夜中の空腹に目が覚める夫婦。この空腹には理由があるのではないか?と旦那である主人公が思いその理由である昔話を話すと奥さんが「もう一度パン屋を再襲撃しましょう」と言い始める…

この作品の前に『パン屋襲撃』という作品があって村上春樹全集に掲載されている改題された『パン屋を襲う』という作品を図書館で借りて読んだことがある。初期に書かれた作品で『早稲田文学』に掲載されたとあるけど1981年のことらしい。話は『パン屋再襲撃』で主人公が語るままだった印象がある。

象の消滅

あらすじ……
動物園の象が消滅するという奇妙な短編。村上ワールド全開で、現実のリアル観を新聞の記事をして紹介している。主人公はさりげなく女の子を誘っていい関係になる。(ここら辺も定番)そこで、象の消滅をみてしまった本当の話が繰り広げられる…

ファミリー・アフェアー

あらすじ……
兄は妹の結婚相手が気に入らないというところから話がはじまる。恋愛感情とは違った兄と妹という兄弟の関係をよく表している。妹が大学進学と共に一緒に暮らすことになった兄妹。妹は卒業して彼氏をつくりそして結婚をしようとする。なぜか面白くない兄、最後はどうなるのか?

双子と沈んだ大陸

あらすじ……
1973年のピンボール』で別れた双子の続編の短編。双子を写真雑誌で見かけた主人公が二人との暮らしを懐かしむという話。双子は離れても主人公は翻訳の仕事をこなして女性と食事をしてアフターも楽しんでいる…

離婚した後に突然双子が部屋にあらわれて…とちゃっかり『1973年のピンポール』が懐かしくなる作品。不思議なのが事務所の向かいにある歯医者の事務員がいて、この物語のキーマンなんだけど、その名前が「笠原メイ」という。少し不思議な感じのする物語。

ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界

あらすじ……
主人公が日記をいつものようにつけている。日記を書くのと同時にこの表題になった言葉が意味を成していく……言葉遊びとでも言ったほうがいいのか?村上春樹さんの初期の作品にはよくある作風。

ねじまき鳥と火曜日の女たち

あらすじ……
会社を辞めた主人公がパスタをゆでている。そこに変な電話がかかってくる。変な女性からの電話そしていなくなった猫を探しに路地裏に出掛ける。そこで少女に合う。長編小説の『ねじまき鳥クロニクル』の世界が広がっている。違うのは猫の名前で短編では「ワタナベノボル」で長編では「ワタヤノボル」その意味が何を意味するのかは不明。

村上春樹さんの短編は長編とは違っているようでつながりがあるし、特に初期の作品は「小説の書き方」を構成しているところがおもしろい。長編を読む前に思い出したように短編集をひろげてみるのも面白と思った。



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