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「インセプション」を見た。

超今更ながらインセプションを見た。事前知識としては、夢を扱う映画、ラストに考察の余地あり、今敏のパプリカに影響を受けたという前情報のみ。
実際に視聴してみて、流石クリストファーノーランが構想に長い年月を費やしただけのことはあるといった作品だった。
夢と現実という二軸ではなく、夢と現実と明晰夢の三軸をテーマにした作品だった。他人の夢の中に入り込み、夢の中で相手の潜在意識に思想やアイデアを植え付けるというもの。時には夢の中で相手に夢であることを自覚させて明晰夢にするシーンもあり、夢の中で更に夢をみて、その夢の中に更に入り込むというシーンもあった。要するに夢の階層を積み上げた地下エレベーターを行き来するような感じ。
物語のコンセプト自体も勿論面白いんだけど、主人公を取り巻くストーリーについても夢と現実を混同させた様相が描かれていて、夢を操る主人公自身もまた夢に苦悩、固執している点が良かった。
そして、最後のコマを回すシーン。主人公が夢から帰還し、ようやく子供達と再会できたシーンの後ろで回り続ける、現実か夢か判断するコマ。結局最後のハッピーエンドが現実か夢なのかわからずに映画が終わる。
この少し後に引く感じがとても良い。最後に考察の余地を残す、、というか、はっきり全てを解決させずにある程度自分自身で判断させてくれる映画が好き。キャラかナレーションが「〇〇は〇〇という意味だった。この後は〇〇は平和に過ごした」という、全て丸く収まる作品はあまり好きじゃない。果たして夢か現実か、はっきりさせないままエンドロールに入る演出はとてもよかった。
また、話が変わるが、本作を見るにあたり事前知識を前述していたが、実際は自分がよくみている映画系Youtuberの動画で、ダイナミックなシーンの撮影カラクリやアドリブシーンなどの知識も加えて(無意識のうちに仕入れて )いた為、ふとしたタイミングで「ああ、ここが建物ごと回転させて撮影されたシーンか」「ここのキスシーンはアドリブだったっけか」などと余計な記憶を反芻させる羽目となった。

総評としては、満点。昨年見た映画の数が非常に少ないというのもあるが、昨年見た映画も含めてもベスト3に入る映画だった。
夢と現実を題材にした映画を見ると、どうしても今敏作品を見たくなるが、
それはもう暫く我慢する。一月中旬に「千年女優」が一部映画館で放映予定だ、それまで待つことにする。

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