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フリーデザイナーの人生設計 その2 営業ツール

グラフィックデザイナーがフリーランスになる理由は千差万別であろう。ただし、ここで言うフリーランスのデザイナーとは、一人で仕事をしてもっと有名になろうとか、成功したいといったタイプの人ではない。そういう人は独立と呼ぶことにする。単純に大きな仕事、高度なスキルを得たければ、今の会社が不満であれば、もっと大きな会社に転職すればいいだけのことだ。フリーランスになる人の多くは、その働き方に惹かれてなるのである。毎朝の通勤電車、そもそも朝起きること自体苦手な人、組織で働くことが苦手な人(何か書いててダメ人間のような気がしてくるが…)。つまり上昇志向よりマイペースで自由な働き方を求めているのである。それは反面、安定した人生設計とは相矛盾している。

フリーランスも投資が大事

フリーランスの人生設計とは会社で言えば、事業計画である。開発や投資は、新しいスキルの勉強や人的交流であったりする。投資を回収するため、新規顧客を開拓し、品質を上げてさらに売上げをアップする。簡単そうに書いたが、フリーランスになるタイプの人が苦手な事柄だ。
それでも日々の勉強は大切だ、会社勤めなら共有できる様々な情報も、自分で探しに行かないと得られない。Macと付き合って30年近くなるが、そのほとんどが独学だ。アプリのバージョンアップはこまめにした方がいい。フリーランスのデザイナーの中にはAdobe Creative Cloudの課金をいやがって未だにCSを使っている人もいるが、その分新しいアプリの習得が遅れる。それは投資を怠っていることになる。

結局は営業

フリーランスになるにあたって、当面の仕事のアテがあることは必要条件だろう。元の会社のクライアントであったり、友人やその紹介などだ。それでも、よほど人付き合いが良くて、そういったツテから次々にお客さんを広げていけるなら良いが、もともとのツテだけでは10年、20年続かない。結局は営業ということになる。
私は営業が苦手だ。それでも背に腹はかえられない。営業が苦手な人はひたすらそれを補う工夫をしなければならない。以下は私なりの工夫だ。工夫と言ってもごく当たり前のことだが、結構大事なのである。

ひたすらポートフォリオを充実させる。

逆に言えば、ポートフォリオに自信がないうちはフリーランスにはならない方がいいのかもしれない。もちろん仕事の作品だけではなく、オリジナルも混ぜていいのだが、仕事の作品が少ないとキャリアが少ないと見られてしまう。一昔前なら、実物を大きなファイルにファイリングして持ち歩いたが、今の時代、直接会えるとも限らない。ポートフォリオはA4で、PDFでも用意しよう。客先に合わせて何パターンかのポートフォリオを作成する。出力したポートフォリオは端を止められるレールクリヤーホルダーに入れて、客先に置いていけるようにしよう。名刺を入れるポケットもつけたらいい。

ホームページも作ろう

WEBデザイナーならいいが、普通のグラフィックデザイナーでもそれなりのホームページは用意しておいた方がいい。HTMLの知識がなくてもポートフォリオサイトならWixやTumblr、Behanceなど色々ある。
しかし私がお勧めするのはデジタルステージのBINDupである。ほとんど何の知識もなくてもそれなりのサイトが作れる。サブスクリプションなのが玉に瑕だが、Amazonなどではパッケージ版も売っているのでそちらの方がお得だ。デジタルステージのサーバと契約してもいいし、別のレンタルサーバとも契約できる。やはり独自ドメインは見栄えがいいし、仕事の作品はクライアントとの関係で公開できないことも多い。パスワードを設定できるレンタルサーバと契約したい。メールアドレスも独自ドメインの方が印象がいいと思う。作ったポートフォリオのPDFもダウンロードできるようにするといい。

年賀状だけではないデザイナーらしい営業ツール

クライアントには年賀状は出すだろう。できれば暑中見舞いも送りたい。そういったツールはデザイナーらしさを発揮できる重要なアイテムだ。私は少々お金がかかるが毎年カレンダーを作っている。卓上カレンダーなら、1年間デスクに飾ってもらえれば、何かの時に思い出してもらえるし、恒例行事になればお客様も楽しみにしてくれるかもしれない。

まとめに

口がたたないならツール作りに力をいれよう。デザイン的にも何か印象に残るものであればよい営業になる。個人的な経験で言えば、仕事先は放っておけばだんだん減っていく。担当者の異動や退職。会社そのものの業態変化など、よほど個人的なつながりが強くなければ、減ることはあっても増えることはない。だから仕事があるうちに、少しずつ営業して仕事先を広げる努力が必要だ。
長いことフリーランスをやっていると、いろいろなことがある。取引先の倒産、メインクライアントの担当者の突然の退社など。気がつけば独立当初のクライアントはほとんど残っていない。次回は具体的にどうやって営業先をみつけるかを書いてみたい。

フリーランスの準備2 国民年金

サラリーマンを辞めると当然、厚生年金から国民年金に変わる。国民年金は厚生年金よりもずっと支給額が少ない。老後のことを考えれば、まさに人生設計の一つだろう。国民年金を増額させるには国民年金基金がある。月々の支払いに無理のない範囲で加入しておくと良いだろう。こういったものは若ければ若いほど負担が少ない。しかし固定費なので、最初は無理のない範囲で掛け金を決めるのがいい。同じような公的積み立てに小規模企業共済がある。こちらも任意で掛け金を決められ、必要なときは解約もできる。掛け金は確定申告の控除対象だ。
どちらも老後を見据えた積み立てだから、資産形成はNISAやiDeCoでもかまわない。いずれにしても仕事が軌道に乗るまでは、固定費の支出には慎重になるようにしたい。


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